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気付けば美人配信者に囲まれてた  作者: 霜惣吹翠
2,ギャルと体育大会編
34/83

体育大会、やっと開幕

日曜日にもかかわらず学校まで歩かされる帰宅部を見つけたなら、それはきっと体育大会だろう。ジャージや体操着なんかを着ていたら確定だ。

この格好のせいで登校中はやたらと視線を感じるし、気になって振り向けば微笑んで手を振られて気まずい。


隣にいる大野は選挙中の議員かってくらい笑って手を振って返すけど、まぁその手にはキャベツが鷲掴みされているから絶対に落選だ。


「今日は大きなキャベツだわね~」

「あ、どうも。いよいよ本番だから気合入れようと思ってです!」

「そう~だったらこの大根も食べて頑張ってね」

「いつもありがとうございます」


今日は大根か。これもまたデカい、横断歩道の白い線より長くて太い。にもかかわらず大野はそれを一瞬で飲み込んだ。怪獣だろ。


野菜ダイエットって言って登校中は野菜を食べ始めて二週間。全然見た目は変わってない気がする。てかそりゃそうだろ、野菜とはいえ食い過ぎれば同じだろ。知らんけど。


「あ、天音ちゃん。おはよう!」

「おはよう! 何そのカボチャ?」


ジャージ姿の天音がポニーテイルを揺らしながらこっちに走ってきた。その後ろにはモーちゃんもいるが、なんか息切れしてる。


「これはアメリカのおじさんから頂いたものなんだよ。食べるかい?」

「別にいらないけど、そうなんだ」


ちょっと動くだけで揺らいでいるポニーテイルはまるで振り子のようだ。

それがピタリと止まるとちょっと頬が染めている天音がこっちをチラチラと――――、


「ど、どうしたの?」

「いや、なにも」


横断歩道の線よりも小さく見えるのは錯覚だろうけど、今日の天音はそれほどにいつもに増して小動物のようで理性が吸い込まれそうだった。


それにしても――――かぼちゃデカすぎだろ。玉ころがしの玉かよ。


普段とあまり変わらない会話をしながら登校していると、今日が日曜日の強制労働大会ということを忘れていた。ちょっとだけ違う、日常なんじゃないかと催眠を受けているようだ。


ただそれも華やかに飾られた校門によって覚めるわけだが――――。


ああ、やっぱり体育大会なんて嫌だ。日曜日くらい休ませてくれよ。昨日だって授業があったし、放課後にはまた走らされたし、スパルタかよ。



ラッパや笛、応援団の分厚い声。その下を髭とダンディズムな曲が流れている。

雨の心配を跳ねのけ、雲一つない空は天気予報士の目をきっと閉じさせただろう、熱すぎる日光をぶつけてくる。


だから俺は汗を流して走りまくっているサッカーや坊主らを体育館の日陰から見ている。あいつら元気過ぎるだろ。


さて五万文字くらい経って、ようやっと体育大会が始まった。

体育の教師が「いろいろ競技がある」と期待させたわりには、競争の文字が増えただけのようだ。てか十割が競争だ。マジか。


「理君、こんなとこにいたんだ」

「なんだ天音か」

「なんだって何? そろそろパン食い競争が始まるよ。ほら、もっと見えやすいとこに行こうよ」

「パン食い競争?」

「もしかして寝ぼけてた? 朝だって言ってたじゃん、金ちゃんとモーちゃんがパン食い競争出るって」 


あー、そんなこと言ってたっけ。大野金太郎が食べていた、火星で栽培したらしいメロンに気を奪われてて全然聞いてなかった。


「いい場所取っておいたから行こ!」


天音に手を引っ張られながら人混みを歩いていく。やたらと熱気と音がでかいところを通るから握った手が解けそうだった。だからだろう、強く握られ過ぎて粉々になりそう。もう痛覚もない。


「ほら、着いたよ!」

「おお……あれ?」

「あっ――――ほら、着いたよ!」


天音が満面の笑みで見せた場所は、放送委員が白熱実況するテントのすぐ横。周りはうるさい。てか実況者がうるさい。

だけどちょうど日陰だし、走る運動部の風が髪を揺らすくらいに近く、競技がよく見えるし、いい場所だ――――でも今、誰かいたような。しかも空に飛んで行ったような、気のせいか。


「次はぱぱっぱぱぱぱぱっぱぱぱぱっぱパン食い競争だああああああああああああああ!! ヒャッハアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


やっぱり実況がうるさすぎるだろ。

いや、違う。今のは断末魔か。空の彼方に飛んで行った。


「ほら、始まるよ」

「あ、ああ、パンクイキョウソウタノシミダナー!」


天音の純粋な微笑みは俺の語彙を一つの言葉だけに絞った。もはや髭とダンの鮮やかだった歌詞もなんかぎこちなくなっていた。



~~あとがき~~

なんか中途半端に切っちゃった。流れって怖いな。


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