01.玄関出たらTSしたし異世界だった
「だれか!たすけて!死にたくない!!」
彼女は化け物に追われていた。全身が傷付くのも気にせずに、森の中をがむしゃらに走っている。恐らく追いつかれたら食べられると思う。
ただコンビニに行こうとしただけなのに、なんでこんなことになったのだろうか。
死に物狂いで逃げながら、こうなる前の事を思い出す。
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僕は、一人暮らしをしている大学生だ。
両親が幼い頃に他界し、祖父に育ててもらった。
祖父はよく怒る人だったけど、僕が出来損ないだから当然だね。
その後、祖父が無くなり、僕が遺産を相続した。
かなりの額で驚いたけど、そのお陰で奨学金を借りずにゆったり暮らせてるのだから感謝だ。
バイトは怖くて出来ないからね。いやほんとに無理。
「お腹空いた。コンビニになにか買いに行こうかな。」
そう思い、財布を持って玄関を出た。
(わ、まぶしっ。)
尋常じゃないくらい眩しくて僕は目を閉じてしまった。
しばらくすると、光が止んで慣れてきたから、目を開けた。
・・・
あれ、どこだろここは
目を開けた先に広がっていたのは森だった。
(なにこれどういうこと。さっきまでは玄関にいたよね。)
取り敢えず、周りを見渡してみた。
(木に土に青い空。あ、あの雲ウサギみたいだ。)
早くも現実逃避を始めた彼女
昔から困った時は、思考を捨てる癖がついているのだ。
「現実なんだ...」
そう思い、口にだした。
そしたらある違和感を覚えた。なんだか声が高いような。それに目線も低いような。あれ、こんなボロボロの服を着てたっけな。
顔を触ってみる。なんかもちもちする。耳が長い。
腕を触ってみる。なんかもちもちする。指は短い。
お腹を触ってみる。すべもち肌。
・・・・・・
恐る恐る下半身を見てみると
(!?!?!?!?!?!?!?!?!?)
「無くなってる!?僕のエクスカリバーが!?未使用の伝家の宝刀が!?」
そう。彼は彼女になっていたのだ。それも10歳くらいの少女に。
混乱している最中、後ろの茂みからざざざっと音が聞こえてきた。
彼女が振り返ってみるとそこに居たのは、よだれを垂らして今にもこちらを襲ってきそうな、化け物だった。
「がるるぅぅ」
(むりむりむりむり!なにあの化け物!?やばいやばいやばい)
僕は全速力で逃げた。腕が枝によって切れても、裸足が故に、足が傷だらけになっても、顔に擦り傷や切り傷が出来ても、無我夢中で走った。
(捕まったら食べられる!嫌だ死にたくない!いやだいやだやだやだ)
死の恐怖で体が震え、涙も止まらない。とにかく走って逃げなければ。
だが、終わりは直ぐに訪れた。
慣れない体で上手く走り続けれる訳もなく、足がもつれて、盛大に転けたのだ。
「ぐふっ、ぐぇ、がはっ」
何回転かした後に木に頭をぶつけた。
(あ、朦朧としてきた...。ここで死ぬのかな...まだ生きた...)
こうして彼女は意識を手放した。