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異世界転生、王様になろう  作者: 佐藤コウキ
第1部、異世界転送
22/279

第22話、車で出発


 翌朝、朝食の後、車の近くに集まった。

 東の空には太陽が輝いている。これから西のアマンダ共和国に行って、性に合わない説得などということをやらなければならない。

 共和国に向けて出発しようと車のドアハンドルに手を掛けると、ウォルターが小走りでやってきた。

「勇者殿。どうか私も同行させていただけませんか」

 顔を見合わせる俺と香奈恵。

「道中は何かと危険です。私が勇者殿の警護を務めたい」

 真剣な顔。ハンサムな男はどんな表情もサマになる。

「いや、それは……」

 べつに、すぐトンズラするつもりはないが……。

 香奈恵が俺の袖を引くので、少し離れた場所に移動。

「逃げないように見張りのつもりかしらね」

「それはないだろ。人質を残しているし」

 キャサリン姫の横に立っている榎本さんを見る。やはり彼は不安そうに顔を曇らせていた。

「断る理由が見つからないわ」

 俺はうなずく。ここで断ったら俺達に対して不信感を抱くかもしれない。

「仕方がないわね……」

 再度うなずく俺。

 香奈恵は車の近くに戻る。

「ええ、分かりましたわ。よろしくお願いしますね、ウォルターさん」

 そう言ってニコッと営業用のスマイル。美形の剣士と同乗できて少し喜んでいるのか。


 ウォルターが準備するのを待ってから三人で出発した。

 運転席でハンドルを握っている香奈恵。俺は助手席で、後ろの席にはウォルターが普段着で収まっていた。彼の横には大きな布袋があり、その中身は剣などの武器のようだ。


 車は馬車用の道路をかなりのスピードで走って行く。

「これが勇者殿の世界の乗り物ですか」

 一度も車に乗ったことがないウォルターが感心して言う。馬車よりも何倍も速く移動する乗り物は初めてなのだろう。

 彼は後部座席に座り、俺達の真似をしてシートベルトを装着していた。


 山道を走り、道が開けると、先には王国の関所があった。

 木の柵で作られた簡単な関所。ウォルターは車から降りると関所に常駐している警備兵と話していた。

 しばらくして門が開かれた。

「話は通りました。先に進んで下さい」

 戻ってきたウォルターがうながす。

 香奈恵はアクセルを踏んで関所を通り過ぎる。門の端では警備兵が敬礼をしていた。


 アマンダ共和国に行くには、キャンベル帝国の中央を突破しなければならない。

 帝国を避けていくとすると、大河や峡谷、それに他の小国を通らなければならないのだ。帝国と争っている現在、他の国と問題を起こすことはできない。


 ダイハツ・タントは、真っ直ぐに伸びる荒れた道を疾走していく。


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