03.無意識曇らせ
(知らない天井だ・・・)
何処かで聞いた事ある台詞だね。
それよりも、僕はあの怪物に追いかけられてそして...
彼女は、生まれて初めての死の恐怖を思い出し、身体が震えて、涙が出てきた。
(うぅ...ぐすっ・・・怖かった・・・死んじゃうかと思った・・・いきなり異世界に居て、幼女になってて、化け物に追われて・・・うぅ・・・ふぇぇ・・・)
元々心は弱くなかったのだが、肉体年齢に引っ張られているのか、すぐに泣いてしまうようになった。
ふぇぇ、と心の中で言ってしまうのもその証拠だ。
体感で10分程、泣いたりしていると、誰かがドアを開ける音がした。
吃驚して視線だけをドアの方に移した。
入ってきたのは、見たことない美人さん2人だった。
(めっちゃ綺麗な人が2人入ってきたんだけど!?
え、待ってやば。まじ可愛すぎるんですけどぉ!
でも待って、泣いたせいで僕の目元腫れてるんじゃ)
思わずギャル口調になってしまった。それ程に綺麗で美人で可愛いのだ。
でも、僕の今の顔は涙でぐしょぐしょだ。やばい。
なんとか抑えて、彼女達の方をしっかり見た。
背が高い方は黒髪ロングで和服越しにもわかるグラマラスボディ。これは破壊力やばい。
背が低い方は金髪セミロングの控えめボディ。庇護欲がやばい。
その2人が僕の横まで来て座った。
(緊張しすぎて体が震える。こんな美人さんが近くに来たら誰だって震えるよ。うん)
どうしようか考えていると、向こうから話しかけてきてくれた。
「起きたのね。本当に良かったわ...。
私の名前はシオン。横にいる子はサラよ。
貴方がティスティタイガーに襲われて、気絶してるところを救出したの。」
(あぁこの美人さん達が助けてくれたんだ嬉しい。なんて優しいんだ神様かな。まだ痛むけど、お礼しなきゃだし、頑張って声だそ。)
女性と話すの久しぶりすぎてまともに喋れるか不安だけどやるしかない。
「あ、りがとうございます。おかげでもう少し生きられそうです」
緊張しすぎて初っ端噛んだ。恥ずかしくて死にたい。
穴があったら僕を優先して入れてくれ。
「そう...。随分と酷い容態だったから心配だったの。
でも、明日には退院出来ると思うわ。
ところで、貴方のお名前を聞いてもいい?」
そうだ。名前言ってなかった。なんて失礼な奴なんだ僕は。名前名前・・・名前?あれ、名前あったっけ。
何故か前世の名前を思い出せない。
それに、この世界では僕は名無しだった。
「ごめんなさい。名前ありません。」
「っ...!そう...。辛いことを聞いてごめんなさい。お母さんやお父さんは今どこにいるの?親しい人でも構わないわ。サラから連絡して迎えにきて頂けるように言ってみるわ。」
「お父さんもお母さんも親しい人もこの世にいません。私1人だけです。」
緊張しすぎて震えながら答えてしまったけど、大丈夫かな。両親もいないのは本当だしね。
前世から友人が出来たこともなかった気がする。
それにしても、なんで二人共悲痛な面持ちしてるんだろ。せっかくの美人さんがもったいないよ!
(ここは大丈夫だと安心してもらわないとね。)
「1人には慣れてるから大丈夫ですよ。それに私は出来損ないなので、例え怒られても大丈夫なのです!」
相変わらず僕の声は震えてるし、無表情だけど、これで心配する必要は無いと伝わったはず!
僕の渾身のジョーク!ふぅ!
・・・・
あれ、なんか更に辛そうな顔になってるよ。なんで。
隣のサラさんは唇を噛み締めて、震えてるけど大丈夫なのかな。
シオンさんが僕の目元に、すっとハンカチを当てた。
僕はまた泣いていたのだ。なんで今泣いてしまったのだろうか。
よく分からないまま僕は涙を流していた。
僕が泣き止んだらシオンさんが話し出した。
「駄目よ。そんな悲しいことに慣れちゃったら駄目。
貴方はもっと色んな人と仲良くなっていいの。だから、そんな悲しいことは言わないで...。」
シオンさんは辛そうな顔でそう言った。
何が悲しいのか分からないけど、きっと今は言わない方がいいのだろう。
「分かりました。こんな私なんかの為にありがとうございます。」
あぁサラさんが泣いてしまった。これは多分僕のせいなんだろう。やっぱり不出来な僕は皆を悲しませることしか出来ないんだ。ごめんなさいサラさんシオンさん。
少しの沈黙が流れたあと、初めてサラさんが喋った。
「また明日くる。絶対安静にしてて。動いたら駄目だからね。」
そう言い残すと、シオンさんを連れて病室から出ていった。
(明日も会えるの!?やった嬉しい)
僕は明日もサラさんとシオンさんと会えるのが嬉しくて喜んだ。
美人さんは目の保養なんだよね。
(そういえば間違えて私って言っちゃったけど、まぁいっか!実際今女の子なんだし問題ないよね)
本人は至って能天気であった。