己と獣たちとの関係
戦闘が終わり、己が棒の様な物や周囲に飛び散った赤い物を吸い取り終わり、獣たちに意識を向けると、獣たちは何をするでもなくこちらを見つめていた。
しばしその事について考え、
食べていいぞ。との結論を下した。
その判断は間違いではなかったらしく、獣たちは三匹の緑色に噛り付いた。三匹が食べている間は完全な無防備となる。
この辺りは、今まで庇護を受けていた獣たちならではといった所だろうか。
故に、その間の警戒は己がする事になる。それでも、獣たちの知覚力は己よりも上なので、あまり意味は無いかもしれない。
獣たちが食事に夢中になっている間に獣たちとの関係について考える。あの赤い物によって、何らかの繋がりが出来たのは確かである。それは、白から確認した事だ。
その繋がり、と言うのが何なのかは、分からない。強制力のあるものなのか、任意の物なのか、切ることの出来るものなのか、出来ないものなのか。
強き獣の、獣たちを見る目を思い出す。あれは慈愛に満ちた物だった。
ならば、獣たちの意思を無視するような繋がりは、己と獣たちの間には作らないであろう。獣たちは己の提案に、進んで従った。
それを考えると、己の立場も低くは無い。であるならば、獣たちとの関係はほぼ対等であると、考えるべきだろう。
獣たちは賢いが、経験が足りない。それは、己にも言える事だ。経験が足りないなら、数で補えば良いという事だろうか。
いや、違う。少しでも我が子が生き残る確率を上げたかったのだろう。己は動く壁も同然だな。だが、いいだろう。それは己にも言える事なのだから。