表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生、王様になろう  作者: 佐藤コウキ
第1部、異世界転送
17/279

第17話、作戦会議


「勇者殿、待ちわびていましたぞ」

 王冠をかぶった王様が重々しく言った。

 いつも金色に輝く王冠を頭に乗せて、この人は首が疲れないのだろうか。

「申し訳ございませんね。ちょっと向こうの世界に帰って準備して参りましたの」

 笑顔を振りまいて香奈恵がイスに座った。

 執事が俺に座れと言うようにイスを引いたので、「どうも」と言って豪華な装飾のイスに座った。

「勇者様は自由に帰還することができるのですね」

 キャサリン姫の生声を初めて聞いた。思っていたとおり優しい声。アニメでの、お姉さんキャラのようだ。

「もう敵が迫っている。時間が無いので、さっそく作戦会議を始めたい」

 平然としているが、王様も焦っているのか。

「斥候によると、敵の兵数は5万。あと1週間の距離まで迫っているのだ」

 白髪頭の男が気難しそうに言った。

「五万人ですか……」

 俺には、あまりピンとこない。隣に座っている榎本さんは腕組みをしてうなり声をあげた。しかし、この白髪頭の人は誰だろう。細身だが体はしなやかで引き締まっている。

「私はカスター将軍です。この城塞都市の守備を任されている」

 将軍が軽く頭を下げた。50歳くらいだろうか、年の割には力強いオーラを放っているよう。

 彼の態度から見て俺達のことは信用していない感じがする。

「それで、そちらの方は……」

 将軍の横に座っていたウォルターが聞いていた。

 そうか、榎本さんとは初めて会うんだよな。

「この人は榎本さん。あたし達の国では天才軍師として通っています。この戦争では役に立つはずですよ」

 香奈恵の説明に、ほうっと、ため息が会議室に流れる。

 当の榎本さんは苦笑いして顔を引きつらせていた。ハードルを上げすぎたんじゃないか。

「まだ子供のようですが、大丈夫でしょうか」

 彼は三十代から中学生に変わっている。姫が不安を覚えるのは仕方ない。

「見た目は若いですが、向こうの世界では百戦錬磨の強者です。どのような敵でも撃退してくれるでしょう」

 香奈恵も適当なことを言っているな。榎本さんは顔をしかめて彼女を睨んでいる。そんな顔をしなくても、ヤバくなれば日本にトンズラすれば良いのだからさあ。

「それで軍師殿には、どのような考えがおありですか」

 将軍が冷たい口調で聞いた。俺達のような部外者には頼りたくないのか。

「それより、まず詳しい状況を教えてもらえませんか。まだ世界観というか、その……良く知らないもので」

 榎本さんの話を聞いて将軍が小さく笑った。

「仕方がありませんな。王の命令ですので、あなた方を頼るしかない……」

 やはり将軍は、俺達を疎んじているらしい。


 将軍の話によると、敵の兵は5万で、こちらの守備兵は一万人。キャンベル帝国の兵は良く訓練されていて強力だ。

 地理としては、大陸の中央に帝国があり、その周りを取り囲むようにトルディア王国などの小国が存在する。トルディア王国は大陸の東側で、海に面している。船を使った貿易が国の大きな収入源になっていた。

 帝国はトルディア王国が貯め込んだ財産と、巧みな操船技術を奪うために進軍しているのだ。


 榎本さんは目をつむってフンフンと聞いていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ