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流産や人が死ぬ描写があります。

なんちゃって戦国時代なので軽く読んでください。





戦国時代、とある国の城。



城主と正室、側室の間に、なかなか子どもができなかった。

できたと思えば流産し、それが数回続くと城主は怒り狂い、ついには正室と側室を殺し、

正室、側室の家にはその際死産したと伝えた。

何回も子が流れるので、城主の子種に問題があるのではという者が現れたが、その者も殺した。

ついにはお女中に手をだし、やっとできた子が『お律』であった。

しかし、生まれながら肺が弱く、短命だろうと薬師に言わた。

それを聞いた城主は


「なんだと!同盟に使えぬではないか!何としてでも、生かせ。出来ぬのならば殺す!」



家臣やお女中は震え上がった。

今まで何人もの家臣やお女中、正室、側室までもが殺されてきたのだ。

次はいつ自分に火の粉が降り掛かるのか、しかし家臣の中には本当にこれで良いのか

胸の内で思いがくすぶる者もいた。








ゴホゴホと咳き込む『お律』に保って一月だと薬師は言った。


最近血まじりの咳がでていたので、そうだろうと予感はしていた。

もともと肺が弱いのに、十二まで保ったのが奇跡であろう。


『お律』は城の離れで暮らしていた。

城主が生かすよう命令され生かされて来た『お律』であったが、弟、妹が後に生まれ、必要と無くなった為であった。

本当であればすぐ殺されているところであるが、病弱がゆえ床に就いてることが多かった『お律』を不憫に思った僧侶が少しでも『お律』に強みを持たせようと兵法などを教え込んだ。

それが城主の眼鏡に適ったため、今まで生きてこれたのだ。


しかし、最近はどうもきな臭い。

身の回りの世話をするお女中が来る事が少なくなった。

幼かった頃に比べて少なくなったお女中だったのだが、呼んですぐ来れる距離にお女中がいないのだ。

あきらかに何かが起こっている、起ころうとしているのだが。如何せん動き廻れる身体ではないので、お女中を問いただすしかないのだが、聞いてもぼかしてしらばっくれる。『お律』には為す術はなかった。


『お律』は薬師の置いて行った薬を飲むと一息つき、ごろりと庭を向いて寝転んだ。


庭は質素であるが、大きな桜の木があり春になるととても華やかになった。

動き廻れない『お律』にとって、庭を眺めたり、空を見ていることが一番の娯楽であった。

なのでいつも障子を開け放し、寝ながら眺めているのだが、数年前から縁側に花が一輪落ちていることがあった。

最初の頃はお女中に聞いても知らないと言われ、なぜこんなところにと首をひねったのだが、

どうやら城主に仕えている忍がなんの遊びか、気まぐれか。そこらへんに咲いている野花などを一輪置いて行っているのだ。

この庭しかしらない『お律』にはすべて知らない野花ばかりで、お女中に毎回聞いては姿を現さぬ忍に空を見つめてお礼を言うのだ。


そして今日も一輪。薬を飲む前にはなかったので、薬を煽って寝転んだ隙に置いて行ったのだろう。『お律』は立つ事もできず、這いながらそこへ向かい床へもどると息も絶え絶え空へ例を言う。


『今日は山百合ですね。ありがとう。…どうやら最近はどうもきな臭いようです、私より何が起こっているか分かっているでしょうが、気をつけて下さい。』


そう言うと『お律』は山百合を手に庭を眺めた。


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