02.森で傷だらけのエルフ幼女を見つけた~シオンとサラ視点~
今私たちは、魔獣の森にいる。
Bランクのデッドサーペントを討伐するためだ。
「シオン。私はお腹すいた。今すぐステーキ食べたい。」
「あなたさっき山盛り食べたでしょ...。いったいその体のどこに消えてるのよ。」
仲良く話す女の子が2人。よく食べる方がサラ。普通の方がシオン。
彼女らは幼馴染でずっと一緒に過ごしてきた。
今も一緒に依頼を受けている。
この世界には″ギルド″というとこがあり、そこで依頼を受ける人のことを冒険者という。
冒険者は上から順に
S A B C D E
と、いった感じでランク付けされる。
シオンとサラは共にAランクで、
″サンフラワー″というチームで活動している。
勿論メンバーは2人だけ。
サラは魔法使い。シオンは剣士だ。
魔法使いは主に魔力を使い、1部の剣士は闘気というものを扱う。当然シオンは使える。
「早く倒して帰る。帰ったらシオンと服を買いに行く。」
「私は服いらないわよ。それよりも寝たいわ。帰って寝ましょ。」
「むぅ。そんなんじゃ一生恋人出来ないよ?」
「別にいらないもの。私は可愛い子や物を愛でるだけで十分なの。」
「その意見には同意。可愛いは正義。」
そんなたわい無い話をしながら、討伐対象であるデッドサーペントを探していた。
その時サラの索敵魔法に何かが反応した。
2人は、反応した方へ走って向かう。
獣の雄叫びが聞こえて来た。
「この鳴き声はBランクのティスティタイガーね。この魔物は美味しいから倒して持って帰りましょ。」
「ん。そうしよ。あのお肉美味しい」
2人はこの時食べることだけを考えていた。
ようやくティスティタイガーが見えてきたところで、あるものが目に入った。
それは、頭から血を流し、全身傷だらけの女の子だ。
「サラ!!!」
「分かってる!!強化魔法<大>!」
サラはシオンの力を最大限引き上げる為にバフをかけた。
刹那、サラは音速に近い速度で魔物の元へと飛んだ。
勝負は一瞬だった。魔物の横まで飛んだシオンは、そのまま勢いを殺さずにティスティタイガーの首を、斬り飛ばした。
シオンは即、思考を切り替えた。
ぐったりとしている幼女に声をかける。
「大丈夫!?意識はある!?」
シオンの問いかけに傷だらけの幼女は答えない。
これは重症だ。やばい。
そこにサラがやっと追いつく。
「サラ!回復魔法を!」
「ん!リカバリー!」
Aランクの魔法使いであるサラといえど、回復魔法は負担がかかる。
この世界での回復魔法は貴重で、10人程度しか使えないことは確認されている。
それを惜しみなく使うほど、サラは優しいのだ。
しかし、一時的な処置に過ぎない。
回復特化の聖女であれば負担なく、ほぼ完璧に治せるが、サラはそうではないのだ。一刻も早く病院で治療を受けさせなければ手遅れになる。
「急いでこの子を連れて帰るわよ!依頼は後でギルドに謝りましょ!」
「ん!当然!強化魔法<大>!プロテクト!」
2人は依頼のことよりも、この幼女を街に連れ帰ることを優先した。