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第一話「運命」

人と妖が共存し、賑やかな声が旅人を歓迎する。桜の花が美しく咲き誇るこの場所、桜都(おうと)。その中心部に(そび)え立つ、桜花五天魔楼(おうかごてんまろう)では師範達が会議を行なっていた。桜の花が八分咲きな頃、師範達の会議は三分咲きにも満たない様だ……。


師範A「どうする?このままでは、退魔師を志す者が増えんぞ?」


師範B「それよりも殉職者が増え始めている方が問題だろう?狂妖(きょうよう)達は日を増すごとに強くなっている。今の教育では、進化し続ける狂妖に対応できなくなるかもしれない。」


師範C「となると、育成期間や修行内容を見直した方がいいわね〜」


師範D「最近、妙な動きをする狂妖も出てきたからな。不審な妖怪の目撃例もある。都の警備もより一層強固にしないとな。」


師範E「殉職者の増加と狂妖達の変化、課題は山積みだね。全部片付けてくれる新人、現れないかな?」




所変わって桜都の下町……

僕の名前は打金付喪(ウチガネツクモ)!退魔師を夢見るしがない小人だよ!退魔師っていうのは、悪い妖怪達から僕達を守ってくれるかっこいい人達だよ!退魔師に憧れて桜都に来たんだけど……。


グオオオオオオ!

町中に響く大きな鳴き声。

その鳴き声はどこか異質で、聞いた事のない鳴き声だった。そして鳴き声が聞こえた後、外から悲鳴のような声も聞こえてきた。


ツクモ「なんだ!?」

慌てて外に出てみると、逃げ惑う人々と先程の鳴き声の主と(おぼ)しき巨大な妖怪が、建物を破壊しながら歩いていた。でも何でだろう?桜都は厳重な警備で狂暴な妖怪は町の中に入って来れないはず……


ツクモ「に、逃げなきゃ……」

そう思い足を動かそうとするも、恐怖ですくんでしまって動けない。さらに不幸な事に、妖怪の目に止まってしまったのか、こちらを見つけた途端、猛スピードで近づいてくる。


ツクモ「駄目だ……」

震える足は言うことを聞かず、とうとう妖怪が目の前まで来てしまった。死を覚悟し、目を瞑った。


その瞬間!


強烈な光が目の前を包んだ。

それから数秒後目を開けると、妖怪はいつの間にか倒れていた。そしてなぜか、僕のお守りである裁縫針が大きくなって落ちていた。


ツクモ「生き……てる?」

体には傷一つ無く、意識もはっきりとしている。腕や足も問題なく動くし、どうやら本当に生きているみたいだ。それにしても目を瞑っている間に何があったんだろう?


パチパチパチ!

???「素晴らしい!」

民家の傍から翼の生えた謎の人物が、拍手をしながら近づいてきた。


ツクモ「誰!?」


???「おっと、これは失礼。僕の名前は鳥歌一(トリウタイハジメ)、桜花五天魔楼という所で師範をしている者だ」


桜花五天魔楼

桜都の中心部に建っている、退魔師の養成所兼協会本部である。師範は退魔師の卵達を正しく導く、言わば先生である。


ツクモ「師範!?桜花五天魔楼の!?」


ハジメ「ん?あれ?君もしかして桜花五天魔楼(うち)の新入生?名前は確か……ツクモ君だったかな?」


ツクモ「はい!入学式の前に桜都の下見に来てて……まさか入学前にこんな事が起きるとは思いませんでしたけど……。」


ハジメ「災難だったね。素晴らしい新人が無事で良かったよ!それにしてもその針凄いね?何も無い所から現れて、妖怪を倒すなんて。」


ツクモ「この針が僕を守ってくれたのか……。先祖代々受け継がれてるらしいけど……。まさかそんな力があるなんて……。」


それからしばらく考え込んだ後、口を開いた。


ハジメ「なるほどね……明日、時間はあるかい?その針について、話したい事があるんだ。ついでに桜花五天魔楼の案内もしよう。」


ツクモ「分かりました!」


ハジメ「また桜花五天魔楼で!それじゃあね〜!」


バサッバサッ!

背中に付いた大きな翼で飛んで行った。

妖怪に殺されかけたり、いきなり桜花五天魔楼の師範に会うし、僕の針に凄い力が宿っていたり……。いろいろな事が一日で起きすぎて、まだ頭が混乱している。一気に夢に近づけて、僕の胸は期待で膨らむばかりだ!

ここまで読んでいただきありがとうございます!

後書きではキャラクターの補足や専門用語の解説などをします。今回は主人公のツクモ君の補足です。


年齢15歳 身長158cm(小人の成人男性の平均は140cm)

小人の里という桜都から、かな〜り離れた田舎で生まれた男の子。退魔師を志すようになったきっかけは、幼い頃に母親に読んでもらった、妖怪を退治するおとぎ話。打金家は針仕事を生業としいるため、家業を手伝ってきたツクモも、かなり手が器用。

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