表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/55

名前

とりあえず服もできたし、残りの部分は全て食べて、森の肥料とした。


残った骨は邪魔だったので、森方面にぶん投げる。


骨を見て今更だが、このワイバーンがかなりでかいことに気がついた。

羽を広げた大きさは20メートルはあるのではなかろうか。

食べ切るのに2日かかったし。


2日で俺も5歳くらいまで成長した。

薄々気が付いていたが、たくさん食うほど成長するみたいだ。

これ一気に成長してヨボヨボとかないだろうな…?

食うのをやめる気は無いが。


さて、水の準備はできなかったがとりあえず出発だ。

正直もう人恋しくてたまらん。

北に行くか、南に行くか。


南の方を眺めていたとき、かなり遠くに砂埃が舞っているのが見えた。

よく見て見る。

おそらく身体能力強化は視力も強化されている。


……あれは、軍隊?


こっちに向かってきているな。

どうやら、この世界の知的生命体は人型の様だな。

安心した。


先行してくる馬影が2つ、おそらく斥候だろうと眺めていると、こちらに近づいてきた。

そりゃそうだ、だだっ広い草原に少年が一人で突っ立っているんだから。


「貴様!何者っ……?どうしたんだい、こんなところで」


斥候の一人が話しかけてきた。

どうやら子供であった事に混乱している様だ。


「いや、わかんないっす。」


正直に答えた。


「わからないとはどういう事だ?」

「気がついたら森にいまして……、森を抜けてたらここに出たって感じですかね。」

「ふむ……。」


明らかに怪しんでいるな……。

まぁどう考えても怪しいんだが。

こちらとしてはなんとかこの人達に街まで連れて行って貰いたい。


「隊長に相談する、君はここを動くなよ。」


そう言い残し、1人は引き返していった。

隊長かぁ……怖い人だったらやだなぁ。

てか、この世界の事なんも知らねーし、今思えば大丈夫なんかなぁ。

悪い国とか、戦争中とか。

まぁ考えたって仕方ないか。

もう寂しいのはやだし。

そもそも考えるのめんどくせーし。


「喉は乾いてないかい?」


残ったもう1人の人が馬から降り、水の入った皮袋を差し出しながら話しかけてきた。


「あ、ありがとうございます。」


素直に受け取って一口飲む。


「こんなところで1人とは、怖かったろう。」


立膝を突いてしゃがんだ斥候の人は俺の頭をくしゃりと撫でた。


「は、はい……。」


唐突に向けられた優しさに戸惑いを覚えながら、情けない事に俺は涙を止める事が出来なかった。

やっぱ人恋しかったんだな…。


♢ ♦︎ ♢



「君は本当に気がついたらここにいたんだね。」

「はい……。」


俺が泣き止んでから話を始めた彼はポタラさんと言う名前で、やはり斥候だそうだ。


「森で目がさめる前の事は何も覚えてないのかい?」

「はい……。」

「名前はどうだい?」


名前!

名前……?

思い出せる様な……出せない様な……。

……てきとーでいっか!


「キンタです。」


というわけで、俺はキンタになりました。

負けるなキンタ!

キンタまけるな!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ