バジーリオ
セリオンは順調に勝ち上がった。
セリオンの敵たちはことごとくセリオンを殺そうとしてきた。
彼らはジェンティーレの手下だったのだろう。
そしてセリオンの前に革新的な敵が立ちはだかる。
<セリオン選手、バジーリオ選手、リングに上がってください!>
アナウンスがなった。
セリオンがリングに登る。
「ほっほっほ、おまえさんがセリオンか?」
「そうだ。俺がセリオンだ」
セリオンの前に現れたのは全身鎧を着た人物――。
だが、セリオンはそんなことでは惑わされない。
セリオンはバジーリオの正体を喝破した。
「おまえ、アンデッドだな?」
「ほっほっほ、そうじゃ。わしはアンデッド。アンデッドキング・バジーリオじゃ」
「やはり、この闘技場とアンデッドはつながっていたんだな?」
「ほっほっほ、わしらは生命の限界を超えた種じゃ。おまえさんの剣はわしらには通用せん」
バジーリオが哄笑する。
<それでは試合、開始!>
バジーリオが剣で突いてくる。
セリオンはそれをいなす。
バジーリオの剣は鋭かった。
アンデッドとはいえ、バジーリオは剣士でもあるわけだ。
「ほう……よくぞわしの剣を受けた。だが、これを見てもそう余裕があるかのう? はっ、ゴースト・スラッシュ!」
バジーリオが闇の力をあふれさせる。
白いオーラがバジーリオから出た。
白いオーラはバジーリオの剣撃と化した。
セリオンは光の剣を出す。
セリオンのリヒト・シュナイデだ。
セリオンの大剣が輝いた。
ゴースト・スラッシュはセリオンの大剣で霧散された。
「むうっ!? わしの攻撃をかき消すか! こいつ、やりおるわ!」
セリオンが接近して、バジーリオの首を斬りつける。
バジーリオの首はあっさりと切断された。
バジーリオん首が転がる。
セリオンは勝負がついたかと思った。
「終わりか」
「クーククク! やりおるわい!」
「何?」
バジーリオの首から声がした。
首がセリオンの方を向く。
「さすが、セリオン・シベルスクじゃ。わしをここまで追いつめるとはな。だが!」
バジーリオの首が胴体にくっつく。
「なっ!?」
セリオンの目の前で信じられないことが起こる。
なんとバジーリオの首は元に戻り、その体が立ち上がったのだ。
「ほっほっほ、首を切断した程度ではわしを殺せはせん。くらうがいい! ゴーストロード!」
ゴーストの群れがセリオンに殺到する。
「くっ!?」
セリオンはゴーストの群れに呑み込まれた。
今度はバジーリオが笑い声の凱歌を上げる。
「ほーーっほっほっほっほっほ! セリオン・シベルスク敗れたり!」
その時、光が広がり、爆発した。
閃光が辺りを照らした。
閃光は周囲にはじけるように展開された。
「なんじゃと!?」
セリオンは無事だった。
セリオンの技『閃光剣』だ。
閃光剣は光を周囲に放射する技だ。
ゴーストロードを迎撃するのにこれほどふさわしい技はなかった。
「なめるな。そんな技でやられる俺じゃない」
「くうっ! なめるでないわ! ゴーストスラッシュ!」
バジーリオが往生際が悪く技を出す。
セリオンはその瞬間消えていた。
「光閃!」
セリオンの光技だ。
光閃は光の一撃を叩き込む技だ。
セリオンの一撃はバジーリオの核を砕いた。
アンデッドは無敵ではない。
アンデッドの弱点は光だが、その核を破壊することが停止させる条件だった。
「ぐはあああああああ!? このわしが!? やられただと!? バカなあああああ!?」
バジーリオが白い粒子と化して消えていく。
<セリオン選手の勝利です!>
アナウンスがセリオンの勝利を告げた。
とそこに。
「フフフ、久しいな、セリオン・シベルスク?」
そこに上からマヴァハが降りてきた。
手には剣を持っている。
「マヴァハか……おまえがバジーリオの、アンデッドの背後にいたんだな?」
「ふふふ、そうとも。アンデッドを兵器化しようとしていたところだ。もっとも、それもおまえに潰されたがな」
「それがアンデッド事件の理由か」
「そうだ。アンデッドは強いが人間の血を求めるところがあったのでな。兵器としては悪くないのだが……」
「なら、ここで俺がおまえを倒して計画を破棄させる」
「フッ、やってみるがいい」
セリオンが大剣を構える。
マヴァハが剣を構える。
セリオンは不用意にマヴァハに攻め込めない。
セリオンの勘がマヴァハへの攻撃をためらわせていた。
マヴァハには何かある。
それが何かは分からないが、危険があるのは確かだった。
だが、このまま何もしないでいるわけにはいかない。
セリオンは蒼気を出した。
「フッ、蒼気か」
マヴァハが笑う。
セリオンは前に出ようとした。
その瞬間、セリオンを衝撃が襲った。
セリオンは大剣でそれを受け止める。
なんとマヴァハの剣が伸びて、セリオンを攻撃したのだ。
これがセリオンが攻撃をためらっていた理由だった。
「ソードウィップか……」
「フッ、ご名答だ」
マヴァハの剣はソードウィップといって鞭の性質を持っていた剣だった。
マヴァハが剣をもとに戻す。
セリオンは蒼気を刃に変えて、放った。
その技は『蒼波刃』だった。
蒼気の刃がマヴァハに向かう。
「フン! 火炎刃!」
マヴァハが炎の刃を放つ。
蒼波刃と火炎刃は正面から激突した。
衝撃がはじけ飛ぶ。
セリオンはダッシュした。
そのままマヴァハに接近する。
マヴァハはソードウィップを伸ばす。
セリオンはそれをよけてマヴァハに近づく。
マヴァハの目が驚愕に見開かれた。
セリオンは一撃をマヴァハに叩き込む。
「ぐはっ!?」
セリオンの一撃が決まった。
マヴァハはしゃがむ。
「決まりだ」
セリオンがマヴァハの首に大剣を近づける。
「フン!」
マヴァハがソードウィップでセリオンを攻撃した。
今度は蛇のようにしなやかに曲線を描いてきた。
セリオンはマヴァハと距離を置いてやり過ごす。
「セリオン・シベルスク、この屈辱は忘れまいぞ!」
マヴァハは闇の粒子の中に消えた。
「逃げた、か……」
セリオンは虚空を見つめていた。




