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「お、死んでなかったのか」
目を覚ますと、横からしわがれたジジイの声がした。横を向こうとすると、全身に気を失いそうな激痛が走った。
「ッ…」
声にならない声をあげる。
「無理すんなよ。お前さん、致命傷だったんだ。瓦礫の下に埋まっててさ。たまたま見つけたから手は尽くしたが…まあ、意識が戻っても3日はそのままだろう」
横の声は答える。そうか致命傷…何でそうなったんだっけ…。
激痛のなか、朧げな記憶を必死に探る。
確か…次の街に向かおうとして…野道を歩いてたら…いきなり目の前にドラゴンが現れて…それで…。赤子のように…手も足も出なくて…。
「ッ……!!!」
悲鳴をあげる脳と身体を無視し、身体を起こす。行かなければ。どこに?敵を倒しに。強くならなければ。もっと。
「そんな身体でどこに行くんだ?何が出来る?」
ジジイは言う。白い髭を伸ばした、褐色の肌をした、60後半ぐらいのジジイだった。