episode零act参「オウガ、王族に好かれる」
前回のあらすじ:王女をゴブリンの群れから救ったオウガ。正体を隠すために謎の文字が刻まれた仮面と少し長めのマントを使って正体を隠す。王女のみだらな格好を隠すためにマントを羽織らせて護衛の騎士達に身柄を保護させる。その頃の王女の誘拐の件の報告を一人の王様が聞いていた。
「フィアか・・・うむ、先程その報告を受けてなそれに―――」
ガリア王は手に持っている報告書を受け取るとその場に立っていた騎士はその場を去る・・・が
「あ、後もう一つ報告が」
「申してみよ」
ガリア王がそう騎士に言うと騎士は手に持っているマントを渡した。
「その報告書に載っている方がマリア王女の裸体を隠すようにマントで覆い被せて保護してくれていました。その時のマントが――――」
「ちょっとそのマント見せて!」
「えっ、は、はいっどうぞ!」
その騎士からマントを奪い取ってじっくり見る。すると顔色を変えて
「ガリア王、このマントに見覚えがあります。」
「むっ、そうなのか?そのマントは―――」
「支配者の刻印が刻まれた「魔導王の肩マント」ですね」
そう言いながら背後の陰から魔族特有の片翼を出した一人の女性が出て来た。
「アズール様?!」
「アズールよ、知っているのか?このマントを」
アズールと呼ばれたその魔族の女はマントをフィアから受け取り、匂いを嗅いだ。
その間に騎士は報告書を置きその場から去る。
「「「?!」」」
「っはぁ~ッやっぱり彼の匂いね」
色っぽい顔をしながら満足げになる。数秒後に正気に戻り咳払いをして姿勢を正し
「王様には多分これから謁見して貰う方の所持品ですね。それと・・・私にも謁見許可を」
「う、うむ。して持ち主はもしかして彼奴か?」
「えぇ、丁度良いタイミングですわ・・・」
次の日の朝、俺はいつも通り朝起きて宿の手伝いをしながら食事をさせて貰った。
昨日のギルドの件を愚痴ったら新しい職場が見つかるまでの間は居候と言う形で居て欲しいと頼まれたのだ。
「いやぁ~店の手伝いをしてもらって悪いね、従業員が足りなくって困ってた所だよ」
「いえいえ、せっかく無償で提供して貰ってるんでこれぐらい手伝うのは当然ですよ」
俺はそう言いながら食器の皿を奇麗に洗い棚に戻す。魔法で作った洗剤やお店にあるスポンジを使って奇麗に磨く。それの繰り返しだ。
すると外で何やら騒がしい声が聞こえたので外に出てみる。
すると――
「うをッ?!王族の馬車?!何で此処に・・・・はっ、まさか」
「顔合わせするのは久し振りですね、マスター。」
「いや、普通そこは瞬間移動とか使えよ」
堂々と宿屋の前に王族の専属として働いていた彼女は手に持っているマントを返して来た。と言う事は―――
「もしかして俺、お呼ばれ?」
アズールは笑顔で返す。
どうやら本当に王様に会って欲しいみたいだな・・・そう思いながら馬車に乗って女将さんに挨拶をして元来た道を引き返す。
「この度はマリア・エリィス・ギデオ王女様を救出して下さり有り難うございます。」
「はぇ~名前聞きそびれたけどマリア王女って言うのかその子」
「えぇ、丁度講師のエヴァンス先生がマリア様の為に護衛連れて一緒に森に行ったと聞いたのですが・・・」
「エヴァンス・・・?って人は見掛けなかったぞ?騎士達しか居なかったし」
それに王女様しかその先の奥に居なかったしね。そう言う。
「そうですか・・・やっぱり・・・」
「なーんかヤバい案件出て来ちゃった感じかな?」
「えぇ多分。」
「多分て」
そうこう話している内にお城の門の前まで来てしまった。そして王様に会い頭を下げた。
「うむ、頭をあげよ。」
今回の話しはここまで。
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次回:episode零act肆「オウガ、仲間集めを始める」です。お楽しみに!