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41.ボーキサイトと王

 ボーキサイトが届いたので、ココのいる洞窟内へと搬送した翌日。

 ゴブリンに運ばせていたら、敵の有翼人は早くもその存在に気が付いたようだ。


 ココは目の前にワラ人形を飾っていたが、その3つが立て続けに壊れると、耳を済ませていた。

「……ふむ。どうやら奴ら……餌に食いついたようじゃな」

「あとは、これがボーキサイトと気づくかどうか……だ」



 翼人たちの行動は、一角獣アウグスに聞けばわかった。

 どうやら、部隊内に鉱物に詳しい者がいたらしく、すぐに奴らは手に入れた石がボーキサイトであることに気が付いたようだ。

 部隊内でも最速の有翼人が敵側のゲートに向かったため、恐らく国王に報告に向かったのだろう。


 俺たちは鬼狩警部と共に、水鏡を使って敵の様子を見てみることにした。

「さて……敵の国王はどんな判断を下すかな?」

「ドラゴンの投入を見合わせてくれるかは、半々といったところでしょう」

 カナエルが言うと、アウグスも頷いた。


『そろそろか……?』

「頼むココ」

「うむ」

 彼女が舞の儀式を進めていくと、地底湖の水面が光りはじめて国王のいる玉座が現れた。国王は険しい顔をしていたが、何を言っているのかわからない。

 カナエルは言った。

「なに……また、農民どもが逃げ出したと?」

 彼女は声色を少し変えた。

「はい。逃亡した農民の数はおおよそ1000人……村一つが無人になっていました」


 その言葉を聞いた国王は、苦々しそうに唸った。

「またか……まあいい。ドラゴン投入の目途が立てば翼人隊の手が空くだろう。終わり次第、探させればいい」

「は、はは……」

 この様子だと、このカナエルの国を滅ぼしたという王国も崩壊に向かっているようだ。ドラゴンの投入を遅らせ、ダラダラと戦いを続けさせることができれば、それだけ俺たちが有利になる。


 そう思っていた直後に、有翼人の騎士……つまり天使が国王の前で跪いた。

「ダンジョン討伐隊より、ご報告があります」

「なんだ?」

「実は、偵察中の兵が……鉱石を運んでいたゴブリンを偶然にも発見いたしまして撃破したところ、このような金属が……」

「なんだ、見せろ?」


 有翼人の持ち帰った鉱石を見ると、国王は「ほう……」と声を上げていた。

「これはもしや……ボーキサイトか!?」

「はい。どうやらゴブリンの住処である渓谷には……これが眠っている可能性が!」

 その言葉を聞いた国王は、興奮したのか立ち上がった。

「でかしたぞ!! お前たち有翼人隊は……全員、階級を1つずつ上げよう!!」


 国王の言葉を聞いた有翼人は、驚きのあまり表情をほころばせていた。

「あ、ありがたき幸せ!」

「ドラゴンの投入は取りやめだ! なんとしてもその渓谷を手中に収めよ……手段は問わぬ!」

「ははっ!」


 有翼人が戻ると、大臣もホクホク顔で言った。

「まさか、あのダンジョンからレアメタルが取れるとは……これで火の車だった我が国の財源も、何とかなるかもしれませんな」

「ああ、下手にドラゴンを送り込まなくてよかった。あれは……土地そのものを使い物にならなくさせるからな」



 水面から、玉座の間の光景が見えなくなると、ココはこちらを見た。

「……どうやら、上手く行ったようじゃな」

「ああ、今のうちに地雷を用意しておけば、向こうがドラゴンを持ち出して来たとしても……こっちも対処することができる」


 鬼狩警部も頷いた。

「私は準備を進めておこう。君たちは……1日でも長く、この渓谷を守り続けて欲しい」

 それはそうだと思った。

 向こうはボーキサイトがここで取れると思っているが、これは俺たちが用意しただけの分しかない。もし、嘘がむこうにバレたら、再びドラゴンを投入してくる危険性がある。


「できれば、敵にドラゴンを投入させることなく相手側のゲートを閉じるのがベストですね。そうすれば……この緩衝地帯も失わずに済む」


【実に興味深い話ですね。勇者ゴロー様!】

 その声を聞いて、俺とカナエルは目を丸々と開いた。

 聞き違えるはずがない……これは、少し前に敵対した男の声だ。

「エリア・フォーティーフォー!」

【ほっほっほっほ……覚えてくれていたのですね。光栄でございます】


 いろいろと聞きたいことはあるが、俺はコイツの能力の危険性を理解している。

 下手に質問はできない。向こうが喋るのを待つしかない。


 コイツは今……何を考えている!?

【私も……王国には恨みがあります。ここは……手を結びませんか?】

 全員の視線が俺に向いた。鬼狩警部さえもこちらを見ている。これは……俺に判断をゆだねるということか。

 俺は、しばらく考えてから……決断することにした。

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