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女子高生は着せ替えられたい  作者: きょうりゅう
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6

 時刻は午後2時55分。


 ど、どうしよう。

 俺は今、国語の授業を受けながらものすごい葛藤をしていた。

 俺の大好きなゲーム、プリチェンの、新しいイベントが……くる!!


 それを知ったのは今日の昼休み。


 まだ仲の良い友達もおらず、自分が異性だからか、特にぼっち飯を気にすることもなく、むしろ気楽だなと思いつつスマホをいじりながら持ってきたお弁当を教室の自分の席で食べていると、教室の中が「きゃーーー!!!」と騒がしくなった。


「プリチェン、新イベントでコンテストやるって!」


「えっホント!?どんなテーマだろう!」


「SAKURAさん、今回も参加するのかなぁ、コーデみるのめっちゃ楽しみ!」


「あたしも今回は入賞した〜い」


 色々なグループの会話でざわざわと騒がしかった教室内の話題は、一瞬にしてプリチェンの話題一色になった。


 すごい……!


 中学の時は在校生徒の半分は男子だったせいでここまで盛り上がらなかったから気づかなかったが、やはりプリチェンの人気は伊達じゃない。


 ここまで人気なら、女子高生の俺はもしかしてプリチェンを起動しても全く違和感ないのでは?そう思ってしまったのだ。そして、その騒ぎの中から聞こえてきた情報によると、本日15時にゲーム内で新イベントのお知らせがあるらしいのだ。


 幸い(?)今受けている授業の国語の先生はおっとりとしたおじいちゃん先生。1、2分だけゲーム内のおしらせを読むくらいなら気づかれなさそうだ。

 あと3分……2分……1分……15時だ……

 俺は、授業中だがどうしても新情報が気になり、スマホを机の中に隠しながら、男の姿ではトラウマ校内はおろか外出先では暫く起動していなかったプリチェンをこっそり起動してしまっていた。


 タイトル画面……タッチ。


 自分のキャラクターが映し出されたホーム画面……


 そこにある「おしらせ」ボタンをタッチしようとしたその瞬間


「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっ!!!!!」


 びりびりびり、と俺の背後の空気が揺れた。背中からとんでもない悲鳴が聞こえてきたのだ。な、なんだなんだ?

 俺は、びっくりしすぎて反射的にサッと机の奥にスマホを隠し、声がする方に顔をむけた。

 もちろんクラス中全員の視線も一点を向いている。その声の主はもちろん、俺の後ろの席で勢いよく立ち上がっていた日野さんだった。


「日野さん、どうしましたか?具合でも悪いんですか?」


 国語の教師が心配そうに日野さんに語り掛ける。


「な、なんでもありません……すみませんでした」


 すとん、とばつが悪そうに日野さんは椅子に座り直し、国語の授業は続いた。

 吃驚した俺の鼓動はまだドクンドクンと鳴り止まず、さすがに今スマホを見る勇気はなく、あと10分程続く授業を黙って聞いていた。


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