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14.ロリエルフは救われる


「ぅぅぅぅぅぅ」


僕は今魔力を吸われている。

魔力を全て吸い取ると、変な薬で無理やり回復させられて、また吸われて。

それを変なカプセルに入れている。



▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼



皆と別れてから1週間程経ったのだろうか。もしかしたらもっと経っているのかもしれない。

毎日魔力を吸われて回復を繰り返し、シルフは疲弊していた。

もはや唸り声を上げることしか出来ず、目から生気を失い、虚ろな表情をしている。


(もういやだ…。いたい。つらい。しんどい…)


どんなに泣いても助けはこない。

意識が朦朧とする中、リュウシンの声が聞こえた。


「そろそろ良さそうですね。今日はもう終わりにするので部屋に戻ってください。」

「わか…りました…。」


身体を無理やり動かし、僕は部屋に戻る。

抵抗する気などさらさらない。そんなことをして現状より悪化したら嫌だからだ。


部屋に着いた僕はすぐにベッドに寝そべり、枕に顔をうずめる。


(明日も明後日もずっと続くのかな…。うぅ…。)


そうして、枕を濡らす日々が続いていた。




▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼




ドアが開く音がした。


「今から始めますよ。起きてください。」


リュウシンが起こしに来た。

今日はいつもより早い。なぜだろう。

僕は疑問に思い、聞いてみる。


「今日は早いですが、何かあるのですか?」

「えぇ。ですが、あなたが気にする必要はありません。さぁ行きますよ。」


はぐらかされた。でも当然だよね。僕はモルモットなのだから。

いつもとは違う廊下を通り、頑丈なドアがある部屋へ来た。


「ここです。はいってください。」


僕は命令に従い入る。

そこにはただの椅子があった。

座るだけなのかなと思っていると


「あの椅子に座ってください。座るだけで構いません。」


座るだけでいいのなら今日はまだしんどくないかもしれない。僕は安易にそう考え、座った。

だが、その甘い考えをした事を後悔することになる。

――今までの何十倍もの痛みが襲いかかってきたからだ。

魂が削られるような痛みを感じていたら、リュウシンが説明を始めた。


「その椅子は、魔力や魂を蓄積する椅子です。昨日までの行為であなたの魔力、魂は何倍も強化されました。よく耐え抜きましたよ。本当に素晴らしい。

ですので、今日はその全てを頂きますねぇ。」


僕は痛みに耐えながら考えていた。

魔力と魂を強化?吸うだけじゃないの?意味がわからない。

頂くってことは僕の全てを奪われる?じゃあ僕は

――死ぬ?


その考えに至り、僕は本気で助けを求めた。


「い、やだ!死にたくない!お願いします!何でもします!殺さないでください!」


傍から見れば無様に見えるだろうが、それでも死ぬのは怖い。

だが、リュウシンは当然助けてなどくれない。


(あぁ…本当に死ぬんだ…まだ生きたかったなぁ…。色んなものを食べて沢山の人と遊んで、それに、もっと…もっと………


シオンさんとサラさんと居たかったなぁ…)


もはや全てを諦め、大事な人を思い出していた。

その時だった。

すごい爆音と共に、研究所が揺れたのだ。

その拍子に椅子の吸い取る力が止まった。


リュウシンは何事かと焦っている。


「一体何が起こったというのですか!?。私は爆音の元凶へ向かいますので、貴方はそこから動かないでください!」


僕に命令をした後に急いで音の方へ向かっていった。


(もう動けないから逃げることも出来ないよ…。それに逃げたらチョーカーが爆発して死ぬから無理だよ…)


僕は爆音や剣戟が鳴り響くのを聞いていた。


数十分ほど経つと、こちらに誰かが走ってくる音が聞こえる。

僕はリュウシンが帰ってきたのだと思い、絶望していると、来るはずないと思っていた人の声が聞こえた。


「シルフ!どこにいるの!お願い返事をして!」

「助けに来た!どこ!シルフ!」



…間違いない。

シオンさんとサラさんの声だ。

助けに来てくれたんだ…!

僕は嬉しくなるが、痛みで声が出ない。

なんとか声を絞り出そうとしていると、頑丈なドアが蹴飛ばされ、2人が入ってきて目が合う。


「シルフ!良かった!生きてる!」

「助けが遅くなってごめんなさい!いま解くわ!」


僕の拘束を解き、2人は抱きしめてくれた。

温かい…。


「良かった…!本当に良かった…!辛い思いをさせてごめんなさい…助けが遅くなってごめんなさい…」

「シルフ!シルフ!シルフ!」

「シオンさん…!サラさん…!」


嬉しい。2人が来てくれたのだ。本当に嬉しい。

だけど、まだ僕は逃げることは出来ない。

首に爆弾があるからだ。

それを2人に説明すると、サラさんが何か考えた後に僕のチョーカーに触れる。


「解除」


サラさんのその一言でチョーカーは外れた。

僕とシオンさんが驚いていると、


「どやぁ。私天才。」


すごいドヤ顔をした。声に出ちゃってる。可愛いすぎる。

そんなこんなで、動けない僕を連れて研究所を後にした。






▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼





街へ戻り、3人の家に帰ってきた。

帰れないと思っていた家に帰れたのだ。

僕は泣いた。2人を抱きしめて、抱きしめられながら大声で泣いた。

僕は何度も感謝し、何度も謝る。

その間2人はずっと抱きしめて撫でてくれた。

そして、僕は泣き疲れて眠った。







▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼





今私たちに抱かれて、可愛い幼女が寝ている。

生まれた頃から不幸で、幸せを知らずに過ごしてきた女の子。

もう離さない。絶対に。


「シルフが無事で本当に良かったわ。もう絶対傷付けさせないわよ。」

「ん。その為にがんばる。シルフを幸せにするために。私たちをもっと好きになってもらうために。」


サラとシオンは、寝ている幼女を見ながら固く誓った。


読んでいただきありがとうございます。

次が1章の最終話となります。よろしくおねがいします。

評価等頂けたら嬉しくて今よりも舞い上がります。へへ。

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