0歳と24歳
姉が結婚した、極上の外国人イケメンと。
しかも、できちゃった婚。
留学先で出会ったらしい。
私が思うに、いや世間一般に思うに姉は美人じゃない。中学時代は紫式部とからかわれるほどの平安顔だった。私は清少納言だったが……
普段ミーハーな私が騒げなかった。姉とお出かけしてはイケメンウォッチングをしてキャッキャッしていたのに。
「こんな挨拶になって申し訳ありません」
「いいえー、こんな娘でよければいくらでも」
いい大人の私だが言葉がでてこなかった。姉の旦那はどこか恐ろしかった。優しそうでいいオトコなのに、何かが普通じゃない。
「よろしくお願いします、雪さん」
「あっ、はい」
姉は里帰り出産をするので帰ってきたのだった。
旦那さんが近くのマンションを借りたらしい。
「い、痛い。痛い痛い痛い痛い」
姉が突然叫びだした。
ど、どうしよ、こ、こういう時って何すればいい
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それから旦那さんがてきぱきと動いてくれたので無事赤ちゃんは生まれた。男の子だった。
宇宙人みたいだった。目がギョロっと大きくて薄い水色で、ハゲだった。お世辞にもかわいいとは思えなかった。
「雪、抱っこしてあげて」
「私はいいよ」
「なーにいってるのよ!いいから抱っこしてみなさい」
こういう時に限って母親ってうるさい。
「わかったよ」
私が抱いた瞬間、赤ちゃんが目を開けた。
「ヒッ」
ゾクッとした。
この子はいけない、心の底から思った。
運が良いことに皆に声は聞こえていなかったが、私は震えがとまらなかった。
「雪、大丈夫?」
「あんた風邪ひいてたの?なら早くでていってちょうだい」
「お義母さんそんなこと言わないでください。大丈夫ですか?」
「すみません、ちょっとでます」
この日を思い出さない日はない。