棒の様な物と流れる赤い物
棒の様な物に手を掛け、拾い上げる。結構な重量があり、棒の様ではあるが、丸くなく平べったい。そして何より、硬い。試しに己の手で叩いてみると、キィンと言う硬質で高い音がした。
平らになっている端で、角になっている所にはあの流れる赤い物であろう物が付着している。赤ではあるが、流れていた時とは違い、暗い色になっている。そして、今は流れておらず、固まっている。
赤い物に手を触れる。すると、暗かった色が鮮やかなものに戻り、己の指先に吸い込まれていった。そして、常に感じていた飢えが、少量ではあるが満たされた。
それに気づいた己は、棒の様な物に付着していた赤い物を己の指先で拭い取り、そして付近に飛び散っている赤い物を片っ端から己の指先で吸い取って行った。
結構な量を吸い取ったが、己の飢えが満たされる事は無かった。
だが、あの赤い物を吸い取る事によって、この飢えが満たされる事、また赤い物であれば獣の物でも己と同じ形をした者達の物でもいい事が分かった。これは大きな収穫であると言えるだろう。
であれば、あの赤い物を迸らせるこの棒の様な物は、己にとって非常に有用な物であるという事になるだろう。
これを最も効果的に使う為には己と同じ形をした者の観察が重要である。そして、これを十全に扱えるようになった時、この飢えは満たされる事になるだろう。
あぁ、腹が減った。