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異世界転生、王様になろう  作者: 佐藤コウキ
第3部、カマリア王国
181/279

第181話、救出作戦


 日没が近いので、刑場は薄暗くなってきた。

「佐藤よお……何とかしてくれよ」

 哀れな声で野田。服が汚れているので風呂にも入らせてもらえなかったことが分かる。

「ああ、何とかするから……。それと、二人に重松さんから伝言がある」

「伝言?」

 冷や汗でグダグダになっている榎本さんの顔。

「はい、それは……閃光弾」

 榎本さんは一瞬で理解したよう。野田は、せんこうだんとつぶやいてから、小さくうなずく。

 いきなり俺は二人を両腕で引き寄せた。

「おい! そいつらを引き剥がせ」

 そう怒鳴って議長が駆け寄ってくる。

「目をつむれ!」

 俺が言うと、四人は思い切り目を閉じた。

 直後に起こる爆音と、目をつむっていても視界が白くなるほどの閃光。重松さん達がスタングレネードを放り投げたのだ。

 耳をつんざくような音で頭がクラクラしているが、俺は必死に野田の実家を思い浮かべる。やがて視界がボンヤリと暗くなり、四人は暗黒へと逃走した。


  *


 気がつくと街灯が点灯している野田の家。その庭に四人は無事に転送してきたらしい。

「はあー!」

 大きく安堵の息を吐いて芝生に座り込む野田。力の抜けた榎本さんは地面に倒れ込む。

 胸を俺の腕に押しつけていたアズベルはニコリと笑って腕を放した。

 救出作戦は成功だ。

 俺達を確認したのか、藤堂さんと香奈恵が家から出てきた。

「おお、良くやったな。佐藤さん」

 角刈りの藤堂さんが、にこやかに笑って歩いてくる。

「アズベルちゃん、お帰りなさい」

 香奈恵もホッとしたように声を掛けてきた。

「これで、後は重松さん達を連れてくれば終わりですね」

 彼らとは赤壁の茂みで待ち合わせをしている。すぐにでも俺が転送してこないと。

「それで……そいつは、お土産か?」

 藤堂さんが向いている方向に顔を向けると、そこにはアレックス議長が目を押さえて座っていた。

 しばしの沈黙。

「あー! この野郎」

 俺と野田が同時に叫ぶ。四人だけ転送したつもりだったが、慌てていたのでコントロールが乱れたらしい。

「てめえ、良くも俺を殺そうとしたよなあ!」

 野田が議長に詰め寄る。議長は目をパチパチさせて後ずさりした。

「てめえ、なぶり殺しだあ」

 議長の前に立つが野田は後ろ手に縛られているので、もどかしそうにもがくしかない。

「私は共和国のためにやったことだ。国と民衆の自由を守るのは政治家として当然のことだ。私は悪くない、悪くないぞ……」

 ズリズリと芝の上を後退する議長。距離を取ってからフラフラと立ち上がった。

「アマンダ共和国を助けてやったのに、恩知らずなやつだわ」

 香奈恵が前に立ち、股間に強烈なキック。

「ウゴォー!」

 議長が叫んで座り込む。つい、俺と野田が内股になるほどの情け容赦ない攻撃だった。

「あんまり適当なことを言っているとキンタマ踏み潰すわよ」

 議長は青ざめて股間を両手で防御する。出戻りの香奈恵さんは言葉がドギツイ。

「私もキンタマ踏み踏みしてやるですぅ」

 あー……、アズベルが言うとなんか可愛い。


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― 新着の感想 ―
[一言] 議長とアマンダ共和国の運命は? もう金で解決できるような問題じゃない。
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