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第2話 真実

 シグは、考えていたようだった。

「玲、あなたがここに来た時、玲には私の姿が見えていたのよね」

「うん、ハッキリ見えていたよ」

「なんでだろう。今になってどこかで見たような気がするのよね……」

「僕、ここに来たことないですよ」

「まあ来たことあったとしても、ここにいる間の記憶はなくなっているから、来たっていうことが証明できるとすれば、ここにある人形たちなのかな」

「でも、ここにある人形ってたくさんあるよ」

「じゃあ、玲、探して」

 見ただけでも二百個以上はあるだろうこの人形たちから、自分の人形を探せ、というのか。

 いや、でもここで断ったら、きっと僕は殺されるだろう。

 自分の人形を探すか、殺されるか。

「選択肢ひど……」

「ん? なんか言った?」

「なんでもないよっ!」

 とりあえず、人形をひとつひとつ、手当たり次第に見てみることにしよう。

 それ以外の方法はないだろう。

 僕は入り口付近の物から順に探すことにした。

 

 僕は注意深く、一つの人形を手にとった。

 それは、棚の上にあったものではなく、ひとつだけ棚の中にあったものだった。

 まるで、大切なものを保存しておくかのように。

 スニーカーにジーパン、パーカーを着た人形。

 それは紛れもない、少し昔の僕の姿そのものだった。

「……僕だ」

「あった?」

「うん、これ僕だよ!でもなんでここに……」

「あなたが一度ここに来たことがある、ってことね。ということは、あなたは人間、ではなくて人形、なのね!」

「どういうこと?」

「ここで殺された人は、私の繰り返す力によって元通りの自分に戻るの、って言ったよね」

「うん」

 確かにシグは、そんな事を言っていた。

「でも、それ、実は繰り返す力を失敗しちゃって、人形のまま、元の世界に帰っちゃったの。だからあなたは人形なのよ」

「じゃあ、どうして僕が生きているの?」

「さあね、私もそうやってできたものだからよく分からないんだけどね……」

「シグは誰かが繰り返す力を失敗したことによって、人間に戻りきれなかった人形ってこと?」

「そ、そして、玲は私が繰り返すのを失敗したから人形のまま戻ってきたってこと。」

 僕はシグの失敗作、ということか。

「玲は私と同じだったってことなのね。だからあなたは私が見えたのね」

「普通は見えないの?」

「普通の人は私のことは見えないはずなんだけど……ま、いいわ。とりあえず、今日は人形遣いとして、繰り返す力を教えてあげるわ」

「え、はい。できるかなぁ」

「大丈夫、簡単よ」

 僕が人形遣いとして、一連の動きをできるようになるのは、いつのことだろうか。

 僕の特訓は始まった。

 

 Continue to next loop……


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