45、終業式
つおい
「なんか、あっという間だったな……」
「ーーーあ!!、やっと見つけた!!」
「うん?……げっ、アイシャ……」
継承式も無事に終わり、はや数週間、学院の一学期も今日で終わりだ、終業式が終わり、お手洗いを終えて、ハルバート様の所へ戻ろうとしていたら、アイシャが私に走って近づいてくる。
「……魔力無しの私になんの御用ですか?」
「お願い!!、当主の座を私に譲って!!」
「……断るに決まってるでしょ」
「な、なんでーーー」
「ーーーまぁ丁度良かったか、『白虎』」
「ーーゴフンッッッッッッ??!!!??」
………訳のわからんお願いをもちろん断る私、なおも妄言を吐こうとした瞬間、そういえば家に残っている彼女の荷物をいつ渡そうかと困っていた事を思い出し、今渡してしまえばいいかと、家にまとめてあった荷物を白虎に持ってこさせる……まぁいうて距離はそこまで離れてないので、一瞬で往復を終えた白虎は私の指示通り、アイシャの頭上へと落とす、落ちてきたタンスに頭をやられそのまま気絶する彼女、机やベット、彼女の私物が山のように降ってきて、埋もれていく。
『………ほっといても良いのか、主人よ』
「見たとこ死んじゃいないから大丈夫でしょ」
埋もれた彼女を尻目に私はハルバート様の所へ戻っていく。
「すみません、お待たせしました」
「ーー!!、べ、別にそんな待ってないぞ!!」
「そうですか、ならよかったです?」
アイシャのせいで遅れてしまい、謝罪をするが、全然気にしてないと答えるハルバート様………なぜかぎこちないハルバート様に首を傾げながら返答する私、そういえば最近ハルバート様の様子がおかしいのだ、継承式の後からなんかそわそわしてるというか何というか。
「……ハルバート様、コトハに聞きたいことがあるのでしょう?」
「わ、わかってる………なぁ、コトハ」
「どうされました?」
「その、お、お前は俺の護衛をやめたりしないよな?」
「へ?、な、なぜですか?」
「だ、だって、今はもう王宮じゃなくて、自分の屋敷を手に入れてるし、サンセット家の当主に戻れたし………俺の護衛をするより、何でもできる多才さを活かして、何か別の事をしていた方がコトハはきっと稼げるだろう……だから、俺の護衛をやめちゃうんじゃないかっ………て」
「………何言ってるんですか……魔力無しの私を受け入れてくれる職場なんてここしかないですよ………そう簡単に辞めませんよ」
「そ、ーーそうか!!」
「だから言ったでしょう、心配しすぎだと」
「そうだな、心配しすぎだったな」
私の返答にハルバート様は憑き物が取れたように笑顔を浮かべる、セバスが横で耳打ちする…………思わず私も笑みを溢してしまう…………そして願ってしまう………ハルバート様、セバス、レオ様、シャーリー………この国で出会った友達と何気ない雑談をする…………こんな日常が、いつまでも、どこまでも続いてほしい………と。
はい、これにて完結でございます、まずは自分の稚拙な作品に最後まで付き合ってくれた読者の皆様、ありがとうございます。
この先の展開は色々考えてはいました、ハルバートとかシャーリーが学院の年齢別の剣術大会で優勝して、貴族に戻った事もあってコトハは臨時教師へと推薦されてしまう……とか考えてはいたんですけど、あっちこっち彷徨って結局エタりそうだったので、ここらで完結にしました、急な終わり方になってしまって大変申し訳ありません。
実は初めて作品を完結させました、継承式を終えたら終業式をやって終わりにするか~と朧げに考えてはいたので、自分的には満足いく終わり方でした。
かなり満足いく作品でした。
次は聖女物か乙女ゲーム転生物でも書こうかなって考えています。
しつこくなりますが、読者の皆様、ご愛読ありがとうございました、縁があったら次の作品でまた会いましょう!、さらば!