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26.強敵との対峙

 俺は銃弾をリロードしながら、一角獣を睨んだ。

「言っておくが、俺の武器は殺傷力が高い……手加減なんて出来ないぞ?」

『それはこちらも同じことだ』

 彼はすぐに、隣にいるカナエルを見た。

『戦力は出し惜しむなよ……では、参る!』


 その言葉を聞くと、俺は全身で恐怖という言葉の意味を理解するほどの圧迫感を覚えた。

 瞬間的に体は森の中へと退避しており、直後に一角獣の角が赤々とした光を放っている。そこからは光の筋のような火炎が螺旋を描くように一直線に飛び出し、火炎放射器のように樹木を焼き払う……というよりもなぎ倒した。


「なんという霊力……どうして、あなたほどの一角獣が、こんなダンジョンにいるの!? 貴方なら……守護獣にもなれたでしょう!」

 そうカナエルが叫ぶと、一角獣は叫び返してきた。

『この炎の力があるからだ!』


 その言葉で、俺はハッとした。

 こいつはもしかしたら、この炎の力が原因で……森を追い出されたのではないだろうか?

「……!」

 居場所がないからこそ、コイツはここを必死に守ろうとしているように見える。だとすると……たった一人ぼっちで、あのワンルームアパートにしがみつく俺みたいじゃないか!

「…………」

 だけど、俺には守らなければいけないものができた。あの不動産を名乗る化け者に奪われた、カナエルの力を取り返さなきゃいけない。

 だから、俺はここでコイツに勝たないといけない!

「相手になる……俺は、負けない!」


 岩陰から1発目の銃弾を発射すると、コイツのマジックシールドに阻まれた。

 ヒビは入っているからダメージは入っている。俺は2発目の弾丸を発射すると、ヒビが広がった……が、まだ崩すには足りない。

 そう思ったとき、カナエルの大弓が上空から打ち下ろされた。


 彼女の一撃の威力は、俺の銃弾以上にコイツのマジックシールドをボロボロにし、更に俺が3発目の銃弾を撃ち出すと、一角獣のマジックシールドは粉々に吹き飛んだ。


 一角獣は俺に向けて火炎放射をしてきたが、俺は更に奥の岩陰に隠れて防壁を展開した。

 カナエルの一撃の方が威力があるんだ。ならば、囮になってカナエルを援護した方がいい。

「……! な、なにっ!?」


 俺は岩に隠れているというのに、マジックシールドが悲鳴を上げるようにヒビが広がりはじめた。

 まさか、火炎放射の熱でシールドが痛めつけられているというのか!? だけど、崩れ落ちる前にカナエルの一撃が入る!


 そう思いながらカナエルの姿を見ると、彼女は上空から先ほどよりも強力な一撃を放った。これならいくら一角獣でも……そう思っていたら、なんとコイツは目の前に岩の壁のようなものを浮き上がらせた。


 カナエルの放った矢は、岩壁を吹き飛ばして進んだが一角獣は次の壁を作っており、カナエルの矢が2枚目の壁を壊すと、一角獣は角で矢を切り払っていた。

 くそ、カナエルが本領を発揮できれば……今の勝負で決まっていたかもしれない。彼女のパワーダウンの分は、俺が何とかしなきゃいけないんだ!


 俺は駆け寄ると、今度は4発目の弾丸を発射した。


 すると一角獣は、角を緑色に光らせた。

 弾丸は透明な壁に遮られて、はじき返されていく。これは……まさか!?

「マジックシールドを……復活させるなんて!?」

『我は精霊獣のなりそこない……そのことを留意せよ!』


 俺は負けるものかと思いながら、5発目の弾を放った。

 するとそれは、大きく一角獣の防壁の亀裂を広げた。どうやら4発目の弾丸のすぐそばに着弾して損傷を決定的なものにしたようだ。

 そのわずかな切れ目を目掛けて、俺は6発目の弾を放った。


 弾丸はマジックシールドの亀裂を縫うように入り、一角獣の岩鎧へと命中した。威力は……!?

「……ま、マジか!?」


 なんと弾丸ははじき返され、一角獣は耳を絞って俺を睨んできた。

「くらえ……!」

 角が赤々と光ると、その先から火炎放射によって放たれた炎が、線のように俺に向かってきた。

 マジックシールド全展開!!


 普段はドームのように全面に展開しているマジックシールドを、俺は正面一点に集中して防御の体勢を取った。

 正面分、右側面分、左側面分、後方分、上空分、更に霊力をひねり出して、正面分スペア、右側面分スペア、左側面分スペア、後方分スペア、上空分スペア。

 合計で10枚分のマジックシールドを正面にまとめて展開したが……早くも1枚目にヒビが入った。


 1枚目が砕け散ると、2枚目も煙を上げてあちこちに亀裂が入りはじめた。

 2枚目が、3枚目が、4枚目と……次々とシールドが破れていく!


 そんな中、一角獣は角を光らせたまま言った。

『お前のセンスには脱帽だ。まさか……そんなふうにマジックシールドを展開するなど普通は思いつかん。お前にこそ……天才という言葉が似合う』


 その直後にコイツの視線が鋭くなった。

『だが……相方には恵まれなかったな!』


 同時に背後にはカナエルが全身を光らせたまま、大弓を構えて急降下してきていた。

 まてカナエル。一角獣の背後を取ってはいけない!!

一角獣(サラブレッドタイプ、牡)

所属:裏庭ダンジョン、エリアマスター(独立勢力)

能力:レッドエメラルドホーン(グレード★★★★★)

炎魔法と大地魔法の消費コスト、威力、射程距離、命中率、チャージ時間の全ての能力を向上させる。ちなみにクラスはユニコーンでなく、ハイユニコーンである。



腕力    S ★★★★★

霊力・魔法 S ★★★★★

行動速度  B ★★★

耐久力   S ★★★★★

技量・作戦 A ★★★★

索敵能力  A ★★★★

意志力   A ★★★★

経験    A ★★★★  



好きなモノ:たてがみを三つ編みにしてもらうこと、ブラッシング、心正しき者のひざ枕(男女問わず)

嫌いなモノ:真後ろに立たれること、突然大きな物音を立てる、「いつ彼女作るの?」

備考:対空攻撃、ヒーリング、鉄壁防御、350度監視、嗅覚

体重:510キログラム、肩までの高さ:165センチメートル


一言:大規模ダンジョンのマスターとなっていても、おかしくない実力の持ち主。

行動速度Bとなっているが、これは体の構造的に側面を取られやすく小回りが利かないからである。突進力ならAランクの実力がある。


なお、いつ彼女作るの? や、仔馬まだ? という質問をすると、何も聞かなかったフリをするが、耳を後ろに伏せて絞っているので、かなり不機嫌になっていることがわかる。

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