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10.ゴローの新技

 裏庭のダンジョンのなかで、俺は運悪く本物のエリアマスターと遭遇してしまった。

 味方はなく、さらに魔法拳銃の弾は打ち尽くしてしまった。

 リロードをしようにも、今のコンディションでは、それも難しいだろう。


 現れたエリアマスターは、しっかりと俺を睨むと向かって来た。

 俺は本能的に自分を守ろうとすると、目の前には透明な魔法の壁……マジックシールドが現れ、怪物の突進から俺の身を守ってくれた。


 しかし、たったの一撃でシールドは穴とヒビだらけになり、俺自身も左に転がって避けなければ、怪物に弾き飛ばされていただろう。

 奴が通り抜けた衝撃は、まるで自動車が突っ込んで来たかのようだ。


 エリアマスターこと怪物は、再び俺を睨んできた。今度こそ、息の根を止めるつもりなのだろう。

 俺も覚悟を決めることにした。こうなった以上は、マジックシールドは役に立たない。全てを解除すれば少しは身軽になるだろうか?


 マジックシールドを解除しても、自分自身が無防備になるだけだったが、ここであることに気が付いた。

 少しだけ、体調に余裕が出てきたのだ。怪物はまだ向かってこない。

 俺は一か八かという気持ちで、魔法拳銃にリロードをかけてみることにした。


 このリロードは、俺の体力の大半を奪うものだった。もはや汗だくになって、立っているのもやっとだ。

 だけど、1発だけ弾が装填された。


『……ぜぇ……ぜぇ……』

 独り言を口にしようにも、声が出ない。頭からもズキズキと痛みが来る。

 だけど、そんなことは言い訳にはならない。怪物が止めを刺そうと突進してくる!


 俺だって男だ。

 このまま何もせずにやられるほど、軟じゃないんだぞ。なるべく息を整えながら渾身の力を振り絞って銃口を向け、思い切り引き金を引いた。


 撃ち出された弾は、普段撃っている弾とは違うような感じがした。

 それは鋭く怪物の眉間を捉えると、深く脳天にまで貫通し、怪物は白目を剥いて崩れ落ちるように俺の目の前に倒れ込んでいた。


 あと1メートル、撃つのが手前だったら巻き込まれていた。

 だけど、どうして怪物を一撃で仕留めることができたのだろう。俺は近くの岩にもたれかかったまま、リボルバー式拳銃を触ると、なんとなくだが意味がわかった。

「銃に変化はない……ということは、弾が……強力だったのか……?」


――アーマーピアシング弾


 今のは、俺自身の脳内で響いたキーワードだ。

 魔導拳銃は通常弾頭を使っているのだが、今回の弾頭は強固なことで知られる魔法物質アダマンチウムが含まれているので、貫通力が桁違いだったようだ。


 ふっと気を抜いたとき、今度は左方向から人の気配を感じた。

 今度、新たな敵が現れても、もう対応はできない。

「…………」

「…………」

 そう思いながら恐々と視線を向けると、そこに立っていたのはカナエルだった。


「勇者様……大丈夫ですか!?」

 彼女が駆け寄って来て手を伸ばしてくると、俺の意識はふっと遠くなった。

 気を抜くと、一気に吐き気と立ちくらみに襲われ、いかに俺が今まで無理をしていたかがわかったが、彼女が抱き寄せてくれると、不思議とその苦痛が和らいでいくのを感じた。


 ありがたいことだがどうしてだろうと思いながら目を開けると、カナエルの身体からは青白く柔らかい光が流れ出ていた。

「これは……お前の能力か?」

「はい。エンジェルオーラ……生けるものの生命力を回復し、魔物の活動を制限する力があります」



 気が付いたとき、俺はカナエルに介抱され膝枕をしてもらっていた。

 魔物の気配も遠くから感じるが、どうやら連中はカナエルの力を恐れているようだ。遠くからこちらの様子を見て歯ぎしりをしていることが手に取るようにわかる。


 そのまま目を瞑ると少し眠っていたらしく、再び目を開けたときには、周りに鬼狩警部と公安6課の人たちが来ていた。

 しかも部下の数も2人から4人に増えており、鬼狩警部と男女2人ずつのチームになっている。彼らは、俺が倒したエリアマスターの周りに集まって、何やら解析をしていた。


 増えた2人のことが気になって起き上がると、鬼狩警部がこちらを見た。

「比名さん。お加減は大丈夫ですか?」

「はい。ご心配をおかけしました」

「とんでもない。本来なら我々が貴方を守るべきなのに……こうなってしまって申し訳ありません」

 彼はそう言いながら深々と頭を下げた。

「いいえ、逃げたのは俺ですから顔を上げてください」

 思った以上に、鬼狩警部の市民を守るという気持ちは強いようだ。


 さて、初めて見る公安の警察官は、男性の方が作業服を着た人だ。何の職業に扮しているのかはわからないが、街中で見かけても不審に思わないだろう。

 女性の方も眼鏡をかけたミステリアスな雰囲気を出す人だった。もしかしたら女性は占い師なのかもしれない。


 女性はエリアマスターの検分を終えたらしく、鬼狩警部を見た。

「警部、このエリアマスター……一撃で倒れたことは間違いありません」

 その言葉を聞いた鬼狩や公安のメンバーは驚いていた。いや、もっと驚いていたのはカナエルだ。目を大きく開き、翼の羽根が一斉に広がっている。


「バカな……この魔物はどう見てもAランク……手練れのダンジョン討伐隊が2個小隊はないと倒せない相手だ!」

 ドラゴン刑事とも言える長谷川巡査部長も頷いた。

「そもそも、体の周りに流れ出る瘴気が鎧になって、並みの武器じゃ体を傷つけることもできないだろ……奴さんは? 一体、どうやって??」


 女性刑事は、ウシの怪物ことエリアマスターの眉間を左手の指し示した。

「致命傷は、この弾痕です」

 彼女は俺を見た。

「東京にいるライフル使いでも、これほど貫通力のある狙撃はできません……一体、どんな技を使ったのですか?」

 一同が注目する中、俺は悩みながら答えた。


「よくはわかりません。ただ……死んでたまるかと思ってリロードをかけたら、弾が1発だけ出て来まして……」

 長谷川巡査部長は恐々と笑った。

「すげえ……その様子だと、貫徹弾か何かを出したってことでしょ?」

「そう……なりますね」

 カナエルも真剣な表情で言った。

「これは、とても凄いことですよゴロー様。これほどの魔物を単独撃破できるような使い手は、今は亡き我が同胞の中にだってほとんどいません。このエリアマスターは、それほどに恐ろしい魔物でした」


 鬼狩警部は言った。

「とにかく、潜入した部下とも合流できたし……エリアマスターの亡骸を持って帰って調べよう」

「はい!」

比名吾郎(男性)

所属:なし

能力:ウィザードガン(グレード★★★★)

回転式の魔導拳銃を出す能力。装弾数は6発。任意のタイミングでリロードを行えるが、装弾数に比例した体力や精神力を消耗する。通常弾頭で有効射程距離は50メートルほど。

また、追い詰められると特殊な弾頭を作り出せるようだ。


能力:天啓(グレード不明)

情報不足により、効果は不明。


腕力    C ★★

霊力・魔法 A ★★★★

行動速度  A ★★★★

耐久力   B ★★★

技量・作戦 B ★★★

索敵能力  B ★★★

意志力   C ★★

経験    C ★★  


好きなモノ:天使娘、半額商品・半額セール

嫌いなモノ:現実(理由はお察しください……)

備考:対空攻撃、アーマーピアシング弾(魔導貫徹弾)


一言:新技であるアーマーピアシング弾を覚えた比名の能力。アーマーピアシング弾は、瘴気や強固なマジックシールドで体を守っている相手や、硬い魔物の装甲を貫くことができる。

 しかし、魔法金属アダマンタイトを再現しなければならないため、精神的な負担は通常弾頭の約6倍となる。

 次は、どんな能力が強化されるのか楽しみである。

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