1:女神様
神の気まぐれは本当に性質が悪い。彼女は望まぬものを手にいれ、その度に一人苦悩する。
……何で?
私は何もしてないのに。
ただ、偶然そこに居合わせただけで、ただそこに突っ立ってただけなのに。
私は、何もしてないよ?
私はただの、馬鹿な子なの。
よく、天然って言われる。自分でもそう思うし。
でも、周りの人たちは、私のこと「女神」だって言うの。
何にも出来ない私のこと、女神だって言うの。
私は、何もしてないのに。
目が覚めたら、私は知らない部屋の知らないベッドで寝ていた。
怪我はしてないみたい。
うん。どこも痛いとこはないよ。
でも、なんでこんなとこで寝てるんだろ?
それに、そばに知らない女の子が椅子に座ったまま寝てるの。
まるで、今まで私のこと看病してくれてたって感じ。
ここはどこ?
寝ている女の子を起こさないようにそぉっと起き上がり、周りを見回してみる。
白い部屋。
何の木かわかんないけど、色の薄い木で出来たシンプルな家具がいくつか置いてある。
ベッドから降りて軽く伸びをしてから、音を立てないように部屋の外に出た。
その先にいたのは、これまた知らない人たち。
いや、見たことあるかな?
あの時、あの通りにいた人たちかも。
私が扉を開けた途端、彼らはすごい勢いでこっちを振り向いたの。
「おぉ! やっと目覚めたぞ!!」
え? なに?
「みんな! 女神は無事だ!! もう心配ないぞ!!」
彼らは喜んでいるようだ。耳が痛いぐらいの大声で叫ぶ。
家の外からも歓声が聞こえた。
私の頭の上に?マークが続出しているとき、一人の男の人が近づいてきた。
そして、私の前で跪く。
……??? この人はいったい何をしているの?
「我々は貴女のおかげで救われました。デルトールの女神様」
私は後ろを振り返ってみた。
?? 女神様いないよ? 誰に話しかけてるの?
またもや?マークが大量発生。
「……貴女のことです」
そういわれて振り返る。
その男の人は私の目を見て話しているように思える。
私のこと?? 女神様??
……わかんない。意味わかんないよ。
「さぁみんな! 女神様も目覚めた! 今日は盛大に祝うぞ!!」
……という感じで今に至っちゃったわけで……
しかも、今……私女神様とか言われちゃって……
とにかくすごい格好させられちゃってるの!!!
どんな格好かは……だめナイショ。もう、だめだよぉ……
あの人たち、私のこと女神って言ってたのに、こんなの……
【因みに今、彼女はスーパーセクシー悩殺ドレスを着せられています。背中がら空きw】
(こら作者!! ナイショだって言ったじゃん!!!!)
【…………】
んーと、とにかく…ここから逃げられないかなぁ?
一人の女の子が近づいてくる。
あ、さっきベッドのそばにいた子。
「ね、ねぇ。あの、これどういうこと?」
まったくもって状況が理解できません。
目の前の女の子はキョトンとして。
「……? 宴です」
「いや、だからその、女神様って?」
またまた目の前の女の子はキョトンとして。
「貴女のおかげでこの町は助かりました。だから……」
「違うの! 私が聞きたいのは、なんで私が女神様って呼ばれるのか……」
「貴女が、奇跡のちからで救ってくれたからです。あんな力を使えるのは、きっと神様に違いないって」
……私は、何もしてないのに。
狼☆の一作目です。まったく考えも構想もなしに、いきなり始めてしまいました。
週1ぐらいでかければいいかなって思ったりなんかします。よろしくお願いします。
しかし、1話目で主役の名前が出ないとは…予想外でした。