2:事実は…
とにかく、もっとまともに話をしてくれる人を探さなきゃ。
それか、逃げなきゃ。
そう思いながら私は立ち上がり、部屋を出ようとしたわけですよ。
当然、止められたわけですよ。
「あっ、女神様!いったいどちらへ行かれるのですか!?」
これは……逃げようとしていることがばれてるのかな?
でも、私は負けませんから。
「えぇ、ちょっと外の空気に当たろうかと」
「それなら女神様、私がお供します」
さっきの女の子だ(T_T)
放っておいてくれたらいいのに。
外に出て思いっきり夜の空気を吸う。
私、人が沢山いるところって苦手なのよね。
息苦しくなるじゃない?
そういえばこの子の名前なんだっけ?
えーと、確か人に名前を尋ねるときは〜、まず自分からだよね?
「ねぇ、私の名前はミライって言うの。あなたは?」
長椅子に座りながら訊ねた。
「わ、私は、エレナと申します!あの、ミライ様ですね!素敵な名前です」
「そぉ?昔はいじめっ子たちにミイラミイラ〜って言われたのに」
「!!め、女神様に向かってそんなことを……!!?」
「そもそもなんで私が『女神様』なの?私は何もしてないよ?」
そう、私は何もしてない……
デルトールの町は最近、ある《脅威》に悩まされていた。
満月の夜になると、狂気の狼男が町を襲うのだ。
狼男は人外の力を持つし、どこからやって来るかもわからない。
誰も退治できないのだ。
そもそも何故狼男が現れるようになったのか。
それはわからない。
ただ、町から一人の男が失踪したときと狼男が現れ始めた時期が重なり、その男が狼男だったのだと町人達は言う。
私はそんなことを知らずに、満月の夜を散歩していたのだ。
そこで悲鳴が聞こえた。
2mはありそうな狼男が子どもをその巨大な手で鷲掴み。
そして狼男は私に気づいて、ゆっくり近寄ってきたの。
私、すごく恐かった。
恐かったけど、声も出ないし、足も動かなかった。
町人の一人が後ろから銃で撃った。
狼男は子どもを手放したけど、気にする素振りも見せずに私の前で止まった。
そのときだ。
狼男は、つぶれた。
グシャッと。
岩が、空から降ってきたのだ。
それを見ていた町人達は唖然としてその光景を眺め、私はなんとなく狼男のそばに屈んだ。
狼男は既に息をしていなかった。
私は子どもを抱き起こし、町人のところへ連れて行った。
でも、酷い恐怖に晒されたせいかな?
そのまま座り込んだとこまでしか覚えてない。
たぶん、そのまま寝ちゃったんだと思う。
私ってどこでも眠れちゃうんだよね。
ってことで、私は何もしてないんだよ?
「ってことで、私は何もしてないんだよ?」
とりあえず口でも言ってみた。
「ZZZ・・・・」
Σ(@д@ )
……寝ちゃってる〜!!
わ、私!せっかくちゃんと喋れてたのに〜〜!!
次話で彼女はその天然ぶりを垣間見せることになるでしょう。
ですが、どんなストーリーになるのか作者もまったく予想が出来ません。
思いつきで書き始めるのは止めたほうがいいですね。