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4話 罪人には死を

「あ、おはようございます!」


 居間へ行くと、ファイムが朝食の支度をしていた。アウルたちに気付き、挨拶をする。アウルは、無言で、壁にかかったローブを手にし、羽織った。


「あ、あれ?」

「そういう奴だ」


 ファイムの戸惑いの声とヨイリの呆れた声を背にし、アウルは、外へ出た。


――――――


 外は一面の木々だった。ここは森の奥深くらしく、ファイムなどのコログの民はツリーハウスを住宅にして、暮らしていた。


「……ここで、道草を食ってる場合じゃないな」


 ぼそりと呟く。その刹那、ざわざわと、村が騒ぎ始めた。


「来た! ホーロンの兵士だ!」


 誰かが叫ぶ。その声に、家の中にいた人々も顔を出してきた。ファイムとヨイリも飛び出て来る。


「嘘……もう、こんなに早く場所を突き止められるなんて」


 ファイムが呟く。そこで、ヨイリは尋ねた。


「ホーロンの兵士って何だ」

「ホーロンとは、この湖のほとりにある城のことです。ホーロンの王は、私たちコログの民を狙っているんです」

「何で?」

「ホーロンは様々な珍しい力を手に入れるコレクション家です。わたしたち、コログの民は、ある特殊な能力を持っているのです。それを狙ってやってくるんです」


 ファイムの顔がどんどん青ざめていく。ヨイリはツリーハウスから勢いよく飛び降りた。


「おい、ヨイリ!」


 思わず、アウルが叫ぶ。ヨイリはにっと笑うと、コログの民とは反対の方へ走っていた。

 アウルは、「ちっ」と舌を鳴らして、ツリーハウスから飛び降りた。そして、ヨイリを追いかけるように走る。


「アウルさん! ヨイリさん!」


 ファイムの声も届かず、アウルたちは、人々の流れに逆らって走った。


――――――


『ほお。自ら戦う気になったか』


 走っている途中。ぐわんと、頭に声が響いた。アウルは軽く頭痛を覚えながら、答える。


「うるさい……。俺は戦う気はなんかねーよ」

『ならば、何故、ヨイリの後を追う』

「俺は、兵士を懲らしめるだけだ。殺すつもりはない」

『ふむ。まあ、いい。どちらしよ、お前は戦えないしな。オレの出番になるだろう』


 そういって、頭の中の声は消えていった。アウルは、下唇をかみ締めた。

 ――誰が、お前の世話になるか! くそっ。


「アウル?」


 急に名を呼ばれ、顔をあげる。ヨイリが心配そうに、アウルの顔を覗き込んでいた。アウルはすぐに、目を逸らし、「なんでもない」と答えた。


「コログの民、一匹でも連れて帰ればいいんだろう?」

「ああ。それなら、そこら辺に逃げた、適当な奴を捕まえて帰ろうぜ」


 兵士が、話し合っているの見つけた。兵士の数は二人。ヨイリが無言で合図を送る。アウルはそれに頷いた。


「やっふー!」


 ヨイリが飛び跳ねるように飛び掛った。


「な、何だ!」

「へっへー。俺を知らないなんて、気の毒に。俺様は、ヨイリ様だぁ!」

「おい、敵は糞ガキ2人だ! 怯むな、やれ!」


 ヨイリがにやりと笑って剣を抜く。そして、大きくジャンプし、兵士の一人に向かって大きく剣を振り上げた。兵士が、手にしていた槍で防ぐ。

 

「なーんてな」


 ヨイリは、振り上げた剣を降ろさずに地面で着地した。アウルが、兵士の後ろに体勢を低くして、回りこみ、鞘のついた大剣で、兵士の足を払った。

 よろめいて倒れる兵士。ヨイリは、もう一度ジャンプし、剣を振り下ろした。


 グサッ――――。


 剣は、兵士に刺さらず、兵士の顔の横の地面に突き刺さった。


「おのれー!」


 ヨイリの背後から、もう一人の兵士が槍を突こうとする。ヨイリは、剣を抜かずにじっとした。


 カキィンッ。

 

 アウルが、兵士とヨイリの背の間に大剣で突き、大剣の刃で槍をはじいた。しかし、それは甘く、兵士は槍を持ち直し、アウルのわき腹を刺した。


「ぐっ……」

「アウルッ」


 驚いて、ヨイリは剣を抜き、アウルに近づいた。アウルがどしゃっと派手な音を立てて、倒れる。

 じわりとわき腹から、血が広がった。


「アウルッ。おい、起きろ! アウルッ」


 ヨイリが叫び続ける。すると、アウルの体がピクンと跳ねた。


「くっ……くくくっ」


 アウルから、笑い声が漏れる。瞬間に周りの空気が凍りついた。

 ゆらりと、血をにじませたままアウルが立ちあがる。


「やはり、今回もオレが始末するのか。最初はオレを抑え切れていたのになぁ。なあ、『死生者(アウ)片割れ()』? と言ったものの、やはり、聞こえぬか」


 アウルが凍りついた笑い顔で、ひとりでに話す。ヨイリはとんでもないものを見たような、唖然とした表情になった。


「ふむ。悪いが、眠っていてもらおうか」


 アウルは、にっと笑うと、大剣の柄でヨイリを殴った。対応できなかった、ヨイリはそのまま意識を失い、どさりと倒れる。


「オレのショータイムはお子様には目の毒だからな」


 アウルは、血を滲ませながら、わき腹を押さえ、自分の手についた血をぺろりと舐めた。


「くくっ。やはり、殺すというのはいつでも、心が躍る。なあ、そう思わないか、アウル?」


 アウルは、笑い声を漏らし、剣を2,3度振って、兵士達に斬りかかった。

作者は主人公が覚醒っていうのは好きな物語のジャンルだったり。


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