「議員定数1割削減」に賛成することは「スパイ」の情報操作に負けてるよ
筆者:
本日は当エッセイをご覧いただきありがとうございます。
今回は維新の会が自民党に総理指名選挙で「高市早苗」と書くための絶対条件とした「議員定数1割削減」が既得権益強化に繋がるなど、いかに良くないかについて語っていこうと思います。
質問者:
議員定数削減はそんなに良くないことなんですか?
現状働いているとは思えない議員ばかりという印象で、
そういった方々が落選する可能性が上がるので良いことのように思いますが……。
筆者:
おっしゃりたいことは政治経済を分析している者として骨身に染みるほどよく分かります。
議会中に堂々と寝ている議員や、とても仕事をしているとは思えない「ふざけた議員」は数えきれないほどいるために、彼らを一人でも多く落選させたいと皆さん思われていると思います。
また一見すると、議員が自らの席を減らすことは日本維新の会の掲げている「身を切る改革」かのように見えて、「さも良いことを思い切ってやっている」ように見えるんですね。
質問者:
しかも衆議院の場合は「比例復活」という制度があるのでよっぽど民意を示しているとは思えないんですよね……。
今回の案では衆議院の比例代表が176議席⇒126議席になることは特に良いことなのではないのですか?
筆者:
皆さん、恐らくそういうご認識だと思います。
しかし、比例代表削減は残念なことに「既得権益強化」です。
データを示しましょう。
2024年の衆議院選挙を小選挙区の獲得議席と比例代表の獲得得票数をそのまま適用して、
175議席から125議席に減らしてそのまま各政党に配分すると、
自由民主党 59 → 42
立憲民主党 44 → 31
国民民主党 17 → 12
公明党 20 → 14
日本維新の会 15 → 11
れいわ新選組 9 → 7
日本共産党 7 → 5
参政党 3 → 2
日本保守党 2 → 1
議席にそれぞれなるとなると思われます。
※きちんと指定させたつもりですがAIに計算させたために必ずしも正しいとは限りません。しかし、大体のイメージとしては似たような感じになると思われます。
この仮定で行くと自民党は小選挙区を合わせて174議席、維新は34議席を獲得することになります。
50議席減ると過半数は233から208になるのですが、この2党を合わせると、ちょうど過半数の208議席になるんですね。
全政党減っていおり、自民党が最も減っているとはいえ小選挙区でより強い自維に有利な状況になるということを如実に示していると思います。
質問者:
50議席比例代表の議席数が減るだけでそんなに大きく変わりそうなんですか……。
筆者:
参議院についても同様に2022年と2025年でそれぞれ当時の獲得票数で12議席ずつ減らして(半数改選の上に議席数も約半分のためにこれぐらい減るのが同じような比較になります)分配しなおしたところ
自由民主党 18+12=30 ⇒ 15+9=24
立憲民主党 7+7=14 ⇒ 5+5=10
国民民主党 3+7=10 ⇒ 2+5=7
公明党 6+4=10 ⇒ 5+4=9
日本維新の会 8+4=12 ⇒ 6+3=9
れいわ新選組 2+3=5 ⇒ 1+3=4
日本共産党 3+2=5 ⇒ 2+1=3
参政党 1+7=8 ⇒ 1+5=6
日本保守党 0+2=2 ⇒ 0+2=2
チームみらい 0+1=1 ⇒ 0+1=1
社民党 1+1=2 ⇒ 1+0=1
旧NHK党 1+0=1 ⇒ 0+0=0
現状は過半数125で自民維新が119と6足りないわけですが、
参議院は比例が24減ることで過半数113となり、自民党94議席 日本維新の会16議席で110議席となり、足りない議席数としては3まで迫ることになるのです。
このような現象が起きているのは、自民党が政党単体としては6と最も減っているわけですが、野党総計となるとそれ以上に減っているということです。
◇よくある議席数に関する質問
質問者:
状況としては衆議院と似たようなことになるわけですか……。
でも参議院はどうして少数政党で1議席も減っていないところがあるんですか?
筆者:
減っていない党はギリギリあと1議席届かない感じだったので、分母が12減ったとしても配分議席数としては変わらないという感じです。大体得票率2%おきに1議席だったのが2.4%で1議席になったという感じです。
質問者:
しかし、一番議席数に影響が大きそうな共産党さんや社民党さん、NHK党さんは賛否両論がありそうな政党なので、どちらかというと減ってくれた方が嬉しい方というのは多いのではないでしょうか?
筆者:
確かにそういう側面はあるかもしれません。
ただ、僕は「現状の全ての国政政党に問題がある」と感じており、
今後更なる政党の新規参入していくことが望ましいことだと考えています。
また、上記の賛否のある政党が議席数を持っていたところで元々政治に対しては微々たる影響しか無いです。
質問者:
確かにそういう側面はありますね……。
筆者:
それよりも、影響力工作を外部から仕掛けてきている側からしたら、
「人数が少ない方がやりやすい」といった要素にもなります。
そして、得票数に応じて当選する比例代表が減少することは、少数政党・新興政党、新規参入をしようとしている政治団体に対しては間違いなく不利になります。
せっかく多党制になり事実上の自民党独裁の様相が崩れつつあるのに選挙制度で多様な意見が無くなってしまうことは大きなマイナスになると思います。
質問者:
それなら小選挙区の方も合わせて合計で1割減るというのはどうなんでしょうか?
筆者:
小選挙区を削るとなると人口比で議席数が配分されるために東京一極集中の様相が強くなり、地方から議席が無くなっていきます。
そのために地方の意見が届きにくくなるんですね。
そうなると議席数に関してはとりあえず現状維持で問題ないように感じますね。
質問者:
ただ、日本は議員の数は諸外国と比べて多いうえに報酬や手当などを合わせると1議員当たり6000万円~7000万円ほどかかっているという試算もあるそうじゃないですか。
減った方がいいんじゃないんですか?
筆者:
確かに議員数は多く見えます。
ただ、人口比で見た場合はこの図のように少ない方なのです。
ちなみにこの表ではアメリカが最下位となっていますが、
連邦国家であるために各50州のそれぞれの州議会議員が国会議員に相当するという見方もできるので、それを含めるとこれより全然上の順位になると思います。
質問者:
なるほど、これ以上議員数が減るとなると日本の民主主義にとって危険だということですか……。
筆者:
議員報酬についてですが、1人当たり7千万円が700人いても5000億円程度です。一般国民からしたら多額ですが、国家予算から110兆円前後から見れば微々たる金額です。
仮にどうしても減らすというのであれば、衆議院の場合は中選挙区導入と同時にやらなくてはいけないと思います。
小選挙区制度では2位以下は死票になり、議席数として反映されません(個人として比例復活したとしてもその党の全体議席数としては損している)。
いずれにせよこの「比例代表50議席減」の提案はここまで見てきた通り、
提案している自民党や日本維新の会が有利に働くシステムだということを指摘していかなくてはいけません。
質問者:
議員定数を削減するにしてももっといい方法を考えるべきですよね……。
筆者:
しかもそれが国民に対してあまり伝わることないまま「臨時国会中に比例代表50減の法案を成立」を拙速に目指そうとしているのですから本当に問題だと思いますよ。
政治や民主主義の根幹にかかわることですから、もっと慎重に色々な立場の専門家を呼んで時間をかけて議論して行くべき案件だと思います。
質問者:
筆者さんの言う「ふざけた議員」についてはどうしたらいいんでしょうか?
筆者:
「ふざけた議員」は巨大政党にも存在しており、しかも全国的な知名度だけはあるために比例議員数の分母が減ったとしても平然と当選する可能性はあり得ると思います。
僕は人数の問題というよりも、任期途中で国民側から辞めさせるシステムや、
問題を起こした議員の議員報酬を減らさせるシステム、
国益に反する行動をした場合、議員報酬相当額を全額返還させるシステムなどを構築していく必要があるように思いますね。
本当に「改革」をしたいのであれば欧州であるような「70歳又は75歳定年制」の導入などをして既得権益を破壊し、新陳代謝を活性化する方向性にした方がいいと思います。
質問者:
何か同じような方々が居座り続けて政治家が変わらない感がありますものね……。
しかも世の中では「後期高齢者」に該当される方がいつまでも力を発揮できるかも怪しいですし……。
比例復活の問題についてはどうなんでしょうか? やはりこれに最も不満を持つ方が多いと思うのですが。
筆者:
比例代表の議員数を減らすことと比例復活制度は切り分けて考えるべきでしょう。
衆議院も参議院と同様に選挙区と比例代表を完全に切り分けた方がより、民意を反映していいと思いますね。
質問者:
確かにそういう感じはしますね……。
筆者:
このように議員定数削減(特に比例代表のみ)を賛成されている方は既得権益強化に賛同している「情報操作要員」か、その強化される現象が起きることについて無知なのかのどちらかだという認識と思った方がいいと思います。
僕は出来る限り議員定数削減は危険であるということを広めていきたいと思いますね。
ということで、このような政治や経済について個人的な意見を述べていこうと思いますのでどうぞご覧ください。