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経済制裁と国民の認識

作者: アウグスティアのヴァシレウスヴァシレオーン

軍事力による問題解決は、現代では決して許されないことです。

個人の尊厳を無視して、国家や軍隊が個人を管理することもやはり許されることではありません。

ですがウクライナ戦争によって、世界はこのような世界人権宣言以前の状態に戻ってしまいました。

国際社会は一刻も早く、適切で効果的な方法を用いて人権を回復する必要があると思います。


現在、国際社会は経済制裁によってウクライナ戦争の解決を図ろうとしているようです。

その経済制裁の理屈は以下のようなものです。


1、経済制裁を課す

2、経済制裁を課すと、ルーブルが高騰する

3、ルーブルが高騰すると、ロシアの国民生活が混乱する

4、ロシアの国民生活が混乱すると、ロシア国民が不満を抱く

5、不満を抱いた国民がプーチン政権を批判する


このストーリーを見て、皆さんはどうお思いになるでしょう?

もちろん、このストーリー通り、理想通りの展開に進む可能性もあるかもしれません。

完璧ではないものの、部分的には実現されるかもしれません。


ですが、私はこの理屈を聞いていて、たまらなく不安になりました。

『風が吹けば桶屋が儲かる』ほど無茶苦茶な理論ではありませんが、

このストーリーはあまりに私たちにとって都合の良い物語だからです。


経済制裁のことを今度はロシア国民の側から考えてみてください。

多くのロシア国民は今回のウクライナ戦争を、

ウクライナに誕生したナチズム政権の危機からロシアを守るための特別作戦だ、と伝えられているそうです。

ロシア国民にとって今回の作戦(戦争)は、自分たちの安全圏を守るための自衛戦争です。

ところが自分たちの安全を守るための戦いを、国際社会は一斉に非難しました。

さらに経済制裁を課して、自分たちロシア人の生活が混乱することになりました。


さてこのような状況でロシア人は、自分たちの国のリーダーと、国際社会、そのどちらを批判するでしょうか?


状況が違うので、一概に同じとは言えませんが、ABCD包囲網を日本が受けたときのことを考えてみてください。

最終的に日本は選択したのは軍部の排除ではなく「鬼畜米英」でした。

それが正しい判断だったのかはここでは語らないとして、

しかし流れ的にはその方が自然だと私は思います。

自分たちに対して経済制裁を仕掛けてきた相手を、私たちはどこまで信頼できるでしょう?

「追い詰めればきっと屈服して、自分たちの都合の良いように動くはずだ」

この考え方はあまりに楽観的で、そして危険な自分本位ではないでしょうか?


私たちは「プーチン大統領のせいで、ロシアは経済制裁を受けている」と考えています。

ですがロシア国民は必ずしも私たちと同じ考えを持っているとは限りません。

「自分達が悪いと思うものを相手も悪いと思うはず」「みんなが悪いと言っているのだから、きっと悪いと思うはず」

これはあまりに自分本位で、相手を軽視した考え方です。

ではどうしたらロシア国民は私たちと同じ考えを共有してくれるのでしょうか?

どうしたら、プーチン大統領のせいでロシアが窮地に陥っている、と理解してもらえるでしょうか?

例えばそれは、戦争の実態を伝えることかもしれません。

ウクライナ戦争がが自衛戦争ではなく侵略戦争だったことをロシア国民に理解してもらえれば、 、

私たちと考えを共有し、大規模にプーチン大統領を批判してくれるかもしれません。

ですが、もしロシア国民をただ追い詰めるだけになってしまえば、

太平洋戦争と同じ過ちを繰り返すことになるかもしれません。

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