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18.初見殺し能力

 その声を聞くと同時に、俺は紙に向けて発砲した。

 どうやら、掲示板に張り出されていた不気味な紙はクリーチャーの類だったらしく、弾丸が命中すると紙全体がはじけ飛ぶように蒸発し、断末魔のような叫び声が響いた。


 俺はすぐに、カナエルの奪ったエネルギーから作られたガーディアンと戦いを開始したが、何だか先ほど紙が言っていた言葉が気になった。

 エリア・フォーティ―フォー。フォーティ―フォーとは有名な拳銃を連想させるものだし、数字を倍にすれば、有名な傭兵物語のタイトルと重なる。


「…………」

 ガーディアンが打ち込んできた矢を銃弾で撃ち落とすと、俺は更に引っかかるものを感じた。

 そもそも、今までのエリアマスターが親切に、自分の名前や能力名を口にしたことがあっただろうか。これだけ様々な能力があるのだから、他人の名前から呪いをかけるような力だってあるかもしれない。能力名を知ることで、その能力をコピーしたり封じたりする力があってもおかしくない。

「発想を逆転させると……言わなければトリガーしない条件ということか……?」


 いや、それでは説明がつかないこともある。

 能力名を口にする前に、カナエルの力を吸い取ることには成功していた。だとすると、更に能力名を言うことでこちらの能力を引き出す算段だろうか。それとも、考えすぎで優勢だから得意になっているだけかもしれない。


 俺は3発目の弾丸を発射すると、ガーディアンの右肩に命中した。

「ぐっ……!?」


 その言葉にハッとした。なんと、後ろで俺を守っていたカナエルの右肩から出血しているのである。これはどう考えても、俺がガーディアンを攻撃した場所と一致していた。

 彼女は脂汗を流しながらも蹴りで棒人形を崩すと、俺は急いでカナエルを抱きかかえて、その場を離れた。幸いにもガーディアンも動きを止めて、自分の肩を抑えている。



 路地裏に身を隠すと、カナエルは服を破って自分の肩を見ていた。

「幸いにも、致命傷にはならなかった……ようです」

「すまない。すぐに弾を消すよ」

 俺は自分で撃ち込んだ弾を消すと、カナエルはすぐにヒーリングをかけた。

 傷口は少しずつ塞がっていくが、どうやら流した血までは戻らないし、カナエル自身の受けた精神的なダメージもしっかりと残っているようだ。

「厄介だな……」

「ええ、まさか……分身を攻撃すると、私にダメージが返って来るなんて……」


 俺は思わず指を嚙んでいた。

 こんなのまさに初見殺しじゃないか。店に入った標的を異空間に隔離し、かつ能力を奪って同士討ちをさせるなんて、一体どうやったらこんな反則的な能力を手に入れられるのだろう。


 でも、リスクは存在するはずなんだ。カナエルの記憶からは様々なつわものたちの能力が伝わってくるが、似たような初見殺しの能力者というのは、必ず大きな欠陥を抱えている。

「…………」

 コイツほどの初見殺し能力なら必ず攻略の糸口はある。それこそ、それを見破られるだけで、初見殺しゲームがひっくり返ってしまうほどの欠陥があるんだ!

 そう思った直後に、再びピラピラと紙が風になびきながら耳障りな言葉を口にした。

【お楽しみのご様子ですね……当店としても、ご満足いただければ幸いです】


 コイツは得意になっている気がする。何か情報を引き出せないだろうか?

「凄い能力だね。今まで何度かエリアマスターと戦ってきたけど……君ほど手強い相手は初めてだよ」

【ほっほっほっほ……作用でございますか。これは鼻が高い!】

「さっき、エリア・フォーティ―フォーと言っていたけど、これは君の能力名なのかい?」

 そう質問すると、この紙はお辞儀をするように一部を垂れ下げさせた。


【その通りでございます。エリア・フォーティ―フォーは弊社の固有スキル。所有する物件を用いて街を作り出し……対象の相手を、その世界に引き込むワールド型の能力にございます】

「ずいぶん詳しく教えてくれるんだね。もしかしてリスクかい?」

 そう質問をすると、その紙からは目の残像のようなモノが現れた。

【その通りでございます!】


 その言葉と共に、カナエルの翼が更に小さくなっていくのを感じた。

 今回はそれだけでは済まずに、彼女の背丈まで10センチほど小さくなり、まるで中学生になりたてのような見た目になってしまっている。

「ど、どういうことだ……? なぜ、こんなことをする!?」

 反射的にそう口走ると、紙は追い打ちをかけるように言った。

【簡単なことです。私はお客様の質問に丁重に答えることで、あなたがたから力を得ることができます。重要な答えほど取り込める力も大きくなります】


 しまった……と思ったときには、後の祭りだった。

 中学生ほどだったカナエルの姿は、幼稚園児ほどまで小さくなり、翼に至ってはもはや空を飛べないほど小さなものになってしまっている。

 しかも、それだけではコストが足りなかったと見え、彼女は紙の元まで引き寄せられて、手足を塀にピッタリと付けられていた。

【私は昔、とても理不尽な理由で家を奪われました。家族とも離れ離れになりました】


 語彙が強くなった。

【それも、一部の権力を持った大人たちのくだらないエゴによってです。許せません。嘆かわしい! 実に遺憾というものです!!】

 紙の目が、ぎょろりとカナエルを見たように思えた。

【なぜだか、お分かりになられましたか……ご令嬢?】

「私が……憎いのなら……関係ない人間を……巻き込まないで……」


【づぃがあいむああああーすぅ! 私は提供するのです……全ての人に、家を……そして居場所を!】


 更に、敵がカナエルから作り出したガーディアンが、彼女の頭上を飛んで、俺を牽制してくる!

【私の町に住み……平和に暮らす人々の剣となりなさい。勇者ゴローさまぁぁぁあ!】

カナエル(女児)

所属:比名吾郎

能力:エンジェルオーラ(グレード★★★☆☆)

生きとし生けるものに活力を与え、アンデッドや魔法生物の能力を低下させたうえに、徐々にHPとMPを減少させる。(霊力+★)



腕力    E ☆☆☆

霊力・魔法 B ★★★☆☆

行動速度  D ★☆☆☆

耐久力   E ☆☆☆

技量・作戦 D ★☆☆☆

索敵能力  C ★★☆☆

意志力   C ★★☆☆

経験    D ★☆☆☆  



好きなモノ:比名吾郎、甘いもの

嫌いなモノ:比名吾郎に言い寄る女性

備考:ヒール


一言:エリア・フォーティ―フォーの能力によって、能力の大半を奪われた状態となっているカナエル。

白☆は本来の彼女の強さを表現している。

肉体年齢は5歳まで低下しているため、実質的に戦闘力を喪失している。辛うじてヒールの能力は残しているが、その回復速度や回復量は、普段の10分の1にも満たない状況である。


本来なら実戦経験も豊富なキャラクターだが、体が縮むという想定外のことが起こっているため経験はD。また現在は動揺しているため、意志力もCまで低下している。

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