白、黒、灰
静かになった小さな獣たちを見つめる。
小さな獣たちは三匹でそれぞれ黒、白、灰色の体毛を持っている。そのどれもが、行儀よく座りこちらを見上げている。
己にどうしろと言うのだ。
小さな獣たちの行動に困惑していると。小さな獣の一匹が声を上げた。声を上げたのは白い体毛を持つものだった。
白は地面横になると、ゴロンと転がり己に腹を見せた。
その意味を測りかねていると、白に続くように黒、灰も腹を見せるように横になった。
腹、と言うと先の己とよく似た者達が腹に何やら硬い物を付けていたのを思い出した。獣たちはそれを押し退けながら、何かを貪っていた。
獣は己とよく似た者達の様に、あのような硬い物を牙と爪以外持ち合わせておらず、腹には硬い物がない。つまり、腹を見せるという事は自らの柔らかい部分、最もあの赤い物を流し安い部分を見せているという事だ。これが、意味する事はつまり・・・
己に服従する、という事か?
白が吼えた。そして、座る体勢に体を立て直した。黒も、灰もまた同じく。
これは、己の意思を汲み取った答えなのか?
またも、吼えた。
何故、己の思考を読める?
白は、吼えなかった。代わりに先程動かなくなった獣の方へ行き、小さく鳴いた。
あの獣が己に何かをしたのだろうか?
白は、またも吼えなかった。代わりに、獣の体の至る所にある傷の一番大きい物に鼻を押し付けた。すると、あの赤い物が流れ出してきた。
この赤い物・・・これが何かあるのだろうか?獣の赤い物を己が吸い取った事に、何か関係があるのだろうか?
白が、一際強く吼えた。