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28.次の騒動

 戦いが終わると、俺たちは武装を解いて一角獣の側に集まった。

 俺はもちろん、カナエルも一角獣もボロボロのため、固まってヒーリングをかけあわないと、本当に後遺症が残るほどのケガをしている。

「死者が出なかったのが……不思議なくらいの激戦だったな……」

『お二方が、ここまで強いとは思いませんでした。私も……』


 急に一角獣が敬語を使い始めたので、俺はじっとコイツを見つめた。

『……なにか?』

「何だか変だ! 今まで通り威厳のあるお馬さん喋りしろ!」

 そう伝えると、一角獣は困った顔をした後で咳払いした。

『……わかった』


 カナエルは、一角獣の胴体や俺の火傷を癒やしながら言った。

「ところで一角獣殿のお名前は?」

 そう質問されると、一角獣は視線を上げた。

『実は、我に名はないのだ……だから、主人であるゴロー様がつけて欲しい』


「俺!? そ、そうだなぁ……お前は黒……というよりも青毛か。そして……エメラルドの角」

 少し考えてから、俺は答えた。

「じゃあ、グリーンアウグスというのは?」


 カナエルも、満足そうに頷いた。

「この威風堂々とした一角獣こそ、皇帝と呼ぶに相応しいかと……」

 彼女にも賛成されると、一角獣は困り顔になっていた。

『森の皇帝か……そう名乗るのなら、ダンジョンの1つや2つ、支配していなければ恥ずかしいな』


 2人から、良い返事を貰えて安心した。

「じゃあ、グリーンアウグス……これからもよろしくな!」


 そういいながら左手を伸ばすと、アウグスも左前脚を曲げて俺の握手に応じてくれた。

『では、まずはこの空間を安定させよう。このままではゴロー様のお部屋が使いづらくて仕方ない』

 彼はそういいながら角を光らせると、森の一角にゲートのようなものが現れた。


 彼が頷いたので、中に入ってみると……そこは何と俺のワンルームアパートに繋がっていた。

「なるほど、壁にゲートを固定することで、今までの空間の歪みの元を解消したのですね!」

 なるほど、カナエルの解説もわかりやすい。


 一角獣アウグスは、ゲートから顔だけを出して言った。

『この先のエリアは我が守る。ゴロー様と奥方様は、正面ダンジョンの入口からの攻撃に警戒してほしい』


 カナエルのことを奥方様と呼ばれると、さすがに恥ずかしく感じたが、当の本人はと言えば、まんざらでもなさそうに視線を逸らしていた。

「わかった。頼りにしている!」

 アウグスは森に戻ると見回り開始したようだ。あれほど強力な一角獣がいれば、大概の侵入者が現れても大丈夫だろう。



 夕方になったとき、俺の火傷は完治し、カナエルにお礼を言っていた。

「ありがとう。おかげて皮膚も元通りになった!」

「お役に立てて嬉しく思います」


 夕食の支度でもしようかと思ったとき、隣の部屋から物音が聞こえてきた。とうやら、公安の関係者が戻ってきたようだ。


 鬼狩警部の声も聞こえて来ているから、今日の話をしておこうか。そう思っていたが、なにやら深刻な話をしているようだ。

 いったい、どうしたのだろう?


 カナエルを見ると、彼女は険しい表情をしている。何を聞いているのか気になるが下手に話しかけると、聞き耳を立てていることを妨害しかねない。

 俺は黙って様子を眺めていると……彼女の方から話をしてきた。


「……どうやら、ダンジョンに迷い込んだ一般人が……敵対派閥の天使族に拉致されてしまったようです」

「なんだと!?」

 そう言ったとき、一角獣がゲートから顔を出してこちらの様子を見た。

『厄介なことになったな。連中の要求は?』

「…………」

 彼女は再び耳を済ませると、険しい顔をした。

「要求はただひとつ洞窟の先にある古城にて……公安6課との決闘。応じなければ、人質となった男女4人の命は保証しない」


 俺は爪を噛みたくなる衝動に駆られた。これは誰がどう見ても、応じてはいけない取引である。

 正々堂々と戦う場合でも万全を期して向かってくるだろうし、そうでない場合は罠を十分に張り巡らせて一方的に殴り倒される危険性もある。


「連中は、俺たちがアウグスと協力関係を持っていることにも気づいている……つまり、コイツに奇襲させることもできないな」

『忘れてもらっては困るのは、我らは派手に戦った後ということだ……恐らく、戦力にはなるまい』


 間もなく、うちの部屋のインターホンが鳴ると、俺はすぐに出た。

 鬼狩警部が来ていることは、すでに分かっている。

「お疲れ様です鬼狩さん」

「今、時間はあるかな?」

「こちらもご報告したいことがありますので……どうぞ」


 鬼狩警部を招くと、俺はすぐに一角獣アウグスと激戦を繰り広げたことを伝えた。

「……そういうことなら、君たちはここを守ることに専念して欲しい」

「人質の救出はどうするのですか!?」

 そう質問すると、彼は笑った。

「大丈夫。市民の安全を守ることこそ……我々公安の仕事だからね!」


 俺は唾を呑んだ。

 鬼狩チームと、天使族の戦いが……始まろうとしている!

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