16.S玉銀行の真心サービス
俺は、カナエル……今は翼は隠している状態なのでカナと、念のため公安の鬼狩警部と共に街を歩いていた。
目的地はもちろん、郵便物を送ってきたS玉銀行である。
「どんなことを聞かれるでしょうか?」
「銀行側は、お金の出元を知りたいだけだと思います。詳しい説明は、私がしますのでお任せください」
本当に鬼狩警部は頼りになる。ダンジョンの中だけでなく、日常的に様々な事務処理をしているから、こういう事態にもすぐに対処できるのだろう。
S玉銀行へと到着すると、俺たちは送られてきた郵便物を受付の人に提出した。
「かしこまりました。少々お待ちください」
受付の人は、すぐに銀行員が作業をしている区画へと向かい、上座に位置するデスクの人に話しかけていた。
どう見ても役職付きという様子の人が出てきて、笑顔で俺たちに対応している。
これは、とう見ても警戒されている。俺は覚悟を決めた。
そして、当然のことながら、俺たちは個室へと案内された。
鬼狩警部は警察手帳を提出したうえに、様々な資料を提示して、あの振り込まれたお金が何なのか説明も進めていく。
S玉銀行の対応した人も、鬼狩警部が提出した書類をコピーしながらファイルし、やっと警戒を解いてくれたようだ。
「神隠しの正体と……戦われるお仕事をなさっているのですね」
「守秘義務もあるので詳しいことはお話しできませんが、比名さんは、過去に2度もダンジョンを拡張させようとしているエリアマスターと呼ばれる魔物を撃退して下さりました。このお金は、政府からの報奨金です」
鬼狩警部が説明してくれると、銀行員も納得したらしくコピーした資料をファイルにまとめた。
「わかりました。今日のお話……すぐに上層部に伝えます。それから……比名様」
「なんでしょう?」
そのS玉銀行の銀行員は笑顔ながらも、気を引き締めた雰囲気で俺を見てきた。この様子だと、本当に真剣に話をしようとしているな。なんだろう?
「こちらは、宝くじで高額当選した方にお配りする冊子なのですが……」
彼が差し出した冊子は、巷では都市伝説のようにも語られている、宝くじ等の高額当選者に送られる代物だった。
この冊子は、大金を手にした人が知っておきたい知識をまとめたハンドブックのようなとのだった。俺のような人間なら、本来なら手にすることすらなかった代物を送られるとは……何だか不思議な気持ちだ。
説明を終えた銀行員は、爽やかな笑顔で俺たちを送り出してくれた。
「ありがとうございます。鬼狩警部」
「我々は、本来は戦う必要のない比名さんを2度も戦わせてしまいました。せめてこれくらいのことをしなければ、我々の気が済みません」
しばらく、鬼狩警部と話をしていると、隣を歩いていたカナが話しかけてきた。
「ところでゴロー様、引っ越しの件はどうなさるのですか?」
「滞りなく進めるつもりだよ。俺のいるアパートが空けば公安の人たちも攻略しやすくなると思うからね」
その話を聞いた鬼狩警部も、それがいいと言いたそうに頷いた。
「こちらとしても助かります。あのダンジョンを塞ぐことは我々にお任せください」
あの得体の知れないダンジョンを攻略するのなら、やはり本職の人たちに任せるに限る。
俺たちは鬼狩警部と別れると不動産屋に向かうことにした。今はまだバイトも辞めていないのだから、引っ越すのならこのタイミングがベストだろう。
そう思いながら駅前へと向かっていくと、ん、今……建物の影が動いたような。
横目でカナエルを見ても特に変化はなかったので、俺の気のせいだろう。最近は、立て続けに変なことばかりが起こっているから、疲れているのかもしれない。
サッカーボールを持った少年(男児)
所属:不明
能力:エクセレント・シュート(グレード★★★)
蹴り上げたボールを、任意の場所にぶつけることができる。大人になっても夢を追うことを諦めないで欲しいものである。
腕力 D ★
霊力・魔法 B ★★★
行動速度 C ★★
耐久力 D ★
技量・作戦 D ★
索敵能力 C ★★
意志力 D ★
経験 E
好きなモノ:体育の授業 友達とサッカー
嫌いなモノ:宿題、お母さんのお小言
一言:子供は夢を見る達人という言葉があるが、能力面でも大きく現れる。
特に霊力は子供時代には多く持っているが、大人になると徐々に少なくなって★1になるということも多い。お母さんや学校の先生方の手腕に期待したいところだ。




