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もふもふ

ᓚᘏᗢ ある朝食時の風景 ᗢᘏᓗ

作者: 山目 広介

 その日、朝食をしようと洗顔後居間へと行くと猫がいた。

 私が席に着くとうろうろしていたので膝の上に乗せてみる。


 即座に動けるように香箱座りをせずに、前足の肉球を腿に付けたまま座った猫。

 テーブルまでちょっと距離がある。


 膝掛けを猫に被せ、味噌汁の入ったお椀を左手で取り、箸を持って味噌汁を啜る。

 猫は左向きに座っている。左手が伸ばしにくい。猫にぶつからない様に気を付けてお椀や茶碗を取る。


 正座で座っているとはいえ、猫がいる腿は水平にはならない。

 脚が長いからまだましではあるのだが、ちょっと猫はずり落ちないように斜めに、つまりお腹にくっ付くようにしている。

 従ってお腹がしばらくするとヌクヌクしてきた。暖かい物を飲んだからではない。暖かい物を飲んだ場合は背中とかから暖かくなる。胃も温かいがそれは一瞬だけだ。


 朝食を進める間、猫はそのまま膝の上にいた。ちょっとだけ膝が痺れてくる。

 時計を見ると9分弱だろうか。漸く猫が動いてくれた。

 食器を運び、もう一度、今度は胡坐をかいて座る。


 猫を片方の脚の上に再び乗せると今度はべったりと肘を付けて座った。

 肘掛けのようにして猫の首を掻いてやる。猫は膝の方に頭を向けていた。

 手で撫でる。

 もふもふなでなで。もう片方も追加して両手で。


 だが時間は無限ではない。

 仕方がないので両脇に手を差し込む。脇と踵を手で支えて持ち上げる。

 猫が「にゃっ」と文句を言ったけども、それを無視して家族へと差し出して渡す。


 家族は喜んで猫を抱きしめている。

 私が離れるのを大きな眼でこちらを見てくる猫。

 家族の腕から藻掻いて抜け出し、足元へ擦り寄って来る。

 仕方がないので、そのまま私についてくる猫は階段で私を抜かして駆け上がった。


 途中で勢いが弱まり、ひょっこひょこと片足で一段づつ登っていく猫。

 そこで片足を持ち上げ、サクサクと前に出して引く動作。

 身体の向きを反転したりして脚を踏み鳴らす。

 こちらへ向き直って腰を下ろすと尻尾を振る。


 猫ダンス。

 いや違う。階段の上の踊り場には、その猫のトイレがある。

 つまり砂を掻き分け座りが良い様に足を踏み鳴らし、用を足したわけだ。

 じょじょじょじょじょ~と音もしていた。


 だけど終わっても一番上から、こちらを見下ろしている。

 私は猫がトイレをすることが分かったから登らずに終わるのを待っていたわけだ。

 私が階段を登ることを再開すると猫はそっぽを向いて部屋へと入っていく。

 私の部屋だ。猫の、とも言える。






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― 新着の感想 ―
[良い点] 鮮明に脳内再生出来る日常ですね(笑) トイレの場所が同じだ(笑)
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