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LAダウン  作者: 宮本あおば
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 メルとスティーブが、パークレンジャーのトラックで州兵のバリケードを越える際、言い訳には苦労した。

 苦し紛れに「ジョージ・ラミレス刑事の身柄を、貰い受けてくる予定で」と説明すると、若い州兵たちは感動した顔で通してくれた。無線でのジョージの言葉は州兵側にも流れたらしい。

 州兵たちの反応から推測すると、ジョージは殺されて、メルはジョージの遺骸を引き取りに行くと思われたようだった。

「俺たちも誇りを持って死にますよ」

 まだ頬の赤い、二十代前半の男が威勢よく敬礼したのに、メルは「死ぬのが偉いわけじゃない」とだけ、返した。

 メルも、かつては州兵と同じだった。考えなしに元気で、死を怖いとは思っていなかった。暑い国で本当の戦争の洗礼を受けるまでは。

 州兵のバリケードが後ろになると、ハンドルを握るスティーブが「若いですね」と微笑んだ。メルは黙って頷いた。

 スティーブに軍隊経験はなさそうだし、まさか保安官補佐官だった経歴もあるまい。かつてオースティンとは、どこで知り合いだったのか。

 さっそく尋ねようと思ったのだが、トラックは蜂起軍に占拠されたサウス・セントラルに入っていた。白人二人を乗せた市のトラックは嫌でも目立ち、何度も停められた。とても身の上話はできない。

 コンプトン市役所の近くまで一直線に伸びるアラメダ・ストリートに入ると、ほとんど一ブロックごとに停められ、行き先と理由を聞かれた。

 場合が場合で、訓練も積んでいないストリート・ギャングたちは恐ろしく張り詰めている。返答次第では、即座に蜂の巣にされるだろう。

 嵐が去った直後なのに、道に出て来ている人間は、かなりいた。ドラム缶で焚火を始めている者もいる。

 市役所まで三マイル(約四・八キロ)を切った辺りでメルたちを止めた男は、露骨に挑発してきた。若いアフリカ系だ。重そうな金鎖のネックレスが耳障りな音を立てた。

 少し離れたところにいる若者の仲間は、それぞれにショットガンを抱えている。

「パークレンジャーに用はねんだよぉ」

 拳銃の銃口で頬を叩かれた。メルはこの酒臭い若造を、どうあしらうかと考えつつ、運転席に視線を流して、驚いた。スティーブが口を大きく開けて、声が出ない様子だったからだ。

 今更ストリート・ギャングや拳銃に驚くとも思えなかった。スティーブは若者の肩の辺りを指差して、口をゆっくり「オー・マイ・ゴッド」と動かした。

「だだだだ誰それ? 二十歳くらいのヒスパニックの女の子。タトゥーが入っている。怒ってる、すごく怒ってるよ」

 いい年をしたスティーブが、ひゃあひゃあと声を裏返らせて叫ぶ姿は、奇妙な迫力があった。いったい、何の話だ。

「何だ、てめぇ」

 心当たりが思い切りあるらしい反応だが、逆効果だ。男の指が撃鉄に掛かって、ハーフ・コックになった。

「馬鹿!」

 スティーブが一喝した。メルの頬にも風が掛かる勢いだ。

「これ以上、人を傷つけると、君の未来もないぞ。今すぐ、教会に行きなさい。分かるね? さあ、早く」

「……何だよ、気色悪い。行っちまえ」

 男がトラックから離れた。撃鉄も戻したようだ。スティーブがゆっくりと車を発車させた。

 仲間に向かって何か訴えている男の背に、「悪いこと言わないから、教会に行きなさいよ」と、優しい声を出した。

「今の言動は、どういう芸当ですか?」

 メルの質問に、スティーブは(ソープ)メロ(オペラ)の俳優が作る苦渋に満ちた顔をした。実に、わざとらしい表情だ。

「交差点にあった車の修理工場、タイヤが沢山、積んでありましたけど、脇から女性のものらしい足が見えてました。暴風雨がやっと終わった朝に、裸で地面に転がる趣味の人は、いないでしょうね」

 修理工場は道の右側で、助手席のメルは遺体に気付いたが、スティーブも見ていたとは思わなかった。

 トラックは街を東西に横切る高速一○五号線の高架下を越えて、コンプトンに近付いていた。

 コンプトン市内に入り、市役所に近付くと、ストリート・ギャングに混じって、保安官補佐官たちの姿が目に付いた。市役所はコンプトン・ブールバードとウィローブロック・アベニューの角だ。

 二階建ての大きくない建物は最初の襲撃で割られたガラスの代わりに、あちこちに板やブルーシートが見えた。最初にドライブ・シューティングで破壊したのに加えて、昨夜の暴風雨を受けての緊急措置だろう。

 正面の階段にはショットガンを抱えた男たちが五人いた。剣呑な雰囲気を漂わせて、座ったり手すりに凭れたりしていた。

 路上に車を駐めて近付いたメルたちを、保安官補佐官の一人が誰何した。

「アンディ・オースティン氏と面会の約束があって来た」

 仏頂面で答えながら、この軍規や軍律のなっていなさはどうだ、とメルは呆れた。

 オースティン自身は、大した男だ。計画を立てて、保安官事務所の中で協力者を増やし、ストリート・ギャングの協力を得て暴動に漕ぎ着けた上に、市警や州兵から寝返る者まで出した。カリスマ性がある人物像も認める。

 しかし、早朝とはいえ、先ほどの男や今、目の前でだれている男たちは、秩序だった系統下で行動していなかった。規律や命令系統が曖昧な組織は弱い。状況が不利になれば、あっさり変節するのではないか。

 ただし、今の蜂起軍には、勢いがある。ベテラン刑事のクリフを寝返らせた力を甘く見る判断は、危険だ。

 目の前の若い補佐官は、疑わしそうな顔をしながらも、無線で誰かに確認してから「通れ」と、顎をしゃくった。

 中のホールで腕を組んで立っていた男は、赤毛の白人だった。ウェスト・ハリウッドの保安官事務所ステーションで、メルに悪態を吐いた男だ。嫌なところで、嫌な相手が出てきたものだ。

「あんたの相棒なら、死んだよ。最期は改心して謝って、やっぱり独立軍に入りたいって泣いたけど、遅かったな」

 赤毛の言葉が本当か、今は拘る場面ではなかった。どう躱したものかと思っていると、スティーブが一歩すっと前へ出た。

「おはようございます。早朝勤務ご苦労様です。私はレクリエーション・公園局、NAUのスティーブ・アイラーズといいます。オースティン警部補には、ずっと以前にお世話になりました。本日はラ・ブレア・ウーマンの件で、どうしても直接お話しなくてはならないことがあって参りました」

 切れの良い滑舌で流暢に告げながら、名刺を出して赤毛に押し付けた。赤毛の迷惑そうな顔を見て、メルはさっき電話の相手にLWの情報があると知らせた話は、果たしてオースティンまで伝わっているのかと、訝しく思った。

 赤毛はスティーブの名刺を舐めるように見て「しょうがない、待ってろ」と、姿を消した。

 ホールの隅で待つ間に、付近が活気づく光景を目の当たりにすると、蜂起軍の勢いは嫌でも実感できた。市役所の駐車場からジープや装甲車が出て行き、武器を持った大勢の男たちが出入りした。

 どこからか運び出した木箱には、数本のロケット・ランチャーが入っており、メルの背中を寒くさせた。SMAWロケット・ランチャーは、市警も保安官事務所も持っていない装備だ。

 待つ間も小さな地震があり、スティーブはロケット・ランチャーを見たときよりも不愉快な顔で足踏みをする。地震が嫌いではなく、焦れているようだった。

 周囲を次々と人が通り、何度も用件を聞かれるためにメルはスティーブにオースティンとの関係を聞けずに時間が過ぎた。

 結局、一時間以上も延々と待たされた。半分は赤毛の嫌がらせかもしれない。

 メルたちが通された場所は、副市長室だった。あえて市長室でないところが、「独裁者ではない」と演説でぶったオースティンらしい気がする。

「おはよう、オズモンド刑事。それから、スティーブ、久しぶりだ」

 クリーニングし立てのような、こざっぱりした保安官事務所のユニフォーム姿のオースティンの姿に、メルは思わず自分の顎に手をやった。

 髭は生えかけだし、服は昨夜の雨に打たれて、よれよれだ。相手からは見えないが、後頭部には縫い目と絆創膏まである。スティーブも、メルほどひどくはないが、草臥れては見えた。

「アンディ、五年前の事件で、奥さんとお嬢さんは、お気の毒でした。葬儀には伺ったんですが、あなたには挨拶できませんでした」

「そうか、ありがとう。君の喋り方は相変わらずなんだな。今、市の職員になっているとは知らなかった。前の仕事のほうが向いていたんじゃないのか?」

 どうやら、オースティンの妻と娘が亡くなっていて、スティーブとは前職での知り合いのようだが、いったい何だ。まさか、スティーブが元詐欺師で、オースティンが逮捕して更生させたわけでもないだろう。

「私の話し方は元々です。だから、アンカーマンになったんですが、性格的に向いていませんでした」

 状況も弁えずにメルは、つい「ああ」と、スティーブの顔を見上げた。整った顔立ちといい、異常なほどに良い滑舌といい、適職だ。以前、どこかで見たと思ったのは、実際テレビで見かけたのだろう。

 スティーブが片目を閉じて、いたずらっぽい笑いを浮かべてから、オースティンに向かって言葉を継いだ。

「あなたが独立を思い立った動機は、乱射事件と前後の騒ぎの影響もあるんでしょうね。犯行の経緯や市議の話は、昔の同僚から聞いていましたが、独立運動に発展するとは」

「事件は、きっかけに過ぎないよ」

 小さく答えたオースティンの声は弱かった。

 再度、スティーブに目を向けると、「五年前のグレンデールでの乱射事件です。ショッピング・モールで」と、答が返ってきた。

 犯人は、解雇された警備員だった。だが、解雇の理由と調査が不透明だった事実を、メルは覚えていた。しかし、市議が関係していた話は、聞かなかった。

「オズモンド刑事は訳が分かっていないようだ。スティーブ、説明してあげてくれ」

「自分で説明したらどうだ」という言葉は、呑み込んだ。オースティンはカリスマ指導者の顔でなく、ただの男になっていた。

 スティーブが犯人と事件の概要を尋ね、メルは覚えていると答えた。

「アンディの奥さんは咄嗟に、赤ちゃん連れの女性をゴミ箱の陰に押し込んで庇ったんです。しかし、既に女性を盾にして隠れようとした人物がいたので、合計三人を庇って凶弾に倒れました。お嬢さんは離れた場所にいたので、奥さんは間に合わなかった」

「女性を盾にしていたのが、市議?」

「市議の娘です。市議の娘は、犯人が射殺されてから、警察が入り、死傷者への救助が行われる状況を、一々、マイクロブログに書き込みました。相当に不謹慎な言葉でね。しかも、写真まで載せました。ですが、写真は直ちに、マイクロブログ側が下ろしている。どういう写真か、想像がつくでしょう?」

 メルは自分の顔が歪んだのを意識した。

 顔の筋肉に力が入り過ぎたせいか、後頭部の縫い目が痛んだ。メルも仕事柄、時折は遭遇する怪物たちだ。自分が何をしているのか、言動がどういう影響を及ぼすか、全く考えない人間はいる。

 オースティンが口を開いた。目が血走っていた。

「自分を助けて撃たれた相手が、救急隊の担架に乗せられ時に、『うわ、痙攣した。キモ!』と全世界に向かって発信する神経は、強靱といえるんだろうね」

「本人だけの問題だったなら、まだマシだったかもしれません。父親はグレンデールの市議会議員でした。一族はロサンゼルス近辺で様々なビジネスに携わっていた。市議は大慌てで娘のインターネットの足跡を消しました。グレンデール市警にも圧力を掛けて娘の記録を変更した、との噂まであります」

 途中からスティーブが続けた説明に、オースティンがまた口を入れた。

 事件後すぐ、乳児連れの女性はオースティンに会って、もう一人、命を救われた若い女性がいた話をした。

 ほんの短時間インターネット上に出ていた市議の娘の「呟き」を見た人間がカメラで撮影した画面は、オースティンの部下が手に入れた。

 後日、市議に会ったオースティンが市議の娘の話を切り出すと、市議は詫びたり、礼を口にする素振りは見せなかった。娘は事件の際に「運よく難を逃れた」だけだと言い切った。

 犯人の元警備員の悲憤も、オースティンの娘の運の悪さも、妻の強さと優しさも、市議の娘の行いも、初めから何もなかった。従って、何かを騒ぎ立てる言動は間違いと言わんばかりの態度だった。

 世の中は、市議の希望通りに動いていた。

「こんな事件は、掃いて捨てるほどある。そうだろう?」

 わざとおどけた表情を作り、肩まで竦めるオースティンは痛々しいのを通り越して、グロテスクだ。

 もう一度、小さく肩をそびやかしてから、やっと力を抜いた顔になった。

「だが、グレンデールのような事件が頻繁に起こる社会で、今後もずっと生きる気は、ないんだ。分かるね、オズモンド刑事?」

 厳しい目を向けられて、メルはオースティンのカリスマ性の一端を理解した。オースティンが、誰彼かまわず家族の事件を喋っているとは思わなかった。

 正しい言葉とオースティンの瞳に「逆らいたくない」と、思わせる力があるのだ。メルはオースティンの瞳を見据えたまま、ゆっくり微笑んだ。

「分かりますし、賛成ですよ。ただ、社会を変えるやり方に関しては、賛成できませんが」

「残念だな」

 浮かんだオースティンの微苦笑が、意味深げだ。「ちょっと」とスティーブが口を挟んだ。

警官(コップ)同士の求愛は、もういいでしょう。独立軍まで来た本題に入らなくては。アンディ、あなたはラ・ブレア・ウーマン、LWの使い方を間違えています。あなたにLWの話を教えたのは、いったい誰ですか?」

 オースティンが虚を突かれた表情を浮かべた。メルが電話で伝えた言葉は、きちんとオースティンに伝わっていなかったらしい。

 ジョージはもう赤毛の男が告げたように、殺されてしまっただろうか。顔に出さないように、口を開いた。

「ロン・ニミッツってカリフォルニア州立大学ノースリッジ校の学生は、御存知ですね? ロンがあなたの犯罪に関して唄ってくれています。『センセイ』と仰る方がLWをコントロールしているそうですが、会わせて頂きたい」

 スティーブとメルに畳み掛けられて、オースティンがゆるゆると首を振った。聞き分けのない子供を相手にする仕草に、苛立った度合いはスティーブのほうが高かったようだ。

「アンディ、あなたはLWが手を貸すと思ったかもしれませんが、間違っています。私たちはペイジ博物館にいた、ハミルトン博士の遺したノートを調査したんです」

「おや、今は変わった仕事をしているね。しかし、自然歴史博物館に限らず、博物館や団体での権力争いの凄まじさといったら、ないね。学者が研究に集中できず、真面目にやる者ほど、上には上がれない仕組みになっている」

 一際きんきん声を張ったスティーブに、オースティンは世間話のように答えた。

 遠くで銃撃の音が響き始めた。蜂起軍が州兵の防御ラインを突破しようとしているのだろう。時間は、もうあまりない。

「いいですか、あなたが起こしたLWは、九千年間に亘ってタールピットに閉じ込められた恨みを晴らしたい怪物です。地震や嵐は、決して蜂起軍を避けてはいません。このままでは、あなた方の独立どころか、ロサンゼルス郡域自体が壊滅状態になります」

「スティーブ。君には、どんな根拠があるんだ? もう我々は蜂起してしまったし、ラ・ブレア、ウーマンは、様々な現象を我々のために起こしている。コミュニケーションは取れているんだよ」

 宥める口振りのオースティンの顔色が、若干、悪かった。自信が揺らいでいるように見えた。

「根拠はハミルトン博士だ、と言ったでしょう。コミュニケーションは『センセイ』がとっているんですか? とにかく、話をさせて下さい。私はLWの件さえ確認できれば結構。あなた方は、独立の戦いを展開すればいいでしょう」

 威勢よくスティーブが言い切った。オースティンが眼球だけを動かしてメルをちらりと見た視線に、軽く頷いてみせた。

 市警のメルとしては、スティーブほどLWだけに固執できるわけでもない。だが、今は、ともかく『センセイ』とやらに会わなくては、話にならない。スティーブが持っている情報だけが頼みの綱だ。

 オースティンは渋々といった風情で、机上の電話を取り上げた。

「先生、おはようございます。レディのご機嫌はいかがですか? 実は、ロサンゼルス市の関係者が来ておりまして、どうしても先生と話がしたいそうです。ご足労を」

 途中でスティーブが素早く口を挟んだ。

「LWもご一緒に、お願いします」

 大きい声だったから、相手にも聞こえただろう。

「よろしいですか? では、お待ちしています」

 慇懃にオースティンが電話を切った。「先生」は、どこから来るのか。ふいに沈黙が落ちた空気を掬い上げるように、メルは口を開いた。

「ペイジ博物館を襲った際には、何が起きて、キャシー・コーリックは殺されたんですか?」

 オースティンは現場にいた気がしていた。いなかったにしろ、報告を聞いてない訳はなかった。

 キャシーの話を避けるかと思ったが、オースティンは一瞬、口を引き結んでから答えた。

「キャシーの心変わりは、致命的だった」

 キャシー・コーリックは予定通りオースティンたちと館内に侵入し、LWと犬の収容されているキャビネットを開けた。

 ところが、気が変わったそうだ。LWの頭蓋骨がカタカタと動いてハミングのような歌が聞こえたためにひどく怯え、計画は中止すべきだと言い出した。

「むしろ私は、LWの歌を天啓だと思ったんだがね。ともかく、時間がなかった」

 苦い物を飲み下す顔で、オースティンは説明を続けた。やむを得ずキャシー・コーリックを射殺し、キャシーが抱え込んだ犬の骨は諦めて館外へ逃走した。外では、見張りが警備員を撃つアクシデントも起きていた。

 駆け付けた警備員が銃を抜かずに至近距離で撃たれた理由は、相手が保安官補佐官のユニフォームを着ていたからだった。

「それからウェスト・ハリウッドに戻ったわけですね。道理で、カメラに映っていないわけだ」

 自宅も同然の管区内なら逃走はおろか、犯行に使った車から乗り替え、車をしばらく隠しておく手配も難しい作業ではない。保安官補佐官が束になっての犯行だとは、およそ誰も考えつかなかった。

「キャシー・コーリックとは」

 どのように接触したのか、と聞こうとしたときに、ノックの音が聞こえた。「先生」は市役所内か、ごく近くにいたようだ。

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