~弱くない~
新見と沖田が、にらみ合う。
お互いが、切りあうタイミングを見ている。
先に動いたのは沖田だった。
新見は、沖田の動きに驚いた。
「!?」
「どうしたんですか?」
「今まで出し惜しみしていたんだな。驚いたよ。楽しめそうで何よりだ」
にやりと笑う新見は、少し興奮していた。
沖田は、得意の突きを新見の喉目掛けて突っ込んだ。
新見はギリギリのところで避けるが、頬を切ったようで血が流れた。
「どうですか? 僕は弱くはないですよ」
「認めるよ、君は強い。私も本気で相手をしよう」
新見の目つきが変わった。
沖田が構える。
(さっきよりも威圧が凄い。新見さんが強いのは知っていたけど、ここまでとは知らなかった。)
「どうした? かかってこないのか?」
刀を構えていないのに、新見にはどこにも隙が無い。
「そんなに慌てないで下さいよ」
一息ついた沖田は右足を思いきり踏み込み、もう一度突きの構えをとった。
しかし突きではなく、右に振り上げた刀は垂直に振り下された。
惑わされた新見は沖田の刀を受け止めるが、刃が肩を少し切った。
「くっ!」
新見が声を出す。
沖田を振り払い、距離をとった。