第1話 日々が退屈だと思っていたら神に殺されました
(この人生は退屈だ)
授業を受けている僕はそんな事を思っていた。
そして何をする訳でもなくゆっくりと眠りについた。
数分後、僕はゆっくりと目を覚ます。
黒板を板書しようと前を見た時、僕は唖然した。
僕は見たことの無い部屋にいた。
動揺しながら当たりを見渡すと、一人の女性がニコニコしながら椅子に座っている。
「あ、あのここはどこですか?」
「ここは死んだ人が来る場所です。あなたさっき人生に退屈を感じてましたよね?だから、神の権力であなたを殺しました」
「は?え、いや、え、僕死んだの?」
「はい」
「いや、確かにあんな世界つまんないし退屈だと思いましたよ。でも、死にたいとは思ってないし、読みかけの漫画もあるし、何より童貞だし」
「そんなあなたの事情神は知りません。でも、勝手に殺してしまうのは流石に申し訳ないので、新しい人生を歩んでもらいます」
「え?そ、それは俗に言う異世界転生ってやつですか?」
「そうです」
「まじか……。神様ありがとうございますぅ」
「フフッ。それでは第二の人生存分に楽しんで下さいね」
目の前が真っ暗になり、尋常じゃない眠気に襲われる。
そして、僕はその場でバタリと倒れた。
気がつくと、見知らぬ街にいた。
まずは人であるかを確認する。
ちゃんとした人で、性別は男ということが分かった。
人であることに安心しながらも辺りを見渡す。
日本の街とは違い、RPGとかで見かけるような西洋感溢れる街だった。
第二人生に心踊りながら僕は街を探索する。
商人や冒険者など様々な人がいる。
僕は何も分かんないのでとりあえず教会に入り、色々聞くことにした。
教会に入るとシスターと思われる人が女神像に祈りを捧げていた。
すると僕に気づいたのか、
「どうしました?女神様に祈りを捧げますか?それとも、神の宣告をお聞きになられますか?」
「あ、いやちょっと聞きたいことがありまして。僕、今日初めてここに来たんですけど、冒険者になるにはどうしたらいいですかね?」
「あ、冒険者志望の方でしたか、それならここを出てすぐ近くにあるギルドに行けば登録ができますよ」
「何か目印とかありますか?」
「お酒の描かれた看板がついてますよ」
「そうですか。ありがとうございます」
「いえいえ、人を助けるのも仕事の1つですから。それでは神の祝福があらんことを」
そう笑顔で見送ってくれた。
少し歩いたところに酒が描かれた看板のついてる店があった。
勢いよくドアを開け店の中に入り、カウンターに座っている受付員のような女性の所に行く。
「いらっしゃいませ」
「あ、あの冒険者になりたいんですが」
「あ、冒険者志望の方ですね。それではこちらに記入をお願いします」
1枚の紙とペンが渡された。
僕はそこに自分の情報を書き、受付員の女性に渡す。
「フクチ タカシさんですね。登録しますね」
いい名前が思い浮かばなかってので、前世の名前 福地天をそのまま冒険者の名前として書いた。
「登録が完了しました」
そう言われて、長方形型のカードが渡された。
「これが冒険者である証明みたいなものです。これを無くすと冒険者として認められませんので、無くさぬよう気をつけて下さい。最後にステータスを……」
「どうかしましたか?」
「あ、いやなんでもないです。よい冒険を」
最後、何か隠しているような感じがしたが、冒険者になれたことが嬉しすぎてそんな事はすぐに忘れてしまった。
(ここからフクチタカシの第二の人生の幕が開く)
そんな調子のいいことを思いながら、街の近くの森に足を運んだ。