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10.動き出す悪と幸せなひととき

2/25 日間ファンタジー異世界転生/転移ランキング

63位、2/26 週間170位 でした。ありがとうございます。凄く嬉しいです。これからも頑張ります。


「くふふ。ついに見つけましたよ。必ず私のものにしてあげますよくふふ。」


不敵な笑みを浮かべ、水晶を眺めている男がいた。

ダボダボの白衣、ボサボサの白髪、不健康な顔。

誰が見ても不潔だと思う風貌をしている男の名は、

リュウシン。終焉邪教(ディマイズヘレシー)の幹部の1人である。


「まさかこんな所に最高の実験体がいるとは思いませんでしたよ。あぁ邪神様は私を祝福している!崇高なる邪神様!私はあなたのために全てを捧げます!」


普段の倍は愉快なリュウシンは舞い踊り、研究室を後にする。


――残された水晶に映し出されていたのは、()()()()()()だった。





▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼▼




街のどこかのカフェにて。


「はい。あーん。」

「あ、あーん。」

「ん。美味しい?」

「美味しいです…。」


僕は今、2人に餌付けされている。

…………

2人がさらに過保護になってるような気がする。

ギルドで気絶した日から数日経ったけど、日に日に溺愛っぷりが悪化してるような…。

いや、嬉しいんだけどね凄く。実際今の僕の見た目()()は可愛いから愛でるのも分かる。

でも、自分なんかでいいのかっていう気持ちもあるんだ。

そんなこんなで頭を悩ませていると、


「シルフ。口の横にクリームついてる。拭いてあげる。」

「ありがとうござ…ッ!?」


僕は驚きと恥ずかしさで固まった。無表情だけど。

なぜなら、サラさんに口の横を舐められたからだ。

え、拭いてくれるんじゃなかったのって考えてたら


()()で拭くとは言ってない。シルフ甘くて美味しい。」


ぺろりと唇に舌を這わせた。

その隠微な仕草に僕はたえられなくなり目を逸らした。

逸らした先には、むすっとしたシオンさんがいた。


「サラばかりずるいわ。私もしたいの。シルフ、勿論いいわよね?」

「え、いやあのちょっとまっ…!」

シオンさんは有無を言わさぬ空気で僕に近ずいた。

そこから先は語るのも恥ずかしいから割愛する。

うぅ…。


その後僕達はギルドに向かった。

到着し、受付へ向かうと受付嬢″ミサ″さんがいた。


「今日はどうなさいましたか。」

「一応皆にシルフを紹介しようと思ってね。一緒に来たわ。」


シオンさんの発言が聞こえていたらしい近くのチームが声をかけてきた。


「おーその子がシルフちゃんか。俺たちは″ハザード″というチームで活動している。名はトゥレイターだ。よろしくな!」

「私はアンよ。よろしくね。シルフ可愛いから舐めてもいい?」

「僕はジュン。よろしくお願いします。」


ハザードを皮切りに、次々と色んなチームがシルフに挨拶していった。シルフが可愛いあまり煩悩を出す人も多々いて、その都度2人が睨んだ。

それに対し、シルフはどうしていたかというと、


(こんなに沢山の人覚えられないよ…。えっとトゥレイターさんにアンさんにジュンさんにえっと…。あぁむりぃぃ。)


無表情のまま内心狼狽えていた。

前世から人と関わることが皆無だったので、こうなるのは必然であった。


シルフにとって嵐のような時間が過ぎ、やっと家に帰れた。


「疲れました…。こんなに多くの人と関わるのは初めてで凄く、すごく疲れました…。」

「ふふっ。よく頑張ったわね。偉いわシルフ。」

「ん。今日はシルフ頑張った記念で手料理を振舞ってあげる。」


2人は僕を撫でたりしながらそう言った。

…………

手料理!?


「シオンさんとサラさんの手料理食べたいです!」


目を輝かせる僕を、2人は任せときと言わんばかりのドヤ顔で答えた。



2人の料理が出来上がるのを座って待つ。


(手料理楽しみだなぁ。この世界で初めての手料理!自分にとって大事な人と食卓を囲んで、ご飯食べれるのって幸せだ。しかも手料理。へへへ。)


シオンさんとサラさんが僕にとって大事な人だと自覚し、何を作るのかなって考えてると料理が運ばれてきた。


「じゃーん。私とシオンも大好きなハンバーグ。」

「上手く出来たと思うわ。どうかしら?」

「凄く美味しそうです!」


本当に美味しそうだ。焼きたてでジュージュー音を鳴らし、食欲を刺激する香りが辺りに漂う。

3人が席に座ると、手を合わせた。


「「「いただきます。」」」


ハンバーグの左端をフォークで押さえ、ナイフで切込みを入れると肉汁が溢れてきた。

切り離した部位にソースを絡めながら口に入れた。


(んんん美味しい!もうなんかジューシーでジューシー!美味しすぎる!)


僕が余韻に浸っていると、シオンさんとサラさんが、愛を感じる眼差しで見つめてきてるのに気付いた。


「美味しいかしら?かなりの自信作なのよ。」

「食べ方綺麗。味には自信ある。」


僕は感極まって、


「美味しいっでず…!ぐずっ…。誰かの手料理を食べだのは初めてで...!すびっ...。暖かくて優しくて…!本当に…ありがとうございます...!」


泣いてしまった。

2人は近くに来てよしよしと慰めながら撫でてくれた。


僕は2人を大切にしようと誓い、この幸せな日々が続くようにと天に祈った。





しかしその祈りは神に届かずに、不幸が訪れることになる。


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