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07.初ギルドと僕の魔力

僕は今シオンさん達とギルドへ向かっていた。

左にサラさん、右にシオンさんがいて何故か手を繋いでいる。

僕は恥ずかしくなって2人に話しかけた。


「あ、あの、手を繋がなくても歩けますよ?」

「駄目よ。もしはぐれたらどうするのよ。それに、貴方みたいな可愛い子を連れ去ろうとする悪い人がいるかもしれないじゃない。」

「ん。シオンの言う通り。ぷにぷにモチモチの手を離すのなんて勿体ない。」


シオンさんの発言は分かるけど、サラさんのはよく分からないや。でも、離す気がないのは分かった。

あと、2人とも綺麗だからか注目されてる...。


(うぅ……。恥ずかしい...。ただでさえ2人と手を繋いで恥ずかしいのに、その上注目されるとなると消えてしまいそう…。)


僕が俯いているとシオンさんが話しかけてきた。


「大丈夫?しんどいなら私がおんぶするわよ。力には自信あるのよ。お姫様抱っこでもいいわよ。」

「だ、大丈夫です!お二人のおかげで、凄く元気です!」


僕はいつもより少し大きめの声がでてしまった。

2人はそんな僕を、柔らかい笑みを浮かべ優しい目で見ていた。うぅ恥ずかしい。早くギルドにつかないかな。

僕が羞恥心で頭を抱えていると、歩みが止まった。


「着いた。ここがギルド。入ろう。」


到着したらしい。

ギルドと言われている場所を見ると、城が小さくなった感じの建築物だった。ちょっとかっこいい。

ドアを開けると賑やかな声が聞こえてきた。


「絶対手を離しちゃ駄目よ。野蛮な人おおいんだから。」


シオンさんが僕の手を更にぎゅっと握りしめて、受付の方まで向かった。

しかし、ガタイが良いチャラ男に道を遮られた。


「シオンちゃんにサラちゃん〜?そろそろ僕のものにならないかい?いい思いさせてあげるよぉ?」

「断るわ。貴方みたいな人の物になるくらいなら死んだ方がましよ。」

「ん。邪魔だからどいて。」


2人がここまで辛辣なのは初めてなので僕はおどおどしていた。

すると、チャラ男と目が合ってしまった。

チャラ男は、にたぁと汚い笑みを浮かべると僕に話しかけてきた。


「君めっちゃかわいいねぇ。お兄さんとちょっと遊ばない?悪いようにはしないからさぁ。」


怖い怖い怖い。

僕は恐怖で涙がでそうになり、シオンさんの後ろに隠れた。

刹那、空気が震えた。

その原因は身近にあった。


「私達のシルフに話しかけて怖がらせてるんじゃないわよ。殺すわよ。」

「シルフを怖がらせた罪は重い。死刑。」


サラが魔力を解放し、シオンは闘気を全身から放ったからだ。

周りのざわついていた人達は震えながら2人とチャラ男を眺めていた。

今この場でAランクがぶつかれば自分達もただでは済まないのを知っている。


今にも2人が襲いかかりそうな時、ある声が聞こえてきた。


「やめんかお主ら。周りの奴らが困っておろう。

冒険者同士の殺し合いは御法度だと知っておるじゃろ。」


立派な髭を生やした小さいおじいちゃんが仲裁に入ったのだ。

2人はおじいちゃんを見て魔力と闘気を抑えた。


「そうですね。ここで殺すのはやめときます。皆様ご迷惑をおかけしました。」

「ん。今はまだ我慢しとく。シルフの前だし。」

「後で殺すのもダメじゃよ。はぁまったく困ったもんじゃ。ダリオもちょっかいをかけるでない。」


ダリオというチャラ男は、へいへい。と言いギルドから出ていった。


「お主らはこのまま奥の部屋へくるのじゃ。そこでその子の登録と魔力検査をするぞ」

「わかりました。お願いします。」

「ん。了解。」


3人の会話が終わると僕の手を引き、奥の部屋へと向かった。


部屋に入って僕達は待機している。少し準備が必要なようだ。

だが、そんなことはどうでもいいと言わんばかりに僕は内心興奮していた。


(魔力!魔力は誰にでもあるって聞いてるから楽しみ!もしかしたら魔力量が半端なく多かったりして…!そしたら2人の役に立てる!)


僕が興奮で震えてると、サラさんが頭を撫でてきた。

優しく撫でてくれて気持ちがいい。眠くなってきた。

僕がうとうとしているとドアが開いてさっきのおじいちゃんと受付嬢さんが入ってきた。


「わしはガロウじゃ。ここのギルドマスターをしとる。よろしくな。」

「わ、私はシルフと申します。ご迷惑をおかけしないように頑張りますので、よろしくお願いいたします。」


僕は粗相をしないか不安になりながら挨拶をした。


「うむ。シルフか。良い名前じゃ。検査についてはそやつから説明を受けてくれ。わしは用事があるから失礼する。」


そう言い残し、ガロウは部屋から出ていった。

後ろ姿を見送ると、受付嬢さんが説明を始めた。


「こちらの水晶に手をかざして下さい。そうすると光った後にS〜Eランクのどれかが浮かび上がります。それがあなたの魔力量になります。」

「わ、わかりました。お願いします。」


僕はすっと水晶の上に手をかざした。

どのくらいあるんだろう。わくわく。

………

……………

()()()()()。どれだけ待っても光らない。

何でだろ。壊れてるのかなって僕が考えてると、

受付嬢さんが説明してくれた。


「…。恐らく魔力は無いと思われます。…。」


いま…なんて言ったんだろ...。

魔力がないって聞こえたような。気の所為だよね。


「もう一度、言ってもらえませんか?」


お願い…気のせいであってください…。


「シルフさんに魔力は無いです…。」


……

きのせいじゃなかった...。まりょくが...ない…。

Eもない…。


絶対に魔力があると思っていた分、無いと知ったダメージが大きかった。

まだ信じられずに、シオンさんとサラさんの方を見たら、2人とも悲しげな表情を浮かべていた。


(あぁ本当に無いんだ…。これじゃ役立たずどころか、足でまといだ…。せっかくチームに入れてもらえたのにごめんなさい…。)


僕は表情ひとつ変えずに泣いてしまった。

シオンさんとサラさんが慌てて慰めてくれているが、今の僕にはそれすら何も感じなかった。


(サラさん、シオンさん。ごめんなさい。僕は足を引っ張るだけです。ごめんなさい。ごめんなさい。

あ、てことは僕はもう無価値だから、捨てられるのかな……。)



その考えに至り、ショックのあまり僕は倒れた。

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