夢の通過点
前回のあらすじ
死亡→才能の塊に転生→楽しく生きようと志す。
「ごちそうさまでした。」
取り敢えず自分としては自室に戻って魔法の練習をしたい。この世界、楽しいものが前世には無かった魔法しか無いのだ。
大人になればもっと異世界らしい生活が出来るんだろうけど子供の内は体を動かしたり魔法を使って楽しむしか無い。
「よし、今日はどの魔法で遊ぼうかな~。」
土魔法は前回練習したし火魔法外じゃ無いと火事が怖いしな。
「風魔法が一番良いかな?」
じゃあ窓を開けて家族にバレないように……
「…ロムスィー」
そう手を前に出し唱えると風の槍が外に飛び出る。
これが魔法、ショウ・ロズ・フェーベルトが最も才能を持つ物。俺はこの才能を伸ばして、自分がやりたい物になりたい。そうと決まれば早速特訓に……
「ショウ?君は何をやっているんだい?」
体が固まった。空気も先程より寒く感じ、魔法でも食らったかのような感覚を……
「返事をしようか。」
人生諦めも肝心である。もう諦めて言うしか無い。
「魔法を使用していました。」
「そうかそうかよく行ってくれた。じゃあショウは罰ゲームとして僕と外で遊ぼうか。」
「えっ、いや無理ですって!?。
お兄様との肉弾戦なんてしたら僕は死にますよ!?」
俺は兄さん……カイ・ヨハネ・フェーベルトとは打ち合いたくない。負ける気しかしない。
魔法ありならまだ勝てる可能性はあるけど無しなら俺の勝ち目は0に限りなく近いだろうし。
「だけどやらなかったら僕はお父様に魔法をショウが使ったことをバラすよ?」
「全力で遊ばせていただきます。お兄様。」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
「ルールはスキルは使用可。魔法は使用禁止ね。
じゃあ行くよ、ショウ。」
「はい!」
そう言うと兄さんの姿は消えた。
………消えた!?
パキッ
「っ!!」
「へぇ~、今の速さに対応出来るんだ?」
「直感ですよ。それに対応出来るようにわざと音を鳴らしたでしょ。流石にいけます。」
しかし勝ち筋が見当たらない。僕が魔法ばかりで近接戦をそんなやってないのもあるだろうけど予想以上に強くなってる。攻撃が出来ない。
「じゃあ、ショウ。今から身体強化を使うから僕を倒してね。」
「流石に7つも年下何で手加減してくれませんかね?」
「……仕方ないなぁ。これから週2で遊ぶなら手加減してあげるよ?」
「やっぱいらないです。」
「じゃあ行くよ、身体強化」
来…
「あ!っっっぶな」
しかし予想通りだ。兄さんは最初の攻撃と同じく手加減してくれてる。これならまだ時間は保てるけど……
「どうしたんだい?そんな疲れたような顔をして。」
「疲れましたよもう、僕の体力は多くないことぐらい知ってるでしょう。」
兄さんの攻撃はいちいち重たい。このままでは体力が保たずに負ける。
「……ここ!」
「あれ?」
よし攻撃を受け流した。後は斬るだけ。
ガンッ
「いや~今のは危なかったよ。やっぱショウは成長が早いなぁ。」
「ハァ、くっそ。」
……強すぎるな。
「じゃあこれで終わらせるよ?」
諦めるな。確かに俺の体力は何処からどう見ても限界。なら兄さんも油断するはずだ。
兄さんが視界から消えた。
……ここ!
ガキン!
「っと、危ない。今のはもう少し遅かったら当たってたよ。」
はぁ、もう立てない。
「……参りました。」
「試合終了だねショウ。」
負けた。……っていうか兄さんに魔法無しで勝てる訳が無かった。
「いや~、やっぱり体を動かして遊ぶのは気持ちいいね~。」
「…お兄様が好きなことは武器を持って戦うことでしょう。」
「そう言うショウの方は魔法を使って遊ぶのが好きだよね。僕にはその楽しさがさっぱり分からないよ。」
「…僕は自分の得意な物が好きなだけです。」
「じゃあ僕と同じじゃん。それにショウも凄いよ。
かなり手加減してるにしろ剣聖を期待されてる僕を相手にここまでやれるんだから。神童なだけあるね。」
魔法ありならまだ耐えれたんだけどな。自室に戻ったらまた魔力で遊ぶか。
「…じゃあお兄様、ここらで僕は自室に戻りますね。」
俺はそのまま自室に戻った。
もう無理流石に体の限界。もう体を綺麗にして寝よう。
「プリフィケーション。」
俺はそのままベッドに横になった。
……………
…………………
………………………
30分程たっただろうか。僕は目が覚めた。
「……お腹が減ったな。昼ご飯を食べて無いからだろうけど。夜ご飯まで後2時間ぐらいあるし……」
そうだ町にご飯を食べに行こう。幸いお金ならエントランスホールの絵画の裏にあることを俺は知っている。
取り敢えずバレないように透明化の魔法を使って…
「身体強化&ペスピス」
取り敢えず絵画の裏のお金を取って、門を出れば……
あ、意外と簡単に出れた。
「よし、取り敢えず美味しそうな飯を探すか」
どうせなら館をまともに出たこと無いから観光もついでにしたいな。
「……っとここにしようかな。『烏丸亭』か。良い匂いがするしお腹が減ってるから早く食べて帰ろう。」
「いらっしゃいませ。何名様ですか?」
「1名です。」
「分かりました。席へご案内します。……こちらがメニューとなります。決まったらお呼びください。」
さて、どれが美味いか分からないし周りの人々の食い物に目を通して無属性魔法で何を食べてるか調べる。
「……アプレイザル」
凄いな。視覚に意識したものの情報が入り込んでくる。しかし無属性魔法の《lv》が低いからか名前しか入って来ないけど食べるか。
「すみません。このミノステーキ下さい。」
「はい、かしこまりました。」
取り敢えず1番頼まれてる物が1番美味いだろ。
……取り敢えず待ち時間は何をしようか?前世の記憶を持ったまま転生した弊害かスマートフォンが欲しくて堪らない。……勉強でもしようかな。
「……数学で良いか。」
……懐かしいな。高校時代はよく暇つぶしに数学の問題を解いたり作ったりして遊んだ気がする。異世界でも暇なときは暇なもんだな。
「…お待たせしました。ミノステーキです。」
「あっ、ありがとうございます。」
やっと来た。においは良いにおいがする。
異世界で初めての平民料理。これの味によって俺の将来へのモチベーションが変わる。
パクッ
これは、凄いな口の中で溶けるとまでは行かない。
しかしちょっとした塩辛さと意外としっかりしたしかし噛み切れて柔らかい肉。館のような上品なご飯とはまた違った美味しさ。無限に食える。決めた。また町に出ることがあったらここに食いに来よう。
「お会計を頼みます。」
「分かりました。……お会計987フォンになります。」
「銀貨1枚でお願いします。」
「分かりました。お釣り銅貨2枚に鉄貨3枚です。
ありがとうございました。またお越しください。」
いや〜いい飯食った。まだ少しお腹は減ってるけどそれは家に帰ったら食おう。さて晩飯まで後何分だ?
……10分か。急げば間に合うな。
「身体強化」
よしこれなら後3分あれば着く。透明化して入るか。
「ペスピス」
これで入ったら……ここら辺でペスピス解くか。
「よし昼飯を食べに行こう。」
……あれ?何か体に力が全く入らない。何が起きてるんだ?ステータスに以上は無い。なら魔力不足か?
……仕方ない誰か来るか魔力が最低限回復するのを待つとしよう。
「……お腹減ったな~」
「そうか。其処までお腹が減ってるのか。」
後ろから聞き覚えのある声が聞こえる。
「……はい、父上。お腹が減りました。」
「そうか。しかしショウよ。何故貴様は魔法禁止と言われているのに魔力がそれ程まで減っているのだ?」
圧を感じる。これはやばい、言い訳をしなければ。
「……………………魔法じゃなくて身体強化ですよ。父上。」
「その言うまでの間はなんだ?ショウ。」
「……」
もう言い訳できない。終わった。
「ショウ。貴様は魔法を使ったバツとして、これからの1週間ずっとカイの相手をしてもらう。」
「んな!?兄さんのですか!?」
「そうだ、貴様はカイの相手をするのは嫌いだろう?」
仕方ない。……こう見えても才能だけは神童だからな。
圧倒的成長力を兄さんに見してやる。
この後目茶苦茶ボコボコにされた。
現ステータス
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ショウ・ヨハネ・フェーベルト 4歳
筋力 50 《lv:4》
脚力 75 《lv:4》
魔力 90 《lv:5》
体力 28 《lv:6》
耐力 15 《lv:2》
【スキル】
剣術 《lv:3》身体強化 《lv:5》杖術 《lv:1》
固:神童の才能
【魔法】
火《lv:2》水《lv:5》風《lv:3》土《lv:1》
雷《lv:1》光《lv:1》闇《lv:1》陰《lv:6》
星《lv:1》無《lv:4》
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