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44、継承式2

つおい


「今宵の主役がこんなところにいて良いのですか?」


「ーーー!!………ですからですよ、夜の主役である月の女神にどう振る舞えばいいのか教わっていました」


バルコニーで一息ついていると、後ろからレオ様の声が響いてくる、私は軽く冗談めかして返答した。



「フフッッ、そうですか」


「そうなんです」


私の冗談を上品に微笑しながら流すレオ様。


「………綺麗ですね」


「ーー?……ああ、黄昏のような美しさを持つこの指輪………夜空の闇の中、微かな星達の光に透かしてみるとまた違った美しさを感じます」


一瞬何の話かわからなかったが、おそらくこの当主の証である指輪の話だろう、月に手を伸ばすように透かしてみる私。


「………なるほど、だから貴女に似合っていたんですね」


「え?」


「夜空のような髪、漆黒の中にも星屑が散らばっているように煌めく瞳、そこに添えられる黄昏……とってもお似合いですよ」


「ーーー!!、ど、どうもありがとうございます」


不意にレオ様に褒められて赤面した私は恥ずかしさから顔を背ける。


「僕はもう中へ戻ります、コトハさんも体を冷やす前に室内に戻ってくださいね」


「あ、は、はい、わかりました」


暫しの静寂がその場に訪れたが、数秒の内にレオ様に破られる、そろそろ室内に戻るようだ。


「ああ………そういえば言い忘れてましたね」


「?」


「少し遅くなりましたが………サンセット家当主、継承おめでとうございます、」


「へ、あ、ああ、はい、あ、ありがとうございます」



お祝いの言葉を投げかけてきた、私は先の恥ずかしさが抜けきれてないのでどもりながら返答してしまう、先の宣言通り室内へ戻っていくレオ様、私は呆然とその場に立ち尽くす。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ーーあ、やっと見つけましたわお姉様!!」


「あ、シャーリー、来てくれたんだ」


どのくらい呆けていたのだろう、意識が戻った時、シャーリーが私の目の前に立っていた。


「当たり前ですよ!!、コトハ姉様の継承式とあらば火の中水の中、剣や槍の雨が降っても出席いたします!!!」


「え、えーーと、そ、そっか、なら今度なんかイベントやる時は剣や槍の雨が降ってたら中止するね」


明らかに欠席しててもおかしくない状況でも出席すると断言する彼女。


「ええ??!!、な、なぜでしょうか??!!」


「え?、だ、だってハリセンボンみたくなってるシャーリーなんか見たくないし……」


シャーリーの場合、本当に来そうだったので今度、こういうイベントを開くときは注意すると言うとショックそうな顔で驚愕を顕にする彼女。


「そ、そんな私なんか見たくない……と……」


「あ、いや、シャーリーを見たくないとかそういうわけじゃないんだけど……」


彼女に何本もの刃物が突き刺さるなんて想像しただけでも嫌だからと言う私、しかし、私の言葉の一部しか伝わってないようだ、シャーリーを見たくないと伝わってしまったらしい。


「……何でしょうお姉さまに拒絶されていると考えると心が引き裂かれそうに苦しいのに……ちょっと気持ち良いのは……」


「へ?」


どう誤解を解こうか悩む私、しかしそんな必要はなかったようだ………見た所、頬を赤め、若干喜んでいる様子のシャーリー、そんな彼女に間抜けな声を出してしまう私。


「お姉様、どうでしょうか、サンセット家を継承したついでと言ってはなんですが、私の女王様にも就任しませんこと?」


「………SMプレイはちょっとな~」


言葉責めの快楽に目覚めたシャーリーは私に女王様プレイを要求してくる、頭を抱えながら返答する私。



つおい

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