11、sideセバスチャン、コトハについて思っていた事
つおい
私の名はセバスチャン・ベイカー、ハルバート様に仕える執事兼護衛だ、最近後輩ができた、そいつは何でも魔力を持っていないらしい、全くないというわけではないみたいだが、ほぼゼロのようなもの、あまりハルバート様を守る戦力としては期待はできなそうだ、しかし油断するわけにはいかない、もしかしたらハルバート様をよく思わない奴らが送りこんできた暗殺者かもしれない、そう思い、初対面時には少し脅しをかけといた………不安要素の新入りがいるのでいつも以上にハルバート様から離れないよう注意深く行動しよう。
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アイシャとの決闘時、セバスチャン視点
「クソッッッ!!!」
「ーーーーシッッッ」
「ーーーガッッッッ??!!!」
ハルバート様の期待に添える上、コトハとやらの実力を見れる良い機会だと思い、やらせてみたが、一回も彼女が劣勢になる事はない、少し危なげだったのは剣が折れた初撃の時だけだ………何だあの動きは、剣捌きに無駄がなさすぎる、さらに言えば相手のイカサマで脆い剣を使わせられているのに……だ、長いリーチは何事に置いても有利に働くことが多い、流石に二、三メートルの武器となると話は別だが、ナイフ程度の長さの剣で相手の攻撃を捌き切っている、基本的に強い剣士というのは剣の長さをいち早く把握する力が備わっているが、その能力が高すぎる、あんな刃折れの剣をもう自分の手足のように、体の一部だと言わんばかりに自在に扱う………一目で異常な光景だとわかる、さらに言えば汗一つ浮かばせず、息ひとつ乱さずに……あいつはもしかしたら俺より強いのかもしれん………そう思わされる程、アイシャとの実力の差を見せつける彼女。
「ーーーーーこのッッッ」
「ーーー遅い」
「ーーーーッッ痛ッッッ?!!!」
何一つ無駄な動きをせず、淡々と機械のようにカウンターを決めていくコトハ、その姿に少しだが恐怖を抱く俺。
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ウィリアムとの決闘時、セバスチャン視点
(………まずいな、このルール、魔力が少ないコトハに圧倒的に不利だ……どうする、何とかして俺に交代できないか……)
「笑止」
(ーー??、コトハ?)
コトハはウィリアム達の挑発を鼻で一蹴、その後一言呟く。
『陽流、一の段、鬼火・白毫』
ーー刹那、一筋の光となった炎は的を一切のブレなく、中心の円を貫く、こちらの勝利だ………何だ今のは、魔法とは違う術を使えると言っていたが………なんて精密なコントロールだ………。
「やなこった」
「はしたないぞ」
「あ、すみません」
はしたないことをしているので注意する俺。
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ハルバートvsオルク、セバスチャン視点
「このッッッ!!」
コトハがハルバート様に何か補助系の術を使った瞬間、目に見えてハルバート様の動きが良くなる、オルク様の攻撃を難なく躱し、相手が苛ついて大振りになった瞬間、カウンターを決めて勝利、ハルバート様の勝ちだ……こいつ本当に魔力がゼロなのか?、疑わしくなるほど万能じゃないか、剣も強くて魔法じみた力のコントロールも上手く、さらに桁違いの補助魔法のような術を使える?………まぁいい、敵としては最悪の部類の人種だが、味方となればこの上なく頼もしい……今の戦いの頑張り労ってやるのと同時に、これからもよろしくと伝える俺………ここまで有能なところを見せられては認めざるを得ないだろう………。
つおい