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異世界転生、王様になろう  作者: 佐藤コウキ
第3部、カマリア王国
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第144話、作戦会議


「軍師殿のお考えはいかかですか……?」

 ホワイトボードの横に立っているジョンソン連隊長が不安そうに訊ねた。

 榎本さんは組んでいた腕をほどき、身を乗り出す。

「この場合は、各個撃破しかないでしょう」

 ボソリとつぶやくように言ったのだが、静かな会議室には良く通った。

「まず、全軍をもってカマリアの本営を叩き、これを撃退した後に陣地に戻って帝国軍を砦で迎え撃つのです」

 榎本さんは自信に満ちた軍師の口調。

「共和国軍の一万七千人と帝国軍の二万あまりなら、ほぼ対等な戦いになります。こちらの、柵を強化した防衛陣地なら帝国軍といえども容易に攻略できないはず」

 そう言って榎本さんは小さな水筒のコーヒーを飲む。

 ほのかなコーヒーの香りが俺の方にも漂ってきた。

「だが、それだと帝国が疲れて退却するまで、長く待たなければならない」

 野太い声の重松さんだった。

「今回は赤壁の戦いと違う。ちゃんとした道があるので帝国の補給線は問題ないだろう。もっと手っ取り早い方法を使った方がいいんじゃないか」

「手っ取り早いというと?」

 そう言って榎本さんが両肘をテーブルにのせる。

「帝国軍が到着するのを待って、それからカマリア軍を攻撃するのさ。半包囲して攻撃し、逃げるカマリアを帝国軍の陣地に追い込む。それと一緒に俺達も帝国の本陣になだれ込むのさ。帝国は同盟国を攻撃するわけにもいかないだろうから、俺達は簡単に中央突破できるはずだ」

 なるほど……重松さんらしい攻撃的な作戦だな。

 興奮している感じの重松さんは前に置いてあるペットボトルの水を飲んだ。二リットルの水がみるみる半分になる。

「でも、大丈夫かなあ……」

 野田が眉をひそめる。

「ん……?」

 ペットボトルを口に付けたまま重松さんが横目で野田を見る。

「カマリア王国は帝国の属国なんでしょ。構わずに共和国軍ともども攻撃してくるんじゃないかなあ……」

「うーん……」

 重松さんはペットボトルをテーブルにドンと置く。

「確かにそれはありますね」

 榎本さんが口を開いた。

「帝国軍は最初からカマリア王国軍を犠牲にしてアマンダ共和国に勝つつもりだったのでしょう。まずカマリアをアマンダ軍に突撃させて、両者とも損耗した時点で帝国が攻撃を仕掛けるつもりだったと思います」

 隣の藤堂さんがうなずく。

「そのとき、カマリアの後ろから突撃し、その損害を無視してアマンダ軍に突入するつもりだったのですよ」

 と言って榎本さんが小さく首を振る。

「初めからカマリア王国は捨て石かあ……」

 ため息をつき、重松さんはイスにもたれて天井を見上げた。

 帝国から邪険に扱われていることはカマリア王国も重々知っているはずだが、王国の人々はどう思っているのだろうか。



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