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悪役令息に転生した俺は『原作知識』を駆使して破滅エンドを回避する 〜 原作に無い展開が始まったんだけど、ちょっと待って!?〜  作者: 彼方こなた
二章

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17/22

17. 終わり良ければ


 先日のドタバタが嘘のように静かな朝が俺を迎えた。

 俺はまだ眠っていたい欲を押し殺しながら、ベットから這い出る。


「おはようございます、アルベルト様」


「ああ。おはよう」


 フェリシアからタオルを受け取り、洗面台へ。顔を洗って、意識を覚醒させ――って。


「フェリシア、どこから入ってきた」


「普通に窓からです」


 普通は窓から入らないんだが。


「諸々の後始末が終わったことを報告しに来ました」


「ご苦労。とりあえず簡潔に説明してくれ」


 朝から詳細に説明されても覚え切る自信はない。


「承知致しました。まず、バードラ・ディブラですが、現在は学園の収容室に入れられているそうです」


「ほう」


「学園内での余罪の調査、という名目だそうです」


「学園の不祥事が外に漏れることを恐れたか」


「おそらく。実際に、リリス様をはじめとする関係者には口止めをしているそうなので」


 そうなると、学園側は隠蔽することに舵を切った感じか。王族の誘拐だなんて、隠し切れるわけがない。……そこはどこかの腹黒王女が、何を企んでいるのか気になるところだ。


 ちなみに、バードラ先生と戦った主人公チームは大怪我をした人はいなかったようだ。毎日保健室に行かなくていいと、ロイドが安心していた。


「続いて、バードラ・ディブラからの伝言です。『私が入学式の日に会った人物。それが私に情報を与えてきた人だよ。……これで、約束は守れたかな?』、と」


「『縁結び』の効力が薄くなっている。約束は守ったと認められたか」


 名前を言え、にすればよかったか。

 反省しつつ、考える。情報の提供者がサーシャだと考えていたが、どうやら違うらしい。だが、俺は入学式当日のバードラ先生の動きを知らない。


 (地道に調べていくしかないか。一応、これでひと段落したわけだし、問題ないだろう)


「最後に――」


 こんこんっとノックをされる。

 思ったよりも時間が経っていたようで、そろそろ学園の食堂で昼を食べるために向かう時間だった。


「お兄様、一緒に行きませんか?」


「ああ。待っていろ。すぐに向かう」


 俺は手早く準備を進めた。

 制服を手に取った時、はたと気づいて動きを止める。


「フェリシア、少し席を外せ」


「いえ。お気になさらないでください」


「……目を閉じておけ」


「承知致しました」




 支度を終え、俺は部屋の扉を開ける。


「あ、お兄さ……ぇ、フェリシアさん?」


「気にするな。ちょうどさっき用事があって呼んだだけだ」


 扉の横に立っていたアメリアがまさか、という顔をしたので早めに否定しておく。こういうのは早い方がいい。


「では、学園に向かおうか」


「は、はいっ」


 足を進めつつ、たわいのない話をする。大半はリリスの話で、二割ほどがセラフィとサーシャの話だが。

 けれど、彼女は一度として先の騒動の話を出すことは無かった。


「アーメーリーアーちゃんっ!」


 校舎の影が見え始めた頃、風のように現れたセラフィがアメリアに抱きついた。


「せ、セラフィさん!?」


「お、おはよう、ございます。アメリアさん、……アルベルト」


「サーシャさん!」


「よう。あんたらも元気そうでよかったよ」


「……エンブレッド様」


 

 彼女たちとも随分と仲良くなったようだ。少しずつだが着実に、アメリアは良い方向に変わっていっている。

 ……ロイドに対してはずっと変わらないけど。


 セラフィがアメリアに構い倒す姿を眺めながら、俺は歩くスピードを緩める。


「無事だったようだな。サーシャ」


「……おかげさまで。ま、私は悪いことはしてませんから」


「……そうだな」


「あと、もうちょっと高圧的に話せませんか? 解釈不一致なので」


 知らないよ、そんなこと。


 サーシャが今回の件で罪に問われることは無かった。

 俺に濡れ衣を着せた件を俺が訴えるつもりはなかったし、バードラ先生も協力者について口を割ることはなかったらしい。


「とりあえずは、あなたのことは様子見します」


「そうしてくれ。目的は同じなのだから」


 サーシャ――華村 瑞希の目的はアルベルトを破滅から逃がすことらしい。だから、命の危機がない程度に危険な目に合わせ、ここから逃げ出す方向に持っていきたかったようだ。


「……本当に破滅を回避できるんでしょうか」


「できるだろう。俺たちにはこれから起きることを知っているのだから」


「本当に?」


 彼女が問いかける。


「原作とのシナリオは大きく変わってきています。シナリオを知っている。その事が、今度は逆に足を引っ張ることになるかもしれません」


「ああ……そうだな」


 原作では、アルベルトはロイドたちと友達にはならず、アメリアとの仲も険悪なままだった。その結果、本来なら彼らは俺を助けようとはしない。

 だが今は違う。少しずつシナリオが変わり、原作から――大きく逸れ始めている。


 ――本当にそれだけなのか?


 嫌な考えが頭をよぎる。俺は、ぶるりと肩を震わせた。


「そうだな。……一層、気をつける」


 俺はそう言うと、前を歩く彼らに追いつくべく足を早めた。




 

 ☆ □ ☆ □ ☆




 暗くてジメジメとした光の届かない場所。

 そんな誰も近寄らないところに、訪問者が現れた。その人物を見ると、牢屋に入っていた男は「ああ」と頬を綻ばせる。


「おやおや。まさかまさかのお客さんですね。……何か御用でも?」


 人影は何も言わない。けれど、男――バードラは何かを察する。


「そのことですか。えぇえぇいいですよ。ちょうど暇していたところなんです。だから、少しだけ手伝ってあげましょう」


 バードラの体がゆらりと揺れる。それと同時にガチャガチャと鎖が擦れる音がした。



「――『始まりの魔導書』が欲しいのですね?」


 彼は言う。封印された魔導書を。

 彼は知っている。それが、どれほどに危険なものかを。


 物語は、元来のシナリオから大きく外れ加速し始めていた。

 

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