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強き獣と小さき獣たち



己の飢えを満たすために、まずは獣の向かった方へと向かう。


あの獣は、強い。これは己の本能ともいえるべき所がそう判断している。事実、己と似た形をした者達複数を相手に単身で勝ったのだ。間違った判断ではないだろう。


己の飢えを癒す為に、あの赤い物が必要であるならば、あの赤い物を持った動く物から流させる必要がある。そして、その術を持つあの獣を観察する事は、己の力になるだろう。


とは言え、あの獣も先の戦いで随分とあの赤い物を流していた。あの赤い物を流し過ぎると動かなくなるのであれば、あの獣もまた動かなくなっているかもしれない。




地面に落ちた赤い物を頼りに、獣の後を追う。すると、今までの通路とは違った・・・小部屋があった。


その中に意識を向けると、小さな音がする。何かを呼ぶような、縋るような、小さな声だ。


意を決し、中に足を踏み入れると、そこにはあの獣が横たわっていた。その体の下にはあの赤い流れる物が溜まっていた。


小さな獣たちは己を認識したのか唸り声を上げている。その声に合わせ、獣がこちらに横たわったまま顔を向けた。


獣は強い意志を感じさせる目でこちらを睨んでいる。だが、己に襲い掛かる様な力はもう持ち合わせていないらしい。


とてつもない程の長い時間、獣と見つめ合った様な気がした。獣は何を思い、己と向き合ったのか、己に何を見出したのか。気付いた時には獣は動かなくなっていた。


己はしゃがみ込み、地面に溜まった獣から出た赤い流れるものを吸い取って行った。


飢えは今までで一番満たされた状態になっている。


意識を戻すと、さっきまで唸り声を上げていたのが嘘のように、小さな獣たちが静かにこちらを見つめている。


一体なんだと言うのだろうか?




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