幸せの王子様 AFTER STORY
幸せの王子様 AFTER STORY
「おかあさーん。あさみがねるまえに、なにかおはなししてー」
「それじゃあ、あさみちゃん。この前お母さんが話してあげた、幸せの王子様のお話覚えてる?」
「うん、おぼえてるー。つばめさん、しんじゃって、かわいそうだったー。でもさいごにてんごくにいってよかったー」
「あのお話にはまだ続きがあるの。あさみちゃん聞きたい?」
「うん、ききたーい」
「あのね、つばめさんが王子様の宝石や金箔を貧しい人に上げちゃったわよね。それを貰った人たちがどうなったかあさみちゃんわかる?」
「そのひとたちは幸せになったんじゃないの」
「いいえ、違うのよ。宝石や金箔を貰った人は、それをお店で売ろうとしたの。そしたら、幸せの王子様がつけてた宝石だってすぐにわかって警察のおじさんにつかまっちゃたの」
「へー、そうなんだ」
「だって、街の人がお金を出し合って作った幸せの王子様の銅像をボロボロにして、そこに飾ってあった宝石なんかを売り行ったらだれでも相手を泥棒と思うでしょう」
「うん。どろぼうとおもう」
「あさみちゃん、そういうのをなんていうか教えてあげるね。そういうのを、ありがた迷惑っていうの」
「ありがためーわく。おぼえたーと」
「それとね、あさみちゃん。みんなが大事にしていた銅像を、いくら自分の体だからと言って勝手なことしちゃいけないの。そういうのをなんていうのかわかる?」
「わかんなーい」
「そういうのはね、独善っていうの」
「どくぜーん。おぼえたーと」
「あさみちゃんも大きくなって自分勝手なことしちゃいけないのよ。あなたは、お父さんとお母さんの大切な子なんだから」
「わかったー」
この話を天国で聞いていた神さまは楽園で幸せに暮らしていた王子さまとツバメの魂をゴミ箱に捨てました。