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異世界転生、王様になろう  作者: 佐藤コウキ
第4部、王になろうとする男
242/279

第242話、イミテーション


 薄曇りの空。弱々しい太陽の日差しが、岩だらけの谷間を照らす。

「そろそろですかね……」

 液晶画面の映像を見ていた重松さんが藤堂さんに確認する。

「ああ、そうだな。行くか!

 藤堂さんの指示でクローゼ将軍の部隊は進撃の用意をする。重松さんと祐子さんはオフロードバイクに乗ってセルモーターを回した。

 俺と野田、それに副官の和田は藤堂さんが運転するトラックに乗り込む。

 榎本さんは、ベルキア砦で防衛の指揮を執っている。軍師の金ピカマントを見れば、アマンダ軍の士気が落ちるだろうという算段だ。榎本軍師の恐ろしさは一緒に戦った兵士が一番良く知っているだろう。


「作戦開始」

 運転席の藤堂さんが号令を放つ。

 それと同時にトラックが前進して、それに帝国軍の騎馬隊が続く。その後にオフロードバイクが続き、しんがりは歩兵部隊だ。

 俺達はトラックの荷台でショットガンを握りしめる。

 汗がにじんでいたので手をズボンにこすりつけた。昼前なのだが、まだ腹は減っていない。ふと、ショットガンを見ると、かなりボロくなっていた。この使い込まれた銃には俺の戦いの歴史が刻まれているんだなあ……。この戦いが終わったら新しい物に変えようか


 ドローンリモコンの映像を見ると、まだアマンダ軍の兵は内輪もめを続けている。

 藤堂さんは車のスピードを上げた。

 しばらくすると赤壁の絶壁が見えてきて、その手前で賞品を取り合っている喧噪が視界に入る。

 二台のバイクはトラックの前に進み出て、機関銃を撃ち放った。片手でハンドルを握り、片手で軽機関銃を撃っている。……二人とも器用だあ。

 混乱するアマンダ軍。

 防御しようと金属の盾を構えるが、まだ片手にはトロフィーを握っている。両手で賞品を抱え込んでいる兵は、それを放そうともせずに荷車の後ろに隠れた。それらは確か、カラオケ大会の優勝トロフィーとか、ゴルフ大会のブービー賞のカップだったっけ。金貨はメッキ品で銀貨はパチスロのメダルだ。そして、装飾品は百円ストアーで買った物。それを彼らは本物のゴールドやシルバー、宝石だと信じているんだよな。

 ずさんな防衛態勢のために倒れる兵が続出する。千人もいた兵が半分くらいに減ってしまったよう。


「みんな離れろ!」

 運転席から藤堂さんの指示が飛ぶ。

 彼がリモコンのスイッチを入れると、荷車が爆発して吹き飛んだ。

 それに隠れていた敵も一緒に飛ばされてしまう。これで赤壁の守備隊は壊滅状態。

 荷車には最初からプラスチック爆薬が仕込んであったのだ。

「クローゼ将軍、突撃を!」

 藤堂さんの命令を受けて将軍が騎馬隊を突撃させる。それに歩兵が続き、俺達も前進した。

 戦意を失った敵は、賞品を持ったまま逃げるところを矢で射られたり、金貨の袋を持ったまま剣で応戦して鈍い動きのために斬り殺されたりした。


 帝国軍の血で赤く塗装されていた赤壁は、今度はアマンダ軍の血で上塗りされたのだ。


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[一言] 欲は身を亡ぼす。
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