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・ふわふわのバンズを焼いてハンバーガーを作ろう! - ハンバーグを焼こう! -

 そこにちょうど2人が帰ってきた。

 あたしはベルさんから逃れて店に出て、笑顔を取り繕ってお帰りの挨拶をした。


 今のあたし、きっと顔が凄く赤いんだろうけど……元気でごまかした!


「さあっ、ハンバーグを焼こうっ、ハンバーグッ! あとちょっとだけ手伝って!」


 あたしはロマちゃんを抱えて厨房に戻った。

 ひんやりとしたロマちゃんを顔に当てると気持ちよかった。


「お肉を担当っ、ベルさんっ! よろしく!!」

「サマンサ最高級の牛と豚肉を手配した。すぐにミンチにしよう」


「タマネギみじん切り担当、イベリスちゃんっ! あ、あたしのために泣いてっ!」

「ムギちゃん師匠の弱点は、タマネギですものね」


「卵担当、ロマちゃんっ! 殻は好きに食べていいよっ!」

「そのスライムは、卵まで割れるのか……?」


 ロマちゃんはぽよんと揺れて、調理台の上のボウルの中に入っていった。


「あたしはパンを細かくちぎる係りと、あと色々! さあがんばろう!」


 4人で役割分担するとすごく早かった。

 鶏卵をボウルの中に入れると、ロマちゃんが殻だけを食べてくれて、生卵がボウルの底に集まってゆく。


 やっぱり楽ちん! 一家に一匹ロマちゃんの時代も近い!

 あたしはパン粉をちまちまちぎって、調理台のフライパンの下にフレイムの魔法を放った。


「えーっと……そのタマネギを炒めるみたい!」

「お任せあれですわ。ムギちゃん師匠を泣かせる悪い子を、美味しくしてあげますの!」


 イベリスちゃんがオリーブオイルをフライパンにたらして、タマネギを炒め始めた。


「肉を挽き終えたぞ、次の指示をくれ」

「えーっと……それをロマちゃんの中に……じゃなくて、ボウルに入れて! ロマちゃんはそのままで、捏ねて!」


 ニュルニュルになったお肉がロマちゃんが入ったボウルに入れられた。

 あたしもそこにパン粉をドサッと入れた。


 するとロマちゃんがぽよんぽよんと揺れ始めて、それらを1つに混ぜ合わせてくれる。

 後は牛乳。お塩。あと、ナツメグ……って、なに?


「ナツメグを探しているのか?」

「あ、うんっ、お願いできる?」


「任せてくれ。胡椒も加えておこう」

「ありがとう、ベルさん!」


 ロマちゃんの上に牛乳をかけた。ベルさんもナツメグをかけた。

 さらにあたしたちは、塩と胡椒を加えようとした。


 だけどそしたら――


「わっ、どうしたの、ロマちゃんっ!?」

「ロマの立場になってみれば、胡椒と塩は嫌かもしれないな」


 ロマちゃんはボウルの中から慌てて逃げ出した。


「塩をかけたら小さくなるかもしれませんわ」


 ロマちゃんはナメクジじゃないよ!

 ……でも小さくなったら困るし、お塩は止めておこう。


「えっと、タマネギが飴色になったら加えて、それを混ぜ合わせれば後は焼くだけみたい」


 あたしたちはイベリスちゃんの左右に立って完成を待った。

 しばらくしたら茶色くなってきたから取り出して、氷の魔法で粗熱を取ってからボウルに加えた。


 そしてバンズにはさみやすいように平たく整形して、イベリスちゃんの持つフライパンの上に乗せた!

 お肉の焼ける気持ちのいい音が響いて、牛脂が焼ける美味しい匂いが立ち込めていった!


「お、美味しそう……」

「こ、これがムギちゃん師匠のパンと、究極のハーモニーを奏でるんですのっ!?」

「料理とは楽しいものなのだな……」


 片面を焼くと、ひっくり返してふたをした。

 1つのフライパンで1度に焼けるのは7つとなると、やっぱりハンバーグ部分の手間がネックかな……。


 焼き上がり寸前のパンの香りには、微かにゴマのものが混じっている。

 そこにハンバーグのがっつりな匂いが加わると、もう最強だった!


 こうして10分くらい待つと、ハンバーグが焼けた!

 ちょうどその頃にはバンズも頃合いで、あたしは焼き立てのバンズをナイフで半分に割っていった。


 そしてその間に加えるのは、青菜!

 その上にトマト!

 さらにアッシュヒルの山羊チーズ!


「今だイベリスちゃんっ、ハンバーグを乗せて!」

「喜んで!」


 さらにタルタルソースをドーンッ!

 後はゴマの乗ったバンズでふたをすれば……ついにハンバーガーの完成だった!


「ではではっ、最初に試食したい人ーっ!?」


 あたしはみんなに振り返りそう聞いてみた。


 イベリスちゃんがピーンッと挙手をした。

 ロマちゃんがポヨンと高く跳ねた。

 出遅れたベルさんがイベリスちゃんと同じように手を上げた。


「では、イベリスちゃんからどうぞっ!」

「やりましたわっ、うちが一番ですのねっ!」

「くっ、出遅れるとはなんたる不覚……っ」


 ロマちゃんもプルプルと揺れて悔しがった。


「で、では……いただきますっっ、ですのっ!!」


 イベリスちゃんはハンバーガーを両手に取って、大きな口を開けて頬張ってくれた。


「んっんんーーっっっ!!」


 サンドイッチより食べにくそうだ。

 だけどその味わいは、イベリスちゃんの顔を見ればわかった!


 イベリスちゃんは凄い勢いでハンバーガーをがっついて、残り半分になると急に恥じらった。

 ロマちゃんとベルさんがそれを羨望の目で見ていた。


 みんなで1つを分けるつもりだったけど、これはそうもいかなそう。

 あたしはロマちゃんの分と、ベルさんの分と自分の分をどんどん作っていった。


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