27歳と27歳
今日の夕方の5時から私はミズキと路地裏のバーに飲みに行く。
これは、大学時代からのルール?だ。
だが、
「いーや!ノアもゆきといーくーのー!!」
今日は飲みに行ってもいいようにノアをひたすら甘やかしていた。
朝早くに飲みに行く宣言をノア以外に言ったのだ。
ノアと一緒に映画を見たり、絵本を読んだり、昼寝したり……ご機嫌とりをできうる限りしたのだ!
「ノア、今日はママと一緒にいよう、ね?」
「いーやーだー!」
玄関の手前まではよかった。ノアがトイレをしている間に着ていく予定だった服を着て、いろいろ準備して……ちょうど靴を履こうとした時にノアがトイレからでてきたのだ。それが3時半。
今は4時。
かれこれ30分はノアに足にしがみつかれている。
「あっ」
ノアの父親がきた!
「ノア、今日はさすがにパパたちといようか」
ナイース!ちょーナイス!
無理矢理ノアを抱き上げた彼は
「楽しんできてくださいね」
そう言って、ノアを部屋に連れていった。
「じゃ、行くわ」
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ミズキとは大学で出会った悪友だ。
ミズキは男で、遊んでいそうな男だった。
実際に遊んでいたし、浮き名を流していた。
見た目は黒髪を遊ばせているイケメンのチャラ男かな?
そんなあいつと交遊し始めたのは本当にささいなことだった。
その日は確か大学でカップルイベントが中庭であったのだ。
私はそこを通らなきゃいけなくて、あいつは多分友達といたんだと思う。
クッソくだんねえイベントだなあ
心底そう思った私はなんとなく視線を右に起こした。
すると、冷めた視線をしていたミズキと目があったのだ。
あいつ同類だなあ
呑気に思った私の近くには既にミズキがいた。
「ねえ今日飲みに行かない?」
その日から私たちは悪友を続けている。
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「あれ、今日早いじゃん」
「仕事が早く終わったんだよ」
「へー、珍し」
ミズキとはなんでも話した。
男女のことや将来、自分の性癖とか包み隠さずに。
オトコとオンナというよりも、なんというか魂で繋がっているうな関係性だ。
「私いつもの」
「お前、バーにきてまで日本酒飲むなよ」
「ここは私のお気に入りのがあるのよ」
「なあ、俺、結婚する」
「へー、そうな……はあ?」
訂正、そう思っていたのは私だけだったようだ。
「知り合いの娘さんとこの間見合いした」
ミズキは大企業の次男坊。しかも、自分の親とは無関係の会社持ってる。
要するにとってもグッドな男なわけ。
「運命の鐘が鳴ったの?」
「フッ、違うよ。
なんでそういうファンシーな方向にいくの。」
「じゃあ、何?」
こいつは金のために結婚するような男ではないし、誰とも結婚するつもりはないって言ってた。ま、私もだけど。
「嫌だった?」
「何が」
「俺が結婚するの」
「……私あんたのことそういうので見てないから」
「じゃあどういう目でみてんの?」
今日のミズキはおかしい。いつもはこんな質問しないのに。
酔ったか?
マスターと目を合わたが、違うらしい。
「なんで俺とこうやって2人きりで飲むの?しかも7年め」
「ミズキは……うーん…私の中ではね魂で繋がってる関係で…彼氏とかより深いっていうかさ……うーん……」
「へぇー」
「なんかね、そういうの超越してるのよ」
「結婚式呼んでやるよ」
「行ってあげなくもないわね」
「マスター、xyzを彼女に」
「なにそれ?」
「いいから」
でてきたカクテルは思ってたよら普通だった。もっと危ない色がでてくると思ってたのに。
「おいしい」
「今度買い物付き合ってよ」
「締め切り直前はやめてね」