表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

38/42

38.水鏡の儀式で見えたモノ

 ココが旅立ってから数日後。

 鬼狩警部から、自由行動の許可が下りたので、俺はカナエルやグリーンアウグスと共に、ゴブリンが支配していたエリアへと向かった。

「なんだか、こうやっていると……冒険者パーティーみたいだな」

『そうだな』


 最前列を行くのが一角獣のアウグス。真ん中を守るのがカナエル。そして最後尾にいるのが俺。という具合な隊列で、俺たちは洞窟を歩いていた。

 それにしても、以前とは比べ物にならないくらい洞窟が静かだ。モンスターはいることはいるのだが、アウグスにひと睨みされただけで逃げ出すか、消滅してしまうほどに弱い。


 特に問題も起こらずに洞窟エリアを抜けると、俺たちはゴブリンの支配していた渓谷へと到着した。

「こ……これは……!」


 衝撃を受けたのは俺だけではなかったようだ。

 カナエルもアウグスも、目をぱっちりと開いた状態で周囲を見渡しており、俺と同じ印象を持ったようだ。

『ゴブリンの気配が……ないな』

「ええ、残らず……浄化されたということでしょう」


 間もなく草むらが揺れると、鈴の音と共に一匹の仔ギツネが出てきた。その身体には九十六という模様があり、誰の遣いなのかすぐにわかった。

「久しぶりだな。案内してくれ」

 その仔ギツネ96番は頷くと、俺たちを先導してくれた。



 仔ギツネは洞窟の中へと入ると、そこには小さな社ができており、数人の巫女に混じってキツネ面の少女であるココがいた。

「久しぶりじゃな」

「驚いたぞ。この短い間に渓谷を平定していたんだな」

 そう伝えると、ココはふふっと笑った。

「童もここの新たなエリアマスターとなった。おぬしたちにこれ以上迷惑はかけぬゆえ……警部という人物にもよろしく伝えて欲しい」

「わかっている。必ず伝えよう!」


 そう言って笑いあっていると、仔ギツネ96番が鳴き声を上げた。

「おお、そうじゃったな……実はの、この洞窟にはおもしろい場所があるのじゃよ」

「へぇ、どういう場所なんだ?」

「百聞は一見に如かず……来るがよい」



 ココに案内してもらうと……そこは、洞窟の地下にできた湖だった。

「とても、霊的な力を感じます!」

 カナエルが言うとアウグスも頷いた。

『ああ、これは……貴殿の霊力も増幅してくれそうだな』

「ご指摘の通り……ここで童が霊力を使うと遠く離れたモノを見れる……と思うのじゃが、なかなかうまくは行かん。儀式もやってみたのじゃが……何かが足りないようじゃな」


 俺は少し考えてみた。

 ここには八百万の神々のひとりと、天使族の力を持つ少女と、麒麟とも言える一角獣もそろっている。これだけ豪華な面々が揃えば、何かが起こせるのではないだろうか。

「もう一度やってみよう。これだけのメンバーがいるんだから何かわかるかもしれない」

「ふむ……それもそうじゃな」


 ココは、霊力で衣服を着替えると、扇子を手に舞をはじめた。

 するとカナエルの身体が金色の光を放ち始め、一角獣アウグスの角も緑色に光を放ちはじめる。仔ギツネたちに見守られる中で舞は進んでいき、遂に水鏡に初めて見る風景が映った。


 そこは、どこかの王宮に見える。

 玉座に座っていた男は、たいそうお怒りの様子で、持っていたカップを投げつけていた。

「声が聞こえてきました……」

 カナエルは言った。

「この、愚か者……宝弓カウス・メディアを破壊されるとはなにごとだ!?」

 アウグスも言った。

『我には、カップのようなモノが投げつけられた物音だけが聞こえてきた』

「俺には風景だけが見えている。どこかの城の玉座。冠を被った男が座っている。そいつはとても……」


 俺はハッとした。怒られていたのは、俺とアウグスで倒した4枚翼のマティスだ。風景は動画のように動いたので、はっきりと姿が映った。

 カナエルも言った。

「陛下……どうか陛下、このマティスに今一度のチャンスを!」

『椅子がきしむ音』

「このたわけ者!」

『誰かが殴られる音』

「お、お許しください……陛下、今一度の……」

「ならぬ。貴様の顔など二度と見たくない! コイツを城の外につまみ出せ!」


 彼らの言う通り、映像の中でマティスが兵士たちに引きずられて玉座の間から追い出されていく。

 映像が再び少し動くと、今度は参謀と思しき初老の男が見えた。


 カナエルは口真似をした。

「しかし陛下……あのダンジョンはどうするのですか?」

「アレを使う」

「お、お待ちください……あれを使えば、近隣の住民にも被害が!」

「背に腹は代えられぬ……早急に炎竜をけしかけよ!」

「は、ははっ……」


 参謀と思しき男が頭を下げると水鏡の風景は消え、元の静かで青い湖が光っていた。

「おい、えんりゅうって……なんだ?」

 そう質問すると、カナエルとアウグスは真っ青な表情をしたまま、俺やココを見てきた。先に口を開いたのはアウグスだ。

『数々の村や町を葬ってきた……生ける魔導兵器だ』


 カナエルも頷いた。

「鋼のような体を持ち、建物や人を焼き尽くす炎を吐くだけでなく……苦労して倒しても大爆発を起こし、周囲を死の大地にする……悪魔の兵器です」


 それが……間もなく、ここに差し向けられる……いや、そうなる前に手を打たないとすべてが終わる!

【作者からのお願い】

 ここまで読んで下さり、ありがとうございます。

 気に入って頂けたら【ブックマーク】や、広告バーナー下の【☆☆☆☆☆】に評価をよろしくお願いします。

 また、★ひとつをブックマーク代わりに挟むことも歓迎しています。お気軽に、評価欄の星に色を付けてください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ