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32.現れたお社ダンジョン

 先ほどまで俺は、駅前のロータリーにいたはずだった。

 しかし、魔物による奇襲攻撃を受けて、現代日本が発生源のダンジョンへと転送されてしまったようだ。


 俺は廃墟と化した神社に居て、目の前のお社からは、汚れて裾などがボロボロになった巫女がキツネのお面を被って立っている。

 その内側から、見た目とは反して鈴が鳴るような美しい声が聞こえてきた。

『我が眷属よ、よく……能力者を童の元まで連れてきてくれた』


 同時に足元からキツネの鳴き声が聞こえてきた。

 今までは気づかなかったが、この仔ギツネはずっと俺の足元にいたようだ。


 仔ギツネは飼いならされた犬のように駆け寄る。

『そうかそうか……褒美と与えんとな』

 ボロボロの巫女は、仔ギツネの頭に手を差し伸べると、霊力を渡したのかキツネの身体がどんどん大きくなっていく。


 仔ギツネは、かつてドラッグストアで見た大きな化けギツネとなったが、主人の前だからなのか、お社の側に立って騎士のように不動の姿勢を取っていた。

『さて、人の子よ……よく参られた』

「用があるのなら手短に済ませてくれ」


 お前に興味はないという気持ちを突き付けてみたが、果たしてどう出るだろうか?

 そのボロボロの身なりの巫女は、クツクツと笑っていた。この様子だと想定内の答えといったところか。

『つれないことを申すな。異国の娘なのではなく……童に仕えんか? 妙な厄災に巻き込まれているようじゃが、お主のことを守ってやれるぞ』

「お断りします」

 そう答えると、不動の姿勢を取っていた化けギツネは牙を見せて唸り声を上げた。俺の行動が無礼だと言いたいのだろう。


 一方、こちらのボロボロの巫女は平然としていた。

『さすがに、非凡な才能を持っているだけあってなかなかの荒馬じゃの』

 その直後に彼女の姿が消えると、俺の目の前に現れてアゴをすくい上げてきた。

『名馬に癖あり……か』

 今の言葉は俺が一角獣と友人なこと、そしてリボルバー式拳銃を胸に突きつけていることを皮肉っているようだ。

「お戯れが過ぎますよ、巫女殿?」

 

 巫女は不敵に笑った。

『お主、我らの神罰を知らぬわけではあるまい』

「ほんものの神様は、むやみやたらに権威を振りかざしたり、傷つけたりはしない!」

 俺は巫女を突き飛ばすと、拳銃を構えた。

「いい加減に正体を現したらどうだ……ニセ稲荷!」


 巫女が起き上がると、顔を隠していたキツネの面が落ちた。

 同時に、ボロボロの巫女服が破れる音が聞こえ、巫女の身体からは白と赤の毛並みを持つ大ギツネへと姿を変えていく。

 その見た目は俺にとっては誤算だった。てっきり犬とか、熊とかタヌキとか、もっと別の動物が出てきたのならどんなに楽だっただろう。


「お前……もしかして、元々は本物の眷属だったのか?」

 そう問いかけると、現れた白い大ギツネは笑っていた。

『わかるか……やはり主は、その辺の雑多なヒトカスとは一味違うのぅ……』

 そう言うと同時に、俺はマジックシールドで身を守った。白い大ギツネがタックルをしてきたのだ。


 俺は吹き飛ばされると、今度は背中のマジックシールドを強化した。

 どうにか体自体はノーダメージで済んだが、シールドの前方はヒビだらけになり、後方も亀裂が入っている。まるでトラックに突っ込まれたような威力だ。

『童がどうして眷属を辞めたか教えてやろう……最近の人間は下らぬことばかりを願いに来るからじゃ!』


 思わず聞き返した。

「それを受け止めるのが神様の仕事だろう。嫌なら聞き流せばいい……!」

『童も最初はそう思った。じゃがなぁ……』

 彼女の語彙が強くなった。

『好きな男の彼女が邪魔だから仲を裂けとか……友達がウザイから事故に遭わせろとか……息子の同級生が風邪で寝込んでありがたいとか……日本に災害が訪れますようにとか……思い出しただけで頭がおかしくなりそうじゃ!』


 確かにそれはひどいなと思いながらも、俺は言い返した。

「そいつを罰すれば済むことでは?」

 彼女はますます怒った様子で言った。

『もちろんした。が……そういう輩は雨後のカビのように現れる。大御神は……人間の人格そのものを作ることに失敗したんじゃ……!』

 内心では、悪い奴を罰してくれてありがとう、と思ったが、さすがに人間の人格そのものを否定されてはたまらない。

「確かにそういう人間がいるのは事実だ。だけど……そうじゃない奴も俺は知ってる」


 睨むと、白い大ギツネは鋭く俺を見てきた。

『昔はよかった……人々は大地と共に生き、村人全員で自然を敬ってきた。人は……間違った進化を遂げてしまったのじゃ!』

「取り消して欲しいな……人はまだ進化の途中。どんな存在になるかわかる奴はいないはずだ」



『この世界でまだ、人を信じ切れるとは……興味深い』

 白い大ギツネは全身の毛を逆立たせ、霊力を放った。

『ならば、人間の強さというものを……童に見せてもらおう!』

仔ギツネ

所属:白い大ギツネ

能力:合体(グレード★★★)

仲間の仔ギツネと合体したり分離したりする。脳を司る部分にいる仔ギツネは、他の仔ギツネに比べてステータスが高い傾向がある。



腕力    D~C ★☆

霊力・魔法 D~B ★☆☆

行動速度  C~B ★★☆

耐久力   E~D ☆

技量・作戦 D~B ★☆☆

索敵能力  C~A ★★☆☆

意志力   E~A ☆☆☆☆

経験    D~A ★☆☆☆  



好きなモノ:5円玉、果実(個体による)、鶏肉、小動物の肉、子供(個体による)

嫌いなモノ:火や煙、怖いモノ


体重:20キログラム~40キログラム


一言:出てきては比名たちにやられていく、ある意味で可哀そうな存在のキツネたち。そんな彼らに朗報があり、なんと彼らには再生能力があり、一定時間すると復活するようである。


 ちなみに意志力の分布をみると、50匹のうち意志力AとEは5匹ずつ。BとDは8匹ずつ。残りはCという感じである。他も似たような分布になっている。

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